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254話 おもしろい

「全力で?」

「ああ、全力でこい」


 「ハル、ダメだからね!?」とか。

 「ハルさま、それはとても危険ですわ!」とか。

 「ハルさん、がんばってください」とか。


 色々と聞こえてきたものの……

 とりあえず、今は気にしないことに。


 まずは、リキシルに認めてもらわないと。

 たぶん、そうしないと、紹介状があったとしても彼女は稽古をつけてくれないような気がした。

 出会って間もないけど、そんなことを思う。

 そして、その予想は間違っていないはずだ。


「じゃあ、いくよ」


 右手を前に突き出して、魔力を込める。


 それを見たアリスとクラウディアが、慌てた様子で遠くへ……

 逃げようとして、その前に、応援を続けようとするアンジュを引っ張っていく。


「……」


 魔力を装填。

 魔法の構成を組み立てていく。


 そして……開放。


「エクスプロージョン!!!」


 巨大な炎弾が放たれた。

 荒れ狂うような激しい業火が、リキシルに向けて一直線に飛ぶ。


 リキシルは、ちょっと目を大きくして驚いていた。


「ははっ、やるじゃねえか。ここまでとは思ってなかったぜ」


 なんて言いつつ、楽しそうに笑う。


 余裕があるように見えるけど……

 なんだかんだで、まだ予想の範囲内なのかな?


「とはいえ、コレを受け止める結界なんてものはねえから、困ったな」

「えっ」

「ま、安心しろ。あたしの力を見せてやる」


 リキシルは拳を腰だめに構えた。

 力を溜めるように、しっかりと舞台を踏みしめる。


 炎弾が迫ることも気にせず、また、逃げようとすらしない。


 息をゆっくりと吸い……

 そして、一気に吐き出す。


「おらぁっ!!!」


 裂帛の気合と共に拳が突き出された。


 その際、キラキラとした光の粒子がこぼれていたように見えたのだけど……

 うーん、気のせいかな?


 そして……


 俺を含めて、みんなの目が丸くなる。

 それも当然だ。

 リキシルは、巨大な炎弾を……エクスプロージョンを殴り飛ばしたのだから。


「「ウソだぁ!?」」


 アリスとクラウディアが驚きに叫んで、


「わぁ、すごいですね」


 アンジュは、マイペースにリキシルを称える拍手をしていた。

 ナインも、きっちりと主の真似をしている。


 サナとシルファは、そもそも稽古に興味がないらしく、端で寝ていた。


「ふう、さすがにちとやばかったな。配分を間違えてたら、どうにかなってたかもしれねえな」

「……」

「お? どうした、鳩が豆を投げられたような顔をして」

「いや……うん。リキシルはすごいね」


 実のところ、ちょっとだけ自信があった。

 リキシルを驚かせて、すごいな、って言わせよう……なんて欲張りなことを考えていたことは事実だった。


 でも、逆にこちらが驚いた。


 まさか、エクスプロージョンを殴り消してしまうなんて……

 魔人相手に魔法が通じないことは経験しているのだけど、こんなことは見たことがない。

 シノやリリィも、こんなことはできないのでは?


「魔法を殴り飛ばすなんて、初めて見たよ」

「そう言う割には、あんま驚いてないみたいだな?」

「ううん、すごく驚いているよ。驚きすぎて、ちょっと感情が麻痺しているのかも」

「そっか。へへ、そう言ってくれるのなら、とっておきを見せた甲斐があったな」

「……とっておき……」


 なんだろう?

 ものすごく興味がある。


 リキシルに稽古をつけてもらうとしたら、今の技を教えてくれるのかな?

 だとしたら、すごく期待したいのだけど……


「おいおい、そんな物欲しそうな目で見るなよ。そんなにあたしの技術と知識に興味があるのか?」

「ものすごく!」

「言い切りやがったな。まあ、その方がわかりやすくていいか。世の中には、どうも、遠回りでものを言うヤツが多くてな。そういうのはめんどくせえ。ハルくらいわかりやすい方が、色々とやりやすく、スッキリするってものだ」


 褒められている……?


「ま、これなら問題ねえか。ハルに教えてやるよ……結界をな」

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
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