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412話 要するに証拠があればいい

「ところで……」


 フラメウが疑問を投げかけてくる。


「いったいどのようにして、領主さまを……」

「えっと……」

「あ……そうですよね。私に話すことはできませんね」


 領主に話を回すことを警戒している、と考えたらしく、フラメウは自虐的な表情に。


 妹を信じることにしたものの、すぐに気持ちを切り替えることができず……

 まだまだ複雑な気持ちなんだと思う。


 ただ、彼女を警戒しているつもりはない。


「あ、ううん。違うんだ。別に話してもいいんだけど、反対されそうで」


 良く言えば大胆。

 悪く言うと無謀な計画を立てているから、たぶん、驚かせてしまうだろう。

 ついでに反対されるような気がした。


 でも……


 そうだよな。

 ここまで話をしたのに、どうするかは内緒、っていうのはダメか。

 きちんと話をしておかないと。


「実のところ、真正面から領主の不正を告発する……とか、そういう真っ当な手段を取るつもりはないんだ」

「え?」

「そうすることが正しい、っていうのはわかるんだけどね。ただ、時間がないから」


 領主は善良な人のフリをして、裏で悪事に手を染めている。

 その調査をすることは可能だ。


 悪い噂が流れているということは、隠しきれていない、ということなので……

 きちんと突き詰めて、しっかりとした調査を行うことで、闇を表に引きずり出すことができるだろう。


 ただ、時間がかかってしまうのがネックだ。


「あまり時間をかけたくないから、一気に畳み掛けることにしようかな、って」

「いったい、どうするのですか? 証拠がないなら、動きようがないと思うのですが……」

「証拠がないなら作ればいいんだよ」


 まっとうな方法で領主を告発しようとしたら、とんでもない時間がかかってしまう。

 下手をしたら、途中で失敗……なんていうこともある。


 だから、やや強引だとしても、搦手を使うことにした。


「証拠を作る……ですか?」

「領主は裏で色々としているみたいだからね。屋敷とかを調べれば、色々と悪事の証拠が出てくると思うよ」

「しかし、それは難しいのでは?」

「うん、難しいね。領主の屋敷の捜査令状なんて、相当にがんばらないと発行されないと思う。発行されたとしても、その頃には、証拠は徹底的に隠されているだろうね」

「なら……」

「だから、強引な手に出るんだよ」


 海洋都市の冒険者ギルドと憲兵隊に、領主の不正の情報を渡す。

 裏はないから、彼らはすぐに動くことはないけど……

 でも、疑念を抱かせることはできる。


 すでに、これは実行済みだ。


「で……俺達が領主の屋敷に乗り込んで暴れる」

「えっ」


 とんでもないことを聞いた、という反応を示すフラメウ。

 まあ、それも仕方ない。


 でも、単純に暴れるだけが目的じゃない。


「自力で制圧することができない、っていう状況になれば、領主は冒険者や憲兵を頼りにしなければいけない。彼らは要請に応えて、俺達を制圧するために屋敷に突入するわけだけど……」

「もしかして」

「うん。そのタイミングで、屋敷にあるであろう不正の証拠を探し出して、彼らに突きつける」

「……と、とんでもなく強引な手段ですね」

「でも、これが確実だと思うんだ」


 荒っぽい方法になるのは間違いない。

 下手をしたら破滅してしまう。


 でも、リスクを犯さずにリターンを得ることはできない。


 アンジュとナインを助けるためだ。

 どれだけのリスクがあろうと、前に突き進むのみ。


「急がないと、アンジュが大変なことになっちゃうからね」

「そのアンジュさんというのは……もしかして、領主さまの婚約者ですか?」

「うん。望んで婚約したわけじゃないから、なんとかしないと」

「えっと……それなら、確かに急がないといけませんね」

「え?」


 フラメウは、こちらも予想していなかった爆弾発言をする。


「領主さまと婚約者の方の式は、一週間後、執り行われる予定なので」

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] どんな作戦かと思えば結局、力技か(ʘᗩʘ’) 銭形のとっつぁんみたいに警官隊引き連れて突撃出来ないから呼び寄せる形にしたのか(٥↼_↼) で肝心のアンジュとの結婚式が一週間後(?・・)間に…
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