表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

381/547

380話 あまり意味はない

「これで力の差は理解しただろう」


 ゲオルグが勝ち誇った顔で言う。


 余裕の表情を浮かべて。

 勝利を確信している様子だった。


「圧倒的な攻撃力を持つだけではなく、不死に近い驚異的な再生能力。これこそが天使の力だ。お前達に勝ち目はない」

「くっ……」


 クロエ達が怯んでしまう。

 常識外の力を見せつけられて、すっかり萎縮してしまったみたいだ。


 ただ、諦めの悪い人はまだここに。


「なら、あんたはどう!?」

「隙だらけよ!」


 レティシアとアリスが同時に前へ出た。


 左右から挟み込むように駆けて、それぞれ同時に剣を振る。

 タイミングはぴったり。

 いつの間に連携攻撃の練習をしていたんだろう?


 二人の斬撃の目標は、天使じゃなくてゲオルグ。

 命令する者がいなくなれば天使も止まる、と考えたんだろう。


 ただ……

 この短時間で考えつくような方法について、ゲオルグが対策を練っていないわけがない。


「甘いな」

「「なっ!?」」


 見えない壁に当たったかのように、ギィンッ! と二人の剣が弾かれる。

 その刃がゲオルグに届くことはない。


 たぶん、あらかじめ魔法の盾を展開しておいたのだろう。

 天使の力によるものなので、効果時間は通常よりも長い。

 もしかしたら永続的なものかもしれない。


 攻撃はバッチリ。

 守備もバッチリ。

 攻防共に完璧だ。


 ……と、普通ならそう思うかもしれない。


「なら、今度は俺が試してみようかな」


 アリスとレティシアに続いて前に出る。


 天使の力を目の当たりにして、俺が思ったこと。

 それは……そんなに大したことないのでは? というものだった。


 強力な攻撃を有している。

 でも、咄嗟の防御で防ぐことができた。


 不死に近い再生能力を有している。

 でも、無敵に近い結界を持つ魔人に比べたら、まだかわいいものだ。


 と、いうわけで……

 天使は驚異だけど、でも、魔人と比べるとあらゆる面で劣っている。

 その魔人を撃破した経験があるから、絶体絶命とは感じなかった。


「というわけで、いくよ」

「「っ!?」」


 俺が魔力を練り上げるのを見て、アリスとレティシアは顔を引きつらせた。

 そして、慌てた様子でクロエ達を連れて後ろに下がる。


 その様子を見たゲオルグは怪訝そうな顔に。


「なんだ? なにをするつもりだ?」

「大したことじゃないよ。ただ単に、中級魔法を使うだけ」

「中級魔法? なんだ、それは。ハッタリか? それともヤケになったのか?」


 ハッタリでもヤケでもない。

 それをすぐに証明してみせる。


「フレアブラスト」


 瞬間、世界が白に染まる。


 超高温の炎は太陽のように輝いていた。

 熱波と衝撃が吹き荒れる。

 ただ、それはあくまでも二次反応。


「!?」


 白く輝く炎が天使に迫る。

 ここで、天使は初めて防御行動に出るけど、遅い。


 豪炎が天使を飲み込んだ。


 アリスとレティシアの攻撃のダメージがまだ残っていたのだろう。

 さきほどの剣筋に沿って体が分離していく。

 手足が胴体から分かれて、さらに複数の欠片になって……


「!?!?!?」


 灼熱、豪炎、烈火……それらの猛威に天使は必死になって抗おうとする。

 でも、全てが遅い。


 天使は必死になって防御結界を展開するものの、展開した直後、すぐに壊れてしまう。

 壊れた体を再生させようとするものの、それよりも破壊する速度の方が上だ。


 天使の体が少しずつ塵になって……

 いや。

 それ以上に分解されていって、欠片も残すことなく消滅する。


 それはほどなくして全身へ広がり……


「うん、こんなところかな?」


 魔法の効果が収まり……

 天使は欠片も残さずに消えてしまった。


 再生するのなら一撃で完全に消滅させてしまえばいい。

 わりと簡単な話だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ