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518話 対面

 フランとフラメウの案内で宿の外に出て、天上都市を歩く。


 時折、他の天使や、人形のような世代の低い天使とすれ違う。

 ただ、カマエルのように襲いかかってくることはなくて、平穏そのものだった。


 カマエルが天使の代表のような立場じゃなくて。

 彼の思想、思考が特殊だったと考えるべきかな?


 そんなことを考えていると、大きな建物に到着した。


「ここが、もしかして……」

「うん、ママの……神様のお家」


 荘厳な教会とか。

 天を貫くような塔とか。

 白亜の城とか。


 そんなものを想像していたけど、目の前にあるのはかなり意外な建物……植物園だった。


 ガラスに似た透明な壁と天上。

 中が透けて見えていて、多種多様の植物や花が並んでいた。

 その合間を縫うように細い道が設置されている。


 どこからどう見ても植物園だ。


「意外?」

「まあ……うん。意外だね」

「あたし、もっとすごいところを想像していたわ」

「私も……神殿とか、そういうのが定番じゃない?」

「ちっちっち、二人共甘いっすねー。こういう時は、あえて予想を外すのが芸人の使命なんすよ」

「え、えっと……神様を芸人扱いするのは、さすがにどうかと思うのですが……」

「恐れを知りませんね」

「空気読めないドラゴン」

「なんか自分の扱い酷くないっすか!?」


 その発言のせいだと思う。


 苦笑するフランとフラメウに連れられて、植物園の中へ。


 奥に地下に下る階段があった。

 表と違い地下はひんやりとしてて過ごしやすい。


「この中に入って」


 小さな部屋に入る。

 みんなが入るといっぱいという感じだ。


 扉が勝手に閉まり、微かな振動。

 それから軽い浮遊感に包まれた。


「な、なんすか、これ!?」

「変な感じです……」

「一気に移動する乗り物のようなものだから、気にしないで」

「楽しい」


 シルファだけマイペースだった。


 ほどなくして小さな部屋が止まり、扉が開いた。

 フランが言っていたように、大きな距離を移動したのだろう。


 扉の先は見知らぬ場所。

 無機質な通路がどこまでもまっすぐに伸びている。


「「「……」」」


 自然とみんなの口数が減っていた。

 俺もなにか喋ろうという気にならない。


 やっぱり緊張しているのかもしれない。


 レティシアと一緒に冒険者になって。

 別れを告げた後、アリスと出会い。

 アンジュとナインとパーティーを組んで。

 サナとシルファと仲良くなって。

 クラウディアと知り合い。

 レティシアと再び一緒に過ごすようになって……


 今まで本当に色々なことがあった。

 その長い旅が終わりに近づいているのかもしれない。


「ついたよ」


 ほどなくして巨大なホールにたどり着いた。

 球状に形成されていて、天井は遥か遠く。

 足場がないところもあり、下を見るとゾッとするほどの高さがあった。


 中央にテーブルと人数分の椅子。

 湯気を立てる紅茶と香ばしいクッキーが並べられている。


 その手前に一人の女性。


 プラチナブロンドに輝く髪は足元に届くほど長い。

 鼻筋はまっすぐ伸びていて、すらっとしていた。

 綺麗で、凛とした印象を受ける。


 手足は長く、体も細い。

 ただ、しっかりとメリハリのついたボディだ。

 たぶん、多くの女性は羨むと思う。

 男性も憧れると思う。


 綺麗、の一言に尽きる女性。

 彼女はにっこりと優しく笑う。


「ようこそ、愛し子達よ」

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] 普通に美人さんみたいだな(ʘᗩʘ’) これで地母神みたいなボン・ボン・ボンのおばさんだったらどおした物かと思ったが(٥↼_↼)
感想一覧
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