531話 どういう状況?
「え?」
今の、アリスの声。
いったいどこから?
不思議に思いつつ上を見ると、
「……」
「……」
天井に空いた穴の先にアリス達がいた。
突然のことに驚いている様子で、ぽかんとしている。
たぶん、俺も似たような顔をしていると思う。
「アリス! みんな!」
よかった。
どうしてこうなったのかまったくわからないけど、うまく合流できたみたいだ。
俺は笑顔になって……
そして、とあることに気づいて、慌てて顔を横に向ける。
「ハル? どうしたの?」
「いや、その、えっと……」
俺が下にして、アリス達が上にいて。
この角度だと、なんというか、見えてはいけないところが見えてしまいそうに……
「「「っ!?」」」
アリス達が赤くなり、慌てた様子でスカートを押さえた。
そして、ジト目で睨まれる。
「えっと……ごめんなさい」
こんな大変な状況なのに、なにをやっているんだろう……?
でも、おかげで焦りは消えた。
妙に落ち着くことができた。
「ハル、よかった! 無事で……って、フラン!?」
「お、お二人共怪我を? あ、あれ? でも、神様は私達を……どういう状況ですか……?」
当たり前だけど、みんな混乱しているみたいだ。
ただ、詳しい説明をしている時間はない。
「フランは味方で、フラメウやカマエルは敵! 追われているんだ!」
「む? 状況、わからないよ」
「詳しい説明は後で」
魔法を使い、アリス達がいる上の階に跳んだ。
それから、
「ファイアボム!」
もう一度、魔法を使う。
床が崩落して、さらに瓦礫が増す。
これで、いくらかの時間稼ぎにはなるはず。
「アンジュ、フランの手当てをお願いできる? 俺もやったけど、やっぱりアンジュにしてもらった方が安心できるから」
「は、はい! では……セイクリッドブレス!」
フランを床の上に座らせて、その上でアンジュが治癒魔法を唱えた。
温かい光がフランを包み込み、その傷を完全に癒やしていく。
光が収まるとフランが立ち上がり、手足の感覚を確かめるように軽く動く。
そして、よしと頷いた。
「ありがと。これで、また戦うことができるよ」
「どういたしまして……って、戦う、ですか?」
「師匠、師匠。やっぱり、状況がさっぱりわからないっす」
「うん、えっと……」
説明したいけど、これ以上、のんびりすることはできない。
フラメウとカマエルなら、あれくらいの瓦礫、すぐに除去してしまいそうだ。
これからのことも決めたいし……
「フラン、ちょっと落ち着いて話をできる場所とかない? しばらくは見つからないようなところ」
「んー……あるよ。こっちこっち」
フランの案内で小部屋に移動した。
部屋の端によくわからない物が積み重ねられているところを見ると、倉庫として使われているみたいだ。
「この部屋は、試作品の魔導具とかを保管しておくところなんだ。試作品って、放置するだけでも暴走することがあるから、ここは魔力を遮断、拡散するような設計になっているの」
言われてみると、魔力をうまく集めることができない。
あの牢と似ている。
「逆に言うと、外からお兄ちゃん達の魔力を探知することができない。しばらくは時間を稼ぐことができると思うよ」
「なるほど。ありがとう、フラン」
「えへへー。まあ、こうなったら一蓮托生だからね」
仲良く話していると、みんなが不思議そうな顔に。
それもそうか。
神様との会話を考えると、天使は敵、って考えるのが当たり前だからね。
「実は……」
みんなと別れた後、なにがあったのか?
それを簡単に説明した。




