563話 ガチすぎると面白くない
職人が持て余している武器ってのは大体、何かしらの癖があるわけで。
貰った三丁の銃を提げて使ってたら頭を抱えるってどういう事なんだろうね。火力がなかったり、極端なステータスでやたらと使い勝手が悪いってのが大体なんだけど、何一つ癖が無いってのが面白みに欠けすぎる。
「ゲームとしては正しいんだけどさあ……」
『アカメ』としては癖のない銃を使うのは何となく負けたというか、折角やってるゲームなのに面白みが薄いってのがネック。『ロテア』としては、ガチの攻略プレイヤーとして正しい姿だから間違っていない。あー、私って難しいプレイヤーだこと。
「癖もなく、程よく強い、動作周りは特に問題ないというかスムーズ過ぎて逆に怖い」
そもそも前装填式やリボルバー、中折れ、クリップ式、装填数の少ない銃だったり装填に難があるものばかり使ってきた弊害ともいえる。
「ロテアさん!援護を!」
「はいよ」
先ほどまで構えていたハンドガンを胸元に仕舞い、背中に背負っていたARに切り替えて射撃。これまたバカでかいドラゴンが咆哮と火炎をまき散らしながら暴れまわるのに五月蠅いと言わんばかりに射撃を繰り出し続ける。
「あいつ倒した事ある奴いるのか?」
「ガウェインとかいう犬獣人のクランが倒し済みですよ!」
「どこにでもいるな……」
しらみ潰しにマップを探索したうえで、ボスを見つけてきっちりと倒している。ほんと、あいつの原動力ってのがどこからどう出ているのかが気になる。そんな事を考えつつ、撃ち切ったARのマガジンを抜き、上下反転させてすぐに装填。物凄い簡単な事だけど、やたらと便利だよな、このダブルマガジン方式。使う材料も何かしら巻いて固定すりゃいいって代物だし。
「簡単な事の方が思いつかないんだよなあ」
飛び上がるドラゴンを見てARからSRに持ち替えつつ走って移動。直後に自分の立っていた所に火柱が上がる。こういう大雑把な相手って、物凄い大味なんだけど、ゲームをしている時に限っては面白い。
「アカメだったら、あの火柱使って一服なんて事をしそうだ」
そんな事を言いつつ、飛び回っているドラゴンの攻撃をパーティ全員で避け、反撃を繰り返す。今回のパーティだとタンク1、短剣持ち1、ヒーラー1、魔法使い2、ガンナー1の後衛寄りの編成。パーティとしてはこのボスが狙いだったけど、私としてはこのマップの先にある街とダンジョンが目的なので、このボス戦はマジで通り道。
「それにしたって当たらん」
セミオートのSRを持ってきたけど、結構な速度で飛び回ってくれるおかげで狙いが付けにくい。高速移動する相手には銃って相性が悪いな。横で魔法を撃っている連中に関しては、ホーミングしてくれるおかげで魔法を撃ち徳。ホーミング系の弾って銃器って言うよりもミサイル系の兵装になるから、ポッドみたいなものを手に入れて、光波、電波の技術を作り出して……。
「なんて、余計な事を考えるのが悪いくせだってな」
魔法を食らいたじろぐと共に落下してくるドラゴンから遠のき、前衛の後ろ、ヒーラーの近くに陣取ったらARに持ち替えてまた射撃、容赦のないヘッドショットと見せかけて、薄いであろう目の部分を狙う当たり、私って外道だな。なんて事を考えていると、ポリゴン状に消失していくドラゴン。やっぱり直撃すると固定ダメージの強みが出てくるから連射系でトドメって流れになるとぶっちぎりで強いのは確かよね。1マガジンで数万の金が吹っ飛ぶって事実に目を瞑ればって条件が付くけど。
「やっぱガンナーがいると殲滅力が上がりますね」
「ん、強い」
ハマれば強いってのはどのゲームでも大体そうなんだよなあ。ああいうドラゴン狩りするゲームじゃ、重いボウガン専門で使ってたりするし。
「ま、お疲れ」
ふいっと一息ついてから構えていたARを下ろして一服。ドロップ品の牙やら皮やら装備品に関してはゴリマッチョに横流しするから良いとして、ガンナーの装備問題の一つに、モンスターからのドロップ品が殆どないってのも上げられる。経験値と金の部分でしか、モンスター倒す旨みが無いってのはちょっと寂しい所。まあいきなりドラゴンなりの腹からライフル出てきてもちょっと引くんだけど。
「これからどうします?」
「私は抜けるよ、目的は達したし、先に用事あるから」
エリア的には東の9-4、次の街が現時点で発見されている最後の街になる……らしい。
まああんまり増やしてもしゃあないから、この辺で区切りをつけてるんだろうけど。
「それじゃあお疲れ様」
簡単な挨拶を済ませたら解散、してそのままのんびりと先に進んでいく。
「こうしてみると、遠い所まで来たもんだ」
適正レベルとしてはとっくに私よりも上にいるので油断するとワンパン即死って点を除けばいい所よ。まあここの街まで来て、目的の工学があるかって言われるとそれはNOなんだけどさ。




