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434話 歓迎される賢者達

 兵士がやってきて、ついつい身構えてしまう。


 やましいことは何一つしていないけど……

 フランやフラメウのような天使の手がここまで伸びているかもしれない。


「……」


 アリスとレティシアは無言で構えた。

 それぞれ剣の柄に手を伸ばして、いつでも抜ける体勢に移る。


 一方、アンジュはなぜか笑顔を浮かべて……


「みなさん!」


 とても明るい声で兵士に声をかけた。

 そのまま前に出てしまう。


「お嬢さまだ! 本当にお嬢さまが帰ってきたぞ!」

「おかえりなさい!」

「おい、すぐに街中に伝えろ!」


 アンジュの笑顔がうつったかのように、兵士達も笑顔になる。

 さきほどまでの雰囲気はどこへやら、皆、優しい顔をしていた。


「えっと、これは……?」

「彼らは、この街を守る兵士ですが……」


 ナインが軽く前に出て、説明をしてくれる。


「どうやら、今はなにか問題が起きていて、警戒していたようですね」

「なるほど」

「ただ、お嬢さまのおかげですぐに誤解は解けたようです」


 アンジュは街の人に慕われている様子だったから……

 そんな彼女がいれば、すぐに敵でないと理解してもらえる、っていうことか。


 それにしても……


「はい、お久しぶりです。私は元気にしていました!」


 アンジュはとても楽しそうに兵士達と話していた。

 そのうち、話を聞きつけた街の人がやってきて……

 どんどん人の輪が大きくなる。

 笑顔が伝わっていく。


「アンジュはすごいね」

「はい、自慢の主です」


 たくさんの人に囲まれて笑顔を浮かべているアンジュを、俺とナインは静かに見守るのだった。




――――――――――




「ハルさま!」

「クラウディア!?」


 オータム家の屋敷に向かうと、そこには意外な姿が。

 あの日、離れ離れになったクラウディアがいた。


 多少、やつれているみたいだけど……

 でも、大きな怪我も病気もしてなさそうで、よかった。


「よかった!」

「わわっ」


 クラウディアに抱きつかれてしまう。

 慌てて受け止めるものの、少しよろめいてしまった。


「ハルさまも、みなさんも無事だったのですね」

「うん、なんとか。クラウディアは?」

「わたくしも、もちろん……問題、ありませんわ……」


 なんて言うのだけど、


「……すぅ」


 コテン、と人形の糸が切れたかのように寝てしまう。


「え? え? クラウディア?」

「すぅ……すぅ……すやぁ」

「寝ているっすね」


 隣から覗き込んできたサナが、どこか呆れた様子で言う。


「どうしたんだろう?」

「……彼女には、色々と協力してもらい、負担をかけてしまっていたからね。君達と再会したことで、緊張の糸が解けてしまったのだろう」

「あなたは……」


 初老の男性が姿を見せた。

 どことなくアンジュの面影がある、その人は……


「お父さま!」




――――――――――




 無事、親子の再会を果たすことができた。

 久しぶりに家族と再会できたことは喜ぶべきことなのだけど……


 ただ、そうも言っていられない事態が侵攻していることが判明した。

 それは……


「正体不明の魔物……?」

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] 取り敢えず話も通じて都市にも入れてクラウディアとも合流できたか(ʘᗩʘ’) でも正体不明の魔物(?・・)まさかソイツのせいで手一杯だからアンジュの結婚(無許可)に駆け付けられなかったのか?…
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