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382話 混迷の戦場

 なにが起きているのか?

 さっぱりわからないけど、でも、敵は止まってくれない。


 そう……敵だ。


 ゲオルグは濃厚な殺意をまといつつ、突撃してきた。


「はや……!?」


 気がつけばゲオルグが目の前に。


 やばい。

 慌てて防御魔法を……


「え?」


 ゲオルグは俺を相手にすることなく、そのまま通り過ぎた。

 そして……


「お嬢!?」


 レジスタンスの悲鳴。


 狙われたクロエは、かろうじてゲオルグの動きが見えているみたいだ。

 でも、体はついていかない様子で、足が止まっている。


「ふざけるんじゃ……」

「ないわよ!!!」


 アリスとレティシアが前に出て、ゲオルグの突撃を止めた。


 相当な威力があるらしく、ゲオルグの突撃を止めた二人は顔をしかめている。

 剣を通じて衝撃などが伝わっているのだろう。


 ただ、気迫は衰えていない。

 むしろ増している様子で、二人揃って、ゲオルグを鋭く睨みつけていた。


「父親が娘を殺そうとするとか……」

「いい加減にしなさいよ!!!」

「「この……」」


 アリスは右から。

 レティシアは左から。

 それぞれ、同時に斬撃を叩き込む。


「「バカ親父!!!」」


 タイミングはバッチリ。

 威力も速度も角度も、全て完璧。

 これ以上ないほどの攻撃が繰り出されて、ゲオルグの胴体が二つに断たれる。


 しかし……


「そのような攻撃、児戯に等しい!」


 天使と同じく、すぐに再生してしまう。


「神の力を喰らうがいい!」


 ゲオルグは右手を水平に薙いだ。

 その軌跡に従い光があふれ、氾濫する。


 あれはまずい!?


「ファイア!」


 咄嗟に攻撃魔法を唱えて、光にぶつけた。

 ガッ! と岩が削れるような音が響いて、なんとか光を消滅させることができた。


 よくよく見てみると、光が触れた壁が綺麗さっぱり消えていた。

 どういう理屈か知らないけど、あの光に触れたものは消滅してしまうみたいだ。


 もしかして……強制転移?

 一度、体験したことがあるから、攻撃の正体に気づくことができた。


 でも……

 俺の想像が正しいとしたら、やばい。


 ゲオルグは範囲を絞り、部分的な強制転移を行っている。

 もしも、右腕だけが強制転移させられたら?

 もしも、腹部だけが強制転移させられたら?


 それは、体から切り離す行為に等しい。

 一瞬で致命傷を負ってしまう。

 一撃でも喰らえばアウト、と考えた方がいいだろう。


 こうなったら……


「ちょっと、ハル!」

「なにするのよ!?」

「あ」


 間近で相殺したせいで、アリスとレティシアがファイアの爆風に巻き込まれていた。

 怪我を負っているわけじゃなくて、髪が焦げた程度。


 でも、髪は女性の命とも言う。

 二人は目を逆三角形にして、俺を睨んでいる。


「えっと……い、今はあいつをなんとかしないと!」

「逃げたわね」

「逃げたわ」


 後でおしおきする、という感じで、二人は別の意味で闘志を高くしてしまう。

 うぅ……怖い。


「とはいえ……」


 ゲオルグを倒さない限り、『後』はやってこない。

 なんとかしないと。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
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