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354話 なんでこんな状況に?

 少し離れたところに広場がある。


 たくさんの人が集まっていて……

 それらの群衆を押し止めるかのように、いくらかの武装した兵士達が。


 そして、それらの中心にレティシア。

 なぜか磔にされていた。


「……え、どういうこと?」


 ちょっと目を離したら、幼馴染が磔にされていました。

 そんな無茶苦茶な話が現実に起きていた。


 いや、本当にどういう状況なの、これ?


 混乱しつつ……

 現状を把握しようと、ひとまず観察に努める。


「これより公開処刑を開始する!」


 兵士が声を高くしてそう言う。


 それに反応して、群衆達が次々と叫び声を響かせた。

 殺せ―、だの。

 焼いてしまえー、だの。

 なんともまあ、物騒な言葉を連発している。


「えぇ……」


 大変だ、とか。

 危ない、とか。

 そんな感想は出てこなくて、いったいなにをやっているの……? という、呆れに似た感情が出てきてしまう。


 レティシアは勇者だ。

 そして、悪魔の魂を宿した魔人でもある。


 普通に考えて、あんな風に捕まるなんてことありえないんだけど……


「とりあえず、助けないとダメか」


 ちょっと目を離したらトラブルを引き連れている。

 困ったレティシアだった。




――――――――――




「これより公開処刑を開始する!」


 兵士が高らかに叫ぶ。

 そして、手に持つたいまつを使い、足元の木くずに引火させようとした。


「こら! 問答無用で処刑とか、なに考えてるのよ!? ちょっと、私の話聞いているの!? 答えなさいってば!!! ぶっ飛ばすわよ!?」


 レティシアは強気に勝ち気に叫ぶ。

 しかし、体を縛る縄は、どれだけ力を入れても解けることはない。


 正確に言うと、力をうまく出すことができない。

 水の中にいる時、自由に体を動かすことができないのと同じで……

 魔力を放出しようとしても、なにか、に邪魔されてうまくコントロールできない。


 デタラメに。

 全力を振り絞れば、なんとかなるかもしれないが……


 その場合、まず間違いなく周囲の人間を巻き込んでしまう。

 兵士だけではなく民衆も。


 巻き込んでもいっか。


 ……なんで考えるレティシアだけど、それはそれでうまく体が動かない。

 ハルにつけられた首輪のせいだ。

 おしおき機能だけではなくて、ハルの許可なしに全力を出すことはできないようになっていた。


「あのバカ! 余計な機能をつけて!」

「うるさいぞ! 最後くらいおとなしくしてろ!」

「今から殺されるって時に、おとなしくしていられるもんですか! ぶっ飛ばすわよ!?」


 絶体絶命の状況なのに、レティシアは強気の姿勢を崩さない。

 彼女らしいといえた。


 そうして兵士と話をすることで、意図せずに時間を稼いで……

 そのおかげで命を繋ぎ止めることになる。


「ファイア」


 誰かが魔法を詠唱した。


 直後、すぐ近くで爆炎が上がる。

 着弾地点が地面だったらしく、同時に、派手に土煙が舞い上がる。

 二つの煙で視界がゼロになる。


「げほっ、こほっ!? なによ、これ!」

「レティシア」

「え……」

「いくよ」


 いつの間にか、レティシアの拘束は解けていた。

 それから、抱きかかえられる感触。


「……」


 レティシアはなにも言わず、体を委ねて……

 それから、ちょっと甘えるように抱きついた。

今週、二回更新を休みます。詳細は活動報告にて。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[一言] もう作品キーワードに「ツンデレ」をつけてもいいのでは……?
[一言] 何かやらかして、とっ捕まって、連行中かと思えばいきなり公開処刑?(゜o゜; レティシア本人なのは間違い無さそうだけどこの国って鎖国か何かで不法入国は即刻処刑か?(٥↼_↼)
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