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199話 妖精の集落

 ルミエラの案内でダンジョンを進む。


 思いもよらないところに隠し扉が。

 また、トラップと見せかけた転移陣も。


 そんなものを何度か経由した後、妖精の集落にたどり着いた。


「へぇ」


 妖精の集落は、ダンジョンの一角を改造して作られていた。


 妖精のサイズがサイズなので、小さな家を想像していたのだけど、そんなことはない。

 家のサイズは、俺達人間のものと大して変わらない。

 家具の大きさも変わらない。


 ルミエラ曰く、大は小を兼ねるとのこと。

 あと、大きな家具を使うとお金持ちになった気分になれる、とのこと。


 意外と俗っぽい理由だった。

 まあ、さすがにフォークやコップなどは妖精サイズだったけど。


「はい、どうぞなのよ」


 ルミエラの家にお邪魔して、お茶をもらう。

 人間用のサイズも用意してあるらしく、普通のティーカップだ。


「こんにちはー、私が、この里の長のアリエイルですー」


 ルミエラとよく似た妖精が、ぺこりと頭を下げた。

 姉妹なのかな? って思うくらい似ている。


 ただ、髪は燃えるように赤い。

 それでいて宝石のように綺麗で、まるでルビーだ。


 俺達も自己紹介をして、よろしくお願いしますとお辞儀をした。


「あらあら。あなた……なかなか、というよりは、かなり強い魔力持っているのですねー」

「わかるんですか?」

「わかりますよー。伊達に、妖精の長をやっていませんからねー」


 のんびりとした口調だけど、その目は鋭いような気がした。

 長を務めているから、能力だけではなくて、洞察力などにも優れているのだろう。


「話はどれくらい聞きましたかー?」

「詳しいことはなにも。なにか困っていることがあって、その解決に力を貸してほしい……って」

「そうですかー、やれやれー」


 困った様子で、アリエイルはため息を一つ。

 それから、ルミエラの方を見る。


「ルミエラ、ダメですよー。こちらがお願いをするんですから、ちゃんと説明をしないとー」

「……私は悪くないのよ。説明は後で、っていうのにハル達は納得していたのだから」

「ルミエラー」

「……」

「ル・ミ・エ・ラ?」

「……ごめんなさいなのよ」


 アリエイルは、あくまでも笑顔。

 しかし、謎の圧力があって、それに屈したルミエラは渋々という感じながらも頭を下げた。


 長をやっているだけあって、穏やかそうに見えても、実は怖いのだろう。


「まったく、仕方ない子ですねー。ルミエラが無茶を言ったみたいで、すみませんー」

「いえ。無茶といえば……まあ、無茶なのかな?」

「ハルさん、そこは認めてしまうのですね……」

「まあ、ハルだからねえ」


 アリスとアンジュが苦笑した。


「えっと……と、とにかく。無茶ではあるものの、納得した上でのことなので。騙されたとか無理にとか、そういうことはないので」

「そう言っていただけると助かりますー」

「それで……詳細を聞いてもいいですか? なにか、困っていることがあるとか」

「はいー、そうなんですよー」


 アリエイルの深いため息。

 それから、困りごとの内容を話してくれる。


「実は……ここ最近、魔物が里を荒らしていましてー」

「魔物が?」

「トレイターさん達ならわかると思いますが、里にたどり着くには、色々と手順を踏まないといけないのですよー。単純に歩くだけでは、ここにはたどり着けないようになっているのですー」


 確かに。

 迷路を探索しているみたいで、初見で妖精の里にたどり着くことは、ほぼほぼ不可能だろう。


「ただ、絶対とは言い切れないんですよねー。たまーに、運良くたどり着いてしまう魔物なんかがいるんですよー」

「もしかして……」

「はい、その魔物を駆除してほしいのですー」


 魔物の討伐か。

 それなら問題は……


 いやいや。

 油断したらいけない。

 もしかしたらとんでもない魔物かもしれないし、そうでなくても、とてもトリッキーな性質を持っていて討伐困難かもしれない。


 色々な可能性を想定して、絶対に失敗しないようにしないと。

 もしも失敗したら、困るのは妖精達なのだから。


 うーん。

 詳細を聞かずに、魔物の討伐と聞いて大丈夫、と思うなんて……

 最近、ちょっと気が緩んでいるのかな?

 気を引き締めないと!


「どうかしましたかー?」

「いえ、なんでもないです。それで、どんな魔物なんですか?」

「強さは、そんなに大したことはないんですけどねー。私達妖精は非力ですが、魔法はそれなりに使えますからね」

「なるほど」


 そんな妖精が苦戦する相手……そんな魔物が、今回の敵というわけか。


「ただ、とても厄介な性質を持っている魔物でしてー」

「厄介な性質?」

「はい、実はー……」


 アリエイルから魔物の詳細な情報を聞いて……


 なるほど。

 確かにそれは厄介だ、と納得した。

 みんなも顔をしかめてしまうほどだ。


 その厄介な敵の名前は……


「ファントム……か」

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
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