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153話 家の呪縛

 悪魔に関する知識や、それに対抗する力を手に入れる。

 本来の目的から外れてしまうのだけど……

 でも、クラウディアを放っておくことはできない。


 当初の目的は一時停止。

 俺達は、クラウディアのために全力を尽くすことにした。


 ファナシス家のことを調べて、学術都市のことを調べて……

 家族についての話などをクラウディアから聞いて、情報収集をする。


 目的は、アインが示した愚行を二度と繰り返させないこと。

 そのために、色々と動いていたのだけど……


 そんなある日、俺達はシノに呼び出されることに。


「キミ達ねぇ……いったい、なにをしたんだい?」


 シノはものすごく苦い顔をしていた。

 そんな状態で、ジト目をこちらに向けてくる。


「えっと……なんのことだろう?」

「なにかしら?」

「なんでしょう?」


 俺とアリスとアンジュは、揃って首を傾げた。

 そんな俺達を見て、シノが呆れたような吐息をこぼす。


「とぼけているのか、それとも素なのか……やれやれ、厄介な生徒を受け入れてしまったね」

「どんまい」

「シルファさま。そのような言葉は、今は逆効果になるかと……」

「気にすることないっすよ!」

「サナさま。その言葉も、やはり逆効果になるかと」


 シルファとサナに律儀にツッコミを入れるナイン。

 色々と苦労していそうだ。


 そんな俺達を見て、クラウディアがため息をこぼす。


 ちなみにシルファ達はシノに呼び出されていないのだけど、俺達のことを知り、ついてきた。

 放っておけない、という言葉がとてもうれしい。


「なんていうか……あなた達を見ていると、緊張がどこかへ飛んでしまいますわね」


 クラウディアも一緒に呼び出されていた。


 ちょっと、とぼけてみせたものの……

 実は、大体のところは察していた。

 この面子が学院長に呼び出される理由なんて一つしかない。


「もしかして、アインがなにか?」

「もしかしてもなにも、その通りさ」


 やれやれと言いたそうな顔をして、シノが吐息をこぼす。

 今日、何度目の吐息だろうか?

 それくらいに頭の痛い事件が起きた、ということかな?


「アインが抗議をしてきた、とか?」


 おもいきり殴り飛ばしたからな。

 目が覚めた後は、覚えていろよ、なんてテンプレな台詞を残して消えたし……


 なにか起きるだろうな、という予感はあった。


「ただの抗議なら、安いものなんだけどね」

「うん?」

「ということは、ただの抗議じゃないのかしら?」


 アリスの問いかけに、シノは疲れた様子で答える。


「アインじゃなくて、ファナシス家そのものが動いたよ」

「っ」


 シノの答えに、クラウディアの表情が強ばる。


 彼女はここにいない方がいいのでは?

 ふと、そんなことを思う。


 家のことがトラウマに……

 呪縛になっているクラウディアには、厳しい話になるかもしれない。


「大丈夫?」

「……はい、大丈夫ですわ。心配していただき、ありがとうございます」


 厳しいようなら外で待っていても……と思ったのだけど、クラウディアは退室することはない。

 表情を強張らせて、指先を震わせつつも、この場に踏みとどまる。


 なかなかできることじゃない。

 とても強い人だな。


「ファナシス家はなんて?」

「……大事な長男に暴力を振るうなどということは、決して許されない愚行であり、断罪されなければならない。そして、そのような生徒を所属することを許した魔法学院の責任問題でもある。よって、僕……シノ・フラムシュタインの学院長の解任を要求する、ってさ」

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[気になる点] アインはファナシス家の次男って自己紹介してたけど ファナシス家の長男が暴力を受けて抗議してきてるのは何故なんだぜ?
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