41話 計画見直し
酒場から出て多少なりと気分を戻した上で鍛冶ギルドの方へと足を運ぶ。やっぱり人と話すのは疲れる。そもそも名前も聞いていないし、こっちの条件を押し付けただけの脅迫みたいなもんさ。
「そういえばテンション上がりすぎて速攻で物を作ったけど……本当ならここで伐採と錬金のレベル上げる予定だったわ」
計画5はスキップっていうか後回し。元々念の為のレベリングだったし、っていうか単純にあの時のテンションおかしかっただけだわ、伐採錬金のレベリングもしてないし、なんなら調合と錬金の差も確認してないな。
「ねえ、どう思う?」
「ワシに言われてものう」
鍛冶ギルドの爺さん相手にどうこう話すの気楽。AI搭載とは言えNPCだから気も使わないし、別に期待している返事をしてくれなくてもいい。とりあえずギルド内のベンチに座ってからログアウト。
HMDを外していつも通り硬くなった体を解す様に伸びたりストレッチをする。流石に7時間くらいもぶっ続けでやってると疲れるし、なおかつ今回は色々ありすぎた。火薬に爆死に対人会話。一番食らったのが一番最後の会話ってのも中々だが。
「まあコミュ障の割にはいい交渉できたろ」
あくまで仕事と割り切って会話すればどうにでもなるもんだ。それで神経使いすぎて体壊した経験もあるから効果は実証済みさ。
「っていうかもう2時か、リストとメモ帳整理して、計画見直しして3、4時に寝れればいいかなあ」
HMDにいつも使っているUSBを刺しこんでゲーム内で編集したデータを落としなおして、タブレットの方を更新。やっぱこのシステム凄い便利だわ、忘れてたけどカスタムサウンドとか使ってないな。今度の作業中に流しておくかな
とりあえず読み込ませている間に部屋干ししていた洗濯物を取り込んで畳んで重ねておく。結局自分で着替えたりなんだりするわけだしぐしゃぐしゃにならない状態で丸めてまとめておく。フルダイブのゲームが出来ても家事手伝いしてくれるメイドロボとかは開発されないな。
「便利なのか不便なのかイマイチわかんないわね」
洗濯物を畳んだり、家事をすませてからさっさとシャワーを浴び、着替えて出てくる。まあ読み込みっていってもデータ的に重くないからすぐなんだけど、黙って待つのもあれだし。
「さーてと……とりあえず火薬が出来たってのがでかいのよねぇ……このまま銃を作るってなったら構造的に楽なのは火縄銃かなあ……一回大きいのを作ってから小型化していくか、小型の銃で様子見してから長銃を作るのがいいか……」
小型の火縄銃というのも存在しているので作るのは不可能ではない。けど、考えてみれば最初から長銃身のを作って切り詰めれば短銃身化もすぐできるんじゃないか?そういう可能性を考えれば普通に長銃身の火縄銃作ろう。
「となると、試作品で大量にしくじるから伐採と採掘で鉄鉱石と硬い木材を大量に用意しておいてひたすらギルドで生産かなあ……良い物作るってなるとギルドクエストも受けてグレードの高い施設かあ」
今は鍛冶と錬金の二つのギルドに所属しているので後二つ別の所に所属できる。5つ以上は所属できないのでどこかをやめて入りなおすが、ギルドランク自体は下がらない、消耗するのは金だけだ。とりあえず木工ギルドに所属するのは確定だし、入ったとしても防具関係で裁縫細工辺りになるか。
「材料は良いとしてしばらくはやっぱレベリングか、硝石も多分の目星付いてるからそれの検証して……火縄銃さえできれば後は技術開発だし、最初の目標は大分きてるか」
愛用のタブレットを操作し、いつもの様にリストを更新、メモ帳には乱雑に今考えていた事をとにかく書いておく。それにしてもログアウトした後の行為がストレッチと家事してるだけのゲーム中心生活、なんて自堕落なんだろうか。
「まー、とにかく本体を作るのが暫くの目標かな、エルスタン周りで揃えれればいいけど」
今の所エリア2までの範囲で材料はどうにかなっているので多分揃えられるだろう。まあ思い切り予想だし、これから先のエリアに行けるのはいつになるやら。
「あの情報クラン相手するのに人付き合いしなきゃならんところも結構厳しい気がするわ」
こんなもんだろうと、ふいーっと息吐き出して体を放り出す。盛りだくさんな一日だったよ、っていうかゲーム内が4倍時間だから向こうでかなり時間がたっていても戻ってきたらまだ、みたいな事が起きるので結構混乱する。ただ一人暮らしの長期休暇だから問題ないと言えば問題ないが。
とにかく、今後のやる事として。
1:伐採木工による銃床の作成
→可能な限り硬い木材を大量に入手する
→木材を製材してひたすら成功するまで木工作業
2:採掘鍛冶による銃身の作成
→鉄延べ棒の量産の為に鉄鉱石の採掘場を探す
→上記と変わらず鍛冶作業
→併用してギルドクエストの達成とギルドランクを上げる
3:硝石のドロップの確認
→状況や倒し方の再現でロックラックの詳しい調査
4:黒色火薬の量産及び爆破物の製作
→3を踏まえた上での実験行動、余裕が出来れば
「また地道な事になりそうだわ」
まとめた奴もさらに更新し、タブレットからデータを転送、HMDにまた刺しこんで読み込ませる。
「こうなってくると褐色とか無煙とかTNTとか作れるんじゃないかしらね」
どっちにしろ夢が広がるよ。
「よーし、準備も出来たし……寝よか」
HMDへの読み込みを終わらせていつも使っているベッドに装着せずに横になる。
午前3時就寝、次は10時とか9時くらいに起きるだろ。




