表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

205/547

204話 必殺技、完成!

「ヒカリ、力を貸して」


 アリスは剣を構えて、そうつぶやいた。

 その声に応じるように、光の球……彼女が使役する精霊が現れる。


 ヒカリと名付けられた精霊で……

 以前、偶然に知り合い、アリスが使役している。


 ヒカリは、祝福を与えるかのように、アリスの剣の周りを飛ぶ。

 そして、最後に自身が刃の中に溶けて消えた。


「……よし、いくわよ! ダブルスラッシュ!」


 アリスの剣技が、影の騎士に向けて発動した。

 高速の二連撃。

 初級に分類される剣技なので、それほどの威力はない。


 ないはずなのだけど……


「おぉ」


 影の騎士は大きな盾を構えるものの、アリスの剣は、その盾を切り裂いた。

 強引に押し切るというよりは、そんなものは意味がないというかのように、抵抗はゼロだ。


「ふぅ……こんな感じかしら? 制御が難しくて、連発はできないけど……うん。ほぼほぼ成功できるようになったわ」

「すごいね、アリス。まさか、半日でものにするなんて」

「それは……うん、クラウディアのおかげね」

「ふふっ、そう言っていただけると、とてもうれしいですわ」


 そうやって微笑むクラウディアは、一番最初に空間操作を習得した。


 俺と同じく、まだまだ練習は必要なのだけど……

 感覚は理解したらしく、簡単な操作ならほぼほぼ成功するように。


 魔法学院生徒会長は伊達じゃない。

 やっぱり、彼女は天才だ。


 そんなクラウディアの説明はとてもわかりやすく、みんな、彼女に教授してもらうことに。

 結果、アリスは半日ほどで空間操作のコツを掴むことができた。


 精霊の力を借りて、空間を斬る。

 新技の完成だ。

 名付けるのなら、ディメンションスラッシュ、というところか?

 あるいは、次元斬?


 そこのところを尋ねてみると……


「んー……なら、最初にハルが考えてくれた、ディメンションスラッシュで」


 前者の名前が採用されるのだった。


 防御を無視して、どんなものでも切り裂くことができる。

 アリスの必殺技の完成だ。


 師匠側のクラウディアも、空間操作を習得した。

 俺が見せたものと同じく、魔法で空間を切り裂く。


 彼女の場合は、雷撃の剣……ライトニングソードで空間を裂く。

 雷撃の剣は、俺のフレアソードを参考にして、一緒に開発した魔法だ。

 初めての共同作業と、なにやら喜んでいたのだけど、あれはどういうことだったのだろう……?


 それはともかく。

 アリスとクラウディアの二人が必殺技を習得。

 魔人相手にはまだまだ厳しいだろうけど、ファントムなら、これでなんとかなるかもしれない。


 そんなことを思っていたら、サナとシルファがとんでもない成果を叩き出した。


「すぅー……うりゃあああああっ!!!」


 サナのドラゴンブレス。

 影の騎士は盾を構えるが、そんなものは関係ないとばかりに、全てを薙ぎ払う。


「師匠ー! どうっすか? 見てたっすか?」

「えっと……今のは?」

「師匠を参考に、ブレスで空間を薙ぎ払ってみたっす!」

「ブレスで空間を……」


 なるほど、その手があったか。

 と、思うのだけど……

 俺も思いつかないようなことを、簡単に思いついて実行してしまうなんて。

 サナって、もしかして賢い?


「ハル、シルファもできるようになったよ」

「え?」

「えいや」


 気の抜けたかけ声。

 しかし、それとは正反対に、シルファが繰り出した拳は絶大な破壊力を秘めていた。


 再生したばかりの影の騎士を拳が貫いた。

 さきほどのアリスと同じように、防御なんて意味ないとばかりに、黒い鎧を貫通する。


「どう?」

「す、すごいね……」


 破壊力に関しては、この二人が一番ではないだろうか?


「二人共、いつの間に……?」


 様子を見ていたアリスが、驚いて、問いかける。


「コツは、わりと最初に掴んだっす」

「だから、コツコツと調整と練習を繰り返していたよ」

「そんなにすぐに……才能があるのかしら?」

「自分、才能なんてないっすよ。ただ、師匠の教え方がすごくわかりやすかったっす」

「え? ハルの教え方がわかりやすい?」

「うん、わかりやすい。シルファでも、すぐに理解することができた」

「……天才は天才同士、シンパシーのようなものでもあるのかしら?」


 アリスは遠い目をして、そんなことを言うのだった。

『面白かった』『続きが気になる』と思って頂けたなら、

ブックマークや☆評価をしていただけると、執筆の励みになります。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ