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530話 壊すよりも守ることを

「シールド!」


 フラメウとカマエルの攻撃を魔法で防ぐ。

 その間に、少しでも距離を取ろうとするのだけど……


「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」


 息が上がってきた。


 強敵を相手に、まったく余裕のない戦い。

 体力だけじゃなくて精神力も削られて、なかなかきつい。


「お兄ちゃん……なんで、私を助けようとするの……?」


 俺におんぶされているフランが、とても不思議そうに問いかけてきた。


 なんで、そこに疑問を抱くのか。

 俺にとって、その方が不思議だ。


「見捨てられるわけないよ!」

「でも、私は天使で、お兄ちゃんの敵で……」

「敵なんかじゃないよ」

「え」

「フランは俺を助けてくれた。一緒に戦ってくれた。だから、仲間だよ」

「私が……仲間……」


 フランは天使だ。

 フラメウが言う調整とやらを受けたら、また敵になるかもしれない。


 でも、俺はフランを信じたい。

 一緒に街を見て回り、笑顔を見せたフランを……信じたい。


「だから、守るよ」

「……お兄ちゃん……」

「諦めないで。俺も諦めないから」

「……うん」


 とはいえ、このままだとジリ貧だ。

 なにか手を打たないと『終わり』だ。


 一か八か、エクスプロージョンで周囲を吹き飛ばしてみる?

 その隙に逃げる?


 いや、ダメだ。

 アリス達がどこにいるかわからないから、巻き込むようなことはできない。

 そうなると……


「お兄ちゃん、前!」

「うわっ」


 行く手に天使が立ちはだかる。

 慌てて進路を変更した。


 ああもう。

 しっかり策を考えたいのに、忙しすぎてそれもままならない。


「いい加減、諦めるといい」

「嫌だよ!」


 カマエルの攻撃を防ぎつつ、フラメウの攻撃も警戒する。

 この二人、少しずつ連携に慣れてきた。

 これも苦戦する要因の一つだ。


 二人を分断するか。

 あるいは、こちらの味方を増やすか。


 どうする?

 どうすれば、このピンチを乗り越えることができる?


「まずは……ファイア!」


 ふと思いついて、まずは後方を炎で埋め尽くしてやる。


 フラメウとカマエルは構うことなく突っ込んでくるものの、他の天使達は足を止める。

 やっぱり、二人に比べて耐久力は低いのだろう。


 一時的だけど分断することに成功した。

 次は……


 目で背中のフランに合図を送る。


「もう一回、ファイア!」

「悪あがきですね」


 それがどうしたというように、フラメウとカマエルはまっすぐ追いかけてくる。


 でも、今の魔法はダメージを与えることを目的にしていない。

 ただの目隠しだ。


「このぉっ!!!」


 フランが光の翼を顕現して、天井を大きく叩いた。

 ドゴォッ! という轟音が響いて、天井が崩れ落ちる。


 フラメウとカマエルを巻き込むことができればラッキー、と思っていたけど、さすがにそこまでうまくいかないみたいだ。

 ただ、崩れ落ちた天井が壁となる。


 よし。

 これで、さらに時間を稼ぐことができるはず。


 今のうちにフランの治療をして、体勢を立て直して……


「ハル?」


 ふと、そんな声が上から降ってきた。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] これは悪運か?腐れ縁か?(ʘᗩʘ’) 逃げ先の天井上からばったり?(゜o゜;神が信用できんだけに悪魔の慈悲か?(ب_ب)
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