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140話 因縁のあの子

 手続きを終えた俺達は、さっそく、今日から授業を受けることに。

 一日でも無駄にしたくないので、すぐの授業はありがたい。


 残念なのは、俺とアリスとアンジュ、それぞれ別のクラスに配属されることだ。


 俺は、攻撃魔法学科。

 主に攻撃魔法を学ぶためのクラスだ。

 魔人に打ち勝つような魔法を欲しているため、このクラスを選択した。


 アリスは、特殊魔法学科。

 一部の人にしか使えないような、限られた魔法を使用する人が在籍するクラスだ。

 彼女は精霊と契約したため、このクラスを選択した。


 アンジュは、神聖魔法学科。

 主に神官が在籍しているクラスだ。

 聖女見習いということを考えると、当たり前の選択だろう。


 バラバラになってしまったことは残念だけど……

 でも、ずっと離れ離れというわけじゃないし、それぞれ、できることをがんばっていきたいと思う。


「えっと……今日からここで学ぶことになった、ハル・トレイターです。よろしくお願いします」

「自分は、師匠……ハル・トレイターさんの付き人のサナっす。よろしくっす」


 攻撃魔法学科のクラスに案内されて、壇上で無難な挨拶をした。

 一人ではなくてサナが一緒だから、あまり緊張しない。


 パチパチパチ、と友好的な拍手で迎えられるのだけど……


「ふんっ」


 一人、拍手をしていない生徒を発見。


 クラウディア・ファナシスだ。

 まさか、彼女が同じクラスなんて……


「……波乱の予感だなあ」




――――――――――




 悪い予感というものは的中するもので、


「ハル・トレイター!」


 最初の授業が終わり、十五分の休み時間。

 クラウディアが俺の席の前に立ち、厳しい目で睨みつけてきた。


「えっと……なにか?」

「いい気にならないことですわ!」

「え?」

「あなたは学院長の試験を乗り越えて、魔法学院に入学したと聞いていますが……わたくしは認めませんわ! なにかしらの小細工をして試験をくぐり抜けた、そうに違いありません!」

「えっと……」

「今はまだ、その証拠はありません……しかし、いつか必ず、証拠を掴んで見せましょう! そして、あなたが魔法学院にふさわしい者ではないと証明して、学院長の目を覚ましてさしあげますわ!」


 クラウディアは、ドヤ顔で言い放つ。


 つまり……

 これは、宣戦布告ということだろうか?


 だとしたら、俺はどうするべきなのか?

 上等だ、と強気に出るべきなのか。

 あるいは、なにも悪いことはしていませんよと、穏やかに対応するべきなのか。


 今回の返事で、クラウディアとの関係が大きく変わるような気がした。

 ここは慎重に考えて……


「ふんっ、弱い者ほど吠えるって聞くけど、まさにその通りっすね!」


 サナ!?


「なんですって……?」

「師匠が小細工をして試験をくぐり抜けた? そのようなこと、するわけがないっす。師匠は、師匠の実力で合格を勝ち取ったっす。そんなこともわからないなんて……っていうか、そう言うってことは、あの学院長の判断を疑うってことっすよ?」

「うぐっ!?」

「そもそも、ファナシスはこの前いきなり襲いかかってきた時、師匠に手も足も出なかったじゃないっすか」

「むぐっ!?」

「それなのに、まだ実力差があることがわからないっすか? ぶっちゃけ、師匠とファナシスの間には、天と地ほどの差があるっす。ドラゴンである自分が保証するっす」

「あぐっ!?」

「キャンキャン吠える前に、まずは周囲を見て、それから己自身を見つめ直して……それから出直してくるといいっすよ!!!」


 荒波を立てたくないというのに……

 サナは、自ら荒波を立てるような発言をぶちかましてくれた。


 わりと勢いに任せての発言のように聞こえたけれど、クラウディアにとっては、痛いところを突かれたらしい。

 クラウディアは顔を歪めて……

 なにかしら反論しようと口を開くものの、しかし、言葉は出てこない。


 そして……


「お……お……」

「お?」

「覚えてなさいですわーーーっ!!!」


 悪役のような捨て台詞を残して、どこかへ走り去ってしまう。

 あまりの素早さに止める間も声をかける間もない。


「……もうすぐ、次の授業が始まるんだけど」


 彼女はエスケープをしてしまうことになるのだけど、それでいいのだろうか?


「ふふんっ、一昨日来やがれっす」

「……サナ」

「師匠、自分に任せてくださいね。あんな女、何度来ても追い払ってやるっす!」

「しばらく口を開かないように」

「なんでっすか!?」


 ガーン、とショックを受けるサナを見て、俺は深いため息をこぼすのだった。




――――――――――




 魔法学院の授業は、大きく分けて二つの種類がある。


 一つは講義だ。

 単純に、魔法の使い方や習得方法についての講義。

 それだけではなくて、魔法に関する歴史や知識も教えてくれる。


 正しい魔法を使うためには、正しい知識が必要。

 そんな理念があるらしく、しっかりとした講義が行われていた。

 力だけではなくて、知識も欲しているため、俺にとってはありがたい。


 もう一つは実践だ。

 実際に魔法を使うことで、習熟度を高めていくという内容の授業だ。


 知識を蓄えることは大事ではあるが、しかし、それだけでは意味がない。

 実際に魔法を使い、その感覚を己の体に覚えさせることが大事である。

 故に、実際に魔法を使う授業が必要……とのこと。


 こちらもありがたい。

 いまいち、俺は魔力をコントロールできていないところがあるから……

 この機会を使って、適切に魔力を使えるようになりたいと思う。


 さあ、がんばろう。


「くぅ……!」


 気合を入れるのだけど、でも、どこにいてもクラウディアの鋭い視線が飛んでくる。

 その強さは、休み時間の時よりも厳しい。

 やっぱり、サナに挑発されたせいだろう。


 はあ……と、再び深いため息をこぼすのだった。

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◆◇◆ お知らせ ◆◇◆
再び新作を書いてみました。
【氷の妖精と呼ばれて恐れられている女騎士が、俺にだけタメ口を使う件について】
こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
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