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268話 着々と準備は進む

 最近思うのだけど、リキシルの体力は無限なのだろうか?


 午前は俺の稽古。

 短い昼休みを挟んで、政務。

 夕方になったところで、自身の鍛錬。


 超人のようなスケジュールだ。

 俺が真似したら、途中で倒れてしまうと思う。


 武術都市の領主を務めるとなると、色々と違うんだろうな。

 すごい、と素直に尊敬するばかりだ。


 ただ、彼女のすごいところはこれで終わらない。


「よし! じゃあ、始めるか」

「オッケー」


 夜。


 リキシルはシルファと対峙して、拳を構える。 

 シルファも拳を構える。


 武術大会に向けての訓練だ。


 見ただけでシルファの実力を見抜いたリキシルだけど……

 戦い方の癖や戦術の組み立て方などは、さすがに理解していない。


 なので、それを理解するために一戦交えることに。

 なんでも、拳を交わせばある程度のことはわかるとか。


「だ、大丈夫でしょうか? シルファさん、怪我をしたりしないでしょうか……?」

「お嬢さま、落ち着いてください。きっと問題ないでしょう」

「そ、そうでしょうか……?」

「はい」


 観戦するアンジュは、とても心配そうにしていた。

 対するナインは、とても冷静だ。

 対称的な二人がちょっとおもしろい。


「じゃあ、いくぜ」

「いいよ」


 みんなに見守られる中、二人はぐっと全身に力を込める。


 にらみ合い……

 そして駆ける。


「「はぁっ!!」」


 真正面から激突した。


 シルファは拳撃を。

 リキシルは蹴撃を、それぞれに繰り出していた。


 互いにそれをガード。

 すぐに次の手を繰り出して、嵐のような攻撃を展開する。


「……すごいわね」

「……とてもわたくしには真似できませんわ」


 アリスとクラウディアが揃って顔をひきつらせていた。


 シルファがすさまじいのは知っていたけれど……

 リキシルの力は想定外だったらしい。


 俺も驚いていた。

 稽古をつけてもらっているものの、本気で戦う機会なんてないし……

 まさか、これほどのものだったなんて。

 規格外のシルファを戦えるなんて人、ほとんどいないのに。


「せいっ!」

「やぁっ!」


 シルファが苛烈なコンボを繰り出したら、リキシルは華麗なコンボを披露する。

 リキシルが痛烈な一撃を打つのなら、シルファは鋭い一撃を放つ。


 一長一短。


 どちらが特別優れているわけではなくて、ほぼほぼ互角のように見えた。

 いや。

 わずかにだけど、リキシルの方が上かもしれない。


 力と技術は同じ。

 でも経験が違う。

 リキシルの方が上らしく、次第にシルファを押し始めた。


 そして……


「はっ!」

「くっ!?」


 鋭い気合と共に突き出されたリキシルの拳が、シルファの眼前で止まる。


 勝負あり、かな?


「むう……降参」

「よっしゃ、あたしの勝ちだな」

「ここまでなんて。ちょっと、シルファは悔しいかな」

「なに言ってんだよ。シルファは相当なものじゃねえか。あたしが勝てたのは、ちょっと運が良かっただけ。もう一度やれば、どうなるかわからねえな」

「なら、今度リベンジしてもいい?」

「ああ、もちろんだ」

「オッケー、約束」


 握手をする二人。


 いつも無表情なシルファだけど、心なしか笑みを浮かべているような気がした。

 拳を交わすことで友情が生まれたのかな?

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
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