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第77話 戦争の季節(自援絵有り)


「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁっ!?」


 執務室のデスクに積み上がった未決済の書類と請求書の山。

 慰安旅行から帰ってきたテッド・ハーグリーヴスを出迎えたのは、非情(リアル)な現実であった。


 2ヵ月も遊び呆けていれば、仕事も山積みになろうというものである。

 テッドは、傍にひかえていた影武者――ジャスパー・マスケリンをジト目で睨む。


「僕の筆跡まで完璧に真似れるんだから、書類決済もしてくれれば良かったのに……」

「無茶言わないでください。わたしは書類偽造で捕まりたくないですよ!?」


 理不尽な文句を言われて抗議するマスケリン。

 書類決済をしなかったのは正解である。知ったら最後、命に係わるヤバい情報もあったのだから。


「それよりも、報酬を忘れないでくださいよ? 武道館ですよ、武道館っ!」

「あぁ、そういえばそういう約束もあったなぁ……」


 成功報酬を思い出して憂鬱になるテッド。

 影武者を引き受けたがらないマスケリンを翻意させるために、日本武道館で奇術ショー開催を確約していたのである。


 日本武道館がこの時代に存在する時点で、平成会の仕業であることは確定である。だからこそ、テッドは日本武道館での奇術ショー開催は容易であると考えていたのであるが……。


(大日本武徳会を説得しないと開催が難しいとか聞いてないよ。なんとかしないと……)


 日本武道館建設は、平成会の思惑だけで進められたものでは無かった。

 アイドルコンサート目的で計画を進めていたところに、どこで聞きつけたのか大日本武徳会が絡んできたのである。


『日本武道館の名を冠するのであるから、武道専門にして武術家たちに広く開放するべきである』


 史実の日本武道館には、伝統武道の普及奨励と心身錬磨の大道場としての役割があった。そういう意味では、大日本武徳会の意見はまったく正しいものであり、平成会は表立って反論することが出来なかったのである。


「準備が出来たら知らせるから、それまで観光しといてよ。もちろん、ホテル代も含めて全額こっちで持つよ」

「報酬に含まれていないのに、そこまでしてもらって良いのですか? 結構な出費になると思うのですけど……」

「僕は400万ポンドを一括で支払った男だよ? そして、今回の慰安旅行のお大尽。今更、この程度どうってことは無いよ。ふふふ……」


 即座に奇術ショーを開催するのは難しい状況であった。

 大日本武徳会を説得するには時間が必要だし、何よりも目の前の仕事を片付ける必要があったのである。


「……忙しそうですな、ドーセット公」


 ノックして執務室に入室してきたのは、筆頭書記官のジョージ・ベイリー・サンソムであった。


「サンソム卿、そう思うのなら少しは手伝ってくれても良いのよ?」

「いやいや、わたしなんぞ筆頭書記官に過ぎません。セキュリティクリアランスを満たしてませんので無理ですよ」

「大丈夫! MI6絡み以外の書類なら、そこまで機密性高くないからノープロブレムだよっ」

「無茶苦茶言ってますね。どんだけ追い詰められてんですか?」


 山脈と化した書類を見て、呆れてしまうサンソム。

 しかし、決裁に必死なテッドは藁にも縋りたい気分だったのである。


「だいたい、わたしは妻といっしょに冬コミに参加する準備で忙しいのです。お手伝いは無理ですよ」

「あーっ!? 自分たちだけ冬コミ参加とかズルいっ!? 裏切ったな!? 僕を裏切ったなぁぁぁぁぁぁっ!?」

「だって、今年の夏はドーセット公は激務だったじゃないですか。とても冬コミ参加の声をかける状況じゃありませんでしたし……」

「ぬぐぐ……!」


 冬コミの応募は8月ごろから始まるのであるが、そのころのテッドは満州がらみのゴタゴタに巻き込まれていて冬コミの応募どころでは無かったのである。仮に応募していたとしても、受かるかどうかは別問題であるが。


「っと、こんなことを話している場合ではありませんでした。ドーセット公、緊急で面会要請がきています」

「面会? 今日は特にアポは無かったはずだけど。嫌な予感がするなぁ……」


 テッドの勘は当たっていた。

 居住まいを正したサンソムは、厳かに相手の名を告げる。


「……オーケー。今すぐ行くって、お伝えしておいて」


 寝ぐせを直し、ネクタイを締め直して姿見で全身チェック。

 問題無いことを確認したテッドは、急ぎ足で応接室へ向かうのであった。







「お待たせして申し訳ありません。ちょっと、立て込んでまして……」

「いや、突然押しかけたこちらに非がある。気にすることではないぞ」


 5分後。

 応接室に到着したテッドを待ち受けていたのは、総理大臣の後藤新平(ごとう しんぺい)と軍令部総長の鈴木貫太郎(すずき かんたろう)海軍大将であった。


「なにぶん、急を要するのでな。これを見て欲しい」


 後藤がテーブルに置いたのは、3枚の写真であった。

 アングルこそ違うものの、同一の戦艦群を写したものであった。


大日本帝国中央情報局(JCIA)が入手したものです。海軍で分析した結果、サウスダコタ級戦艦と判明しました」


 鈴木が資料をテッドに提示する。

 その書面には、史実のジ〇ーン海軍年艦の如く想定されるスペックが列記されていた。


「サウスダコタ級が就役したことは、こちらでも把握しています。しかし、これは……」


 サウスダコタ級戦艦は、アメリカ海軍期待の新戦力である。

 その全てが、単縦陣を組んで航行していることにテッドは違和感を感じていた。


「普通なら太平洋と大西洋に分けて配置するのがセオリーですよね?」

「その通りです。軍令部では、米海軍がサウスダコタ級を分散配備することを想定して戦力整備を行ってきました」


 アメリカの地政学的な宿命として、大西洋と太平洋に艦隊を整備する必然性がある。時代によって艦隊規模とバランスは違えど、これまでアメリカ海軍は西海岸と東海岸に艦隊戦力を整備してきた。当然ながら、サウスダコタ級も分散配備されるものと思われていたのであるが……。


「全部を動かすってことは、どちらかを主敵と見做したってことですね。何処に向かってるんです?」

「最新の情報では、パナマ運河を通過中です。このままだと太平洋に出るでしょう」

「とすれば、西海岸かハワイですね。明確に日本を敵認定しましたか……」

「ご明察のとおりです。我々は、今回の件を国難と判断しております」


 16インチ砲搭載艦は、世界に10隻しかない。

 そのうちの8隻が太平洋に配備されることになれば、否が応でもでも日米の緊張は高まることになる。


「この艦隊をマスコミが書き立てたら、世間は騒然となるであろうな」

「……なるほど。戦艦には戦艦をと言うことですか」


 後藤の言葉に秘められた意味を理解するテッド。

 同時に懸念も抱く。


「そちらの戦艦至上主義者たちが、マスコミと結託して良からぬことを考えていることは理解しました。しかし、平成会は何をしているのです?」

「今回の件については、あやつらも一枚板では無い。それどころか、新型戦艦の建造を上申してくる始末だ」


 手に負えないとばかりに、ため息をつく後藤。

 味方だと頼もしい限りなのであるが、感情論ではなく具体的な数字をあげて説得してくるので敵に回すと質が悪いのである。


「新型戦艦? そちらでは戦艦を改装して対抗すると発表したじゃないですか」

「その通りです。しかし、それでは不十分だという意見が海軍内で大きくなっているのです」


 うんざりとした表情で、髭を弄る鈴木。

 軍令部のトップとして、彼は連日不毛な議論に付き合わされていたのである。


 アメリカ海軍の弱体化と史実よりも広大になった海外領土によって、従来の艦隊決戦構想は破綻した。新たな海軍の戦略はシーレーン重視となり、駆逐艦、潜水艦、空母の建造が強力に推進されていたのである。


 海軍内に巣食う戦艦至上主義たちにとって、サウスダコタ級の進水は朗報であった。条約の問題で新型戦艦の建造こそ叶わなかったものの、近代化改装が認められたのであるから。


『サウスダコタ級がハワイに配備されることになれば、ロンドン軍縮条約を脱退して新型戦艦の建造も夢ではない』


 しかし、彼らは満足しなかった。

 夢にまでみた46サンチ砲搭載戦艦を建造するべく、マスコミとも連携していたのである。


『史実の大和を建造するチャンスだ!』


 この動きに、平成会の戦艦マニアたちが迎合してしまった。

 海軍と平成会(の一部)から突き上げを喰らう形となった内閣と海軍上層部は対応に苦慮していたのである。


「現状は完全にチェックメイトですね。条約明けの戦艦建造を発表してガス抜きするべきでは?」

「それを認めてしまうと、海軍の旧主流派が息を吹き返しかねません。今後の空母の建造にも悪影響が出てしまいます」


 空母マフィアの権勢は強くなる一方であった。

 戦艦を愛する古き良き海軍軍人からすれば、座視できる状況ではない。彼らからすれば、サウスダコタ級の配備は千載一遇のチャンスなのである。


(その空母を作る金は、僕の懐から出ているのだけどね……)


 一瞬、鈴木を恨めし気な目で見るテッド。

 しかし、すぐに気持ちを切り替える。


「……そういうことならば、ゲーム盤をひっくり返すしか無いですね」

「ほぅ?」


 思わず身を乗り出す後藤。

 隣に座る鈴木も興味深そうな表情をしている。


(ようやく慰安旅行が終わったところだというのに、余計な仕事を増やしやがって! メリケンども絶対に許さんからな!)


 慰安旅行が終わったばかりだというのに、息をつく暇も無くやらかしたアメリカにテッドは内心で激怒していた。


(苦労して牙を抜いたアメリカが復活するのだけは避けなければ……!)


 同時に、アメリカの未来を危惧していた。

 歴史の修正力で、史実米帝(リアルチート)になってしまったら、この世界の大英帝国といえど苦戦は免れない。この状況を座視するわけにはいかなかったのである。







『大英帝国としては、太平洋における騒乱は歓迎していません。必要とあればあらゆる手を打つ所存です』


 1927年12月某日。

 ハワイにサウスダコタ級戦艦6隻が配備されたことを受けて、駐日英国大使館では緊急の記者会見が行われていた。


 毅然とした表情で断固たる決意を表明したテッド・ハーグリーヴスに、記者たちからの質問が殺到する。安全保障に関わる事案であるためか、どの記者も真剣な表情であった。


「それは日米戦争が現実のものとなったら、英国が介入するということですか?」

「……仮定の話には答えられません。しかし、そのように受け取られるのは自由です」

「今回の米国の意図について、どのように思われますか?」

「……正直、戸惑っています。貴重な虎の子である戦艦をハワイに集中配備するなど正気の沙汰では無い」


 明確な言質こそ取らせないが、そういう風に受け取れるような回答に終始するテッド。現時点でストレートに発言すると、いろいろと煩いのでやむを得ない処置であろう。


(こちらの真意を理解してくれたっぽいな……)


 大半の記者たちはテッドの真意を理解してくれたのか、突っ込んだ質問を控えてくれた。しかし……。


「そもそも、太平洋における日本海軍の影響力が強すぎるのが問題なのでは? ハワイへのサウスダコタ級配備は正当防衛では無いかとの意見があるのですが」


 空気が読めないのか、あるいは故意なのか。

 意地の悪い質問をしてくる記者が皆無というわけでもないのである。


「……そちらは、アメリカの新聞社さんかな? あぁ、名前は言わなくても良いよ。どうせ、居ても居なくても同じだし」

「なっ!?」


 絶句するアメリカ人記者。

 丁寧な質問には丁寧に、意地の悪い質問には意地悪く答えるのがテッドの流儀なのである。


「ハワイの状況は、僕も知っているよ。あの状況なら艦隊も配備したくなるだろうね。でも、そうなったのは自業自得じゃないかな?」

「……!?」

「そもそも、マフィアの犬が偉そうに質問を垂れるな。どこのファミリーの指図だい?」

「そんなこと今回は関係ないでしょう!?」


 テッドの返答に激昂する記者。

 図星をつかれたのか、顔面レッド状態である。


「あぁ、もうお帰りかな? 夜道には気を付けて」

「!?」


 何も言わずに去っていくアメリカ人記者。

 その様子は、遁走といっても過言ではない無様なものであった。


 アメリカの新聞と通信社には、裏社会の息がかかっていた。

 感覚的には、マフィアかギャングの構成員が副業で記者をやっているという感じである。


 世界恐慌で株式投資に懲りた裏社会の住民が、ライフラインやユニバーサルサービスの次に目を付けていたのがメディア関連であった。情報は、金にもコネにも脅しにも使えるのである。


 それなり以上に有能で、忠誠心の高い人材が国外に派遣されていた。

 (くだん)のアメリカ人記者はマフィアの幹部であり、テッドはMI6から事前に報告を受けていたのである。


(裏社会の住民も、今回の事態に注目しているということか。めんどくさいことにならなければ良いけどなぁ……)


 表面上は取り繕いつつも、内心でボヤくテッド。

 過去の暗殺計画(素敵な体験)があるだけに、アメリカ側の動きには神経質になっていたのである。


「皆さん静粛に、お静かにお願いしますよ」


 記者の逃走劇にざわめく会場。

 しかし、テッドの一言で落ち着きを取り戻す。


「さて、他に質問はありますか? 無いようでしたら、今回の会見は終了させていただきます」


 翌日の新聞では、日英同盟を強調した記事が大々的に掲載された。

 サウスダコタ級のハワイ配備で浮き立っていた世論も、徐々に落ち着いていくことになる。


 海軍内における新型戦艦建造の議論も立ち消えとなった。

 ロンドン軍縮条約脱退による戦艦大和の建造の可能性は潰えたのである。


 ちなみに、記者会見から1週間後に帝都内のホテルで外国人の死体が発見された。どういうわけか捜査初動から公安の担当となり、最終的に身元不明として捜査は打ち切られたのである。







「ソ連が国境を侵犯した!?」

「はい。現地では既に激しい戦闘になっているようです」

「情報取集を急いでくれ。場合によっては、こちらも何らかのアクションをする必要がある」

「了解しました」


 足早に退室していくエージェント。

 テッドは、その背中を黙って見送ることしか出来なかった。


「年末まで持たないって話は聞いていたけど、よりにもよって、こんな日に……いや、こんな日だから開戦したのかねぇ」


 もはや、ため息しか出ない。

 何が悲しくて、クリスマスイブに頭を悩ませねばならないのか。


 1927年12月24日。

 赤軍は、ドイツ帝国とオーストリア・ハンガリー帝国及び南欧諸国連邦(二重帝国諸国連邦)に攻撃を開始。後にクリスマス開戦と呼ばれることになる。


「はい、こちら……って、ロイド・ジョージですか」

『緊急なので挨拶は抜きだ。状況は把握しているかね?』


 唐突に鳴るデスクの電話。

 相手は、英国宰相ロイド・ジョージであった。


「こちらでは、赤軍が越境したところまでしか聞いてませんよ?」

『では、最新情報を伝えよう。ドイツ帝国方面の塹壕陣地が突破されたとの報告があがっている』


 赤軍は、軽戦車を主力とした機械化部隊で塹壕陣地の突破を図った。

 フランス人民陸軍が実践した電撃戦を、赤軍も真似たのである。


 クリスマス当日で警戒が緩んでいたこともあり、ドイツ帝国側は初動で後れを取った。結果として、塹壕陣地の突破を許すことになったのである。


「早っ!? 大丈夫なのですか?」

『いや、塹壕陣地は二重三重に張り巡らされているので、未だ陥落はしていない。現在、戦力を再編して反撃中とのことだ』


 しかし、ドイツ帝国は第1次大戦の戦訓を活かしていた。

 建機を大量投入して、短期間に塹壕陣地を張り巡らしていたのである。


 第一線を突破されても、すぐに後退して第二線で守りを固めれば問題ない。

 鉄の規律を誇るドイツ帝国陸軍は、士気崩壊することなく防御戦闘に徹していた。


 バルト海沿岸では既に反撃が始まっていた。

 ドイツ帝国海軍は、マッケンゼン級戦艦4隻を出撃させて支援砲撃を開始していたのである。


 マッケンゼン級の主砲は、最大射程150kmを誇る70口径31cm砲(ペーネミュンデ矢弾)である。4隻合計48門の火力は絶大であり、射程範囲内の目標は片っ端から爆砕されている最中であった。


「しかし、そうなると二重帝国方面が気になるところですね」

『あちらのほうも攻撃を受けているが、突破されたという報告はあがっていない。どうも赤軍はドイツ帝国方面へ主力を集中しているらしい』


 二重帝国諸国連邦も赤軍による攻撃を受けていたが、戦力不足によって塹壕陣地の突破を果たせていなかった。ドイツ帝国には遠く及ばないものの、第1次大戦時とは比較にならないくらいに戦力が強化されていたのである。


「このままいけば、ソ連はいずれ攻勢限界点に達するでしょう。なんとかなりそうですね」

『円卓も同意見だ。後は落としどころを探らなければ……む、なんだ? なんだと!?』


 急に声を荒げるロイド・ジョージ。

 不安になるテッドであったが、声が遠くなってよく聞こえない。


『たった今、情報が入った。フランス・コミューンがドイツに攻め入ったそうだ』

「ふぁっ!?」


 寝耳に水な情報に驚愕するテッド。

 目まぐるしく変化する情勢に、頭痛を覚えてしまう。


『すまんが、こっちでも動く必要があるようだ。落ち着いたら連絡しよう』

「分かりました。それでは」


 受話器を戻して、再びため息をつく。

 ため息をつくと幸せが逃げる――とは、誰が言った言葉であろうか。


(まったく、せっかくのクリスマスイブが台無しだよ……ん、クリスマスイブ?)


 何か重大なことを忘れていたことに気付く。

 いや、忘れていたわけではない。事を為そうとして、開戦の報が入ってそちらの対処に追われていただけである。


「ああああああっ!? マルヴィナを待たせたままだったぁぁぁぁぁっ!?」


 聖夜を性夜にするべく、がっつり夜のプロレスに励む予定だったのである。

 時計を見ると、予定の時刻を1時間以上オーバーしていた。


「今からでも遅くない、急がねヴぁっ!?」


 唐突に蹴破られる執務室の扉。

 入室してくるのは、怒れる褐色の大魔神であった。


挿絵(By みてみん)


「……テッド、何か言うことはないのかしらぁ?」

「あ、いや、これは不可抗力で……!」


 笑顔であるが、コメカミには青筋が浮いている。

 バッドエンドを回避するには、一つしか方法が無かった。


「……ごめんなさい」


 ショタ用の服装を召喚。

 スキル発動縮んだ身体に身にまとう。


 一転して、ご機嫌になったマルヴィナに寝室へ連れ去られるテッド。

 聖夜の受難は、まだまだ終わりそうになかった。







「!? 複数のエンジン音を探知! 機数不明なれど大編隊の模様」

「スクランブルをかけろ! ベルリンにも緊急通報だ!」


 ドイツ帝国西部国境。

 国境線上に配置された音響反射鏡は、人民空軍の侵攻を察知していた。


 フランス人からはコンクリート造りの前衛芸術と馬鹿にされた音響反射鏡であるが、その探知距離は30kmに及ぶ。この時代の飛行機の速度であれば、迎撃するまでの時間を稼ぎ出すことが可能であった。


「回せーっ!」

「コンタークッ!」


 国境沿いに作られた飛行場からは、アラド Ar 80E戦闘機が発進していく。

 当初はベルリン防空のために優先的に配備が進められていたのであるが、この時期になると国境守備隊にもまとまった数が配備されていた。


「所詮は数だけの烏合の衆だなっ!」

「くそっ、速度が違い過ぎる!?」


 撃墜されるのは、人民空軍側の機体ばかり。

 時速にして100キロ以上の速度差は圧倒的であった。


「数だけの烏合の衆の分際でぇっ!?」

「囲め囲め、囲んで叩け!」


 やがて防空戦は一方的な様相を呈してきた。

 速力差を活かして奮戦したドイツ帝国空軍であったが、囲んで袋叩きにされるとどうしようもなかったのである。


「畜生っ、何処を見回しても敵機ばかりだ。味方は何処へ行った!?」


 これまで生き延びてきたドイツ側の隊長機であるが、さらなる凶報が飛び込んでくる。飛行場のコントロールタワーに掲げられた白旗が目に入ってきたのである。


「飛行場が落とされた!? 止むを得ん、撤退する」


 未だ生き残っている僚機にも、ハンドサインで状況を伝える。

 状況を伝わったのか、各々で撤退を開始する。西部方面のファーストアタックは、フランス・コミューンの勝利に終わったのである。


 この時代の航空機は航続距離が短く、長距離侵攻に適していなかった。

 人民空軍では独自にドロップタンクを開発するなど航続距離の延伸に努力をしていたが、それでも到底足りない。では、どうするか?


 答えは『戦闘機部隊の侵攻と同時に装甲車と軽戦車を主力とした機械化部隊で飛行場を占領する』である。


 意識が空へ向いているところに横合いから殴りつける戦法は思いのほか有効であり、ドイツ側は対策として空軍師団に陸上戦力を整備することになるのである。


「くそ、なんて密度だ!?」

「助けてくれ!? 落ちる、落ちるーっ!」


 ファーストアタックに成功したとはいえ、侵攻は順調とは言えなかった。

 ベルリンまで至る空域には、高射砲と対空機関砲で構成された防空部隊が多数配備されていたのである。こうなると人民陸軍に期待したいところであるが、そうは問屋が卸さなかった。


「ぎゃぁぁぁぁっ!?」

「ひっ、喰らっただけでバラバラにっ!?」


 20mm機関砲の威力は圧倒的であった。

 本来、人に向けて撃つ弾丸では無いのである。


 4連装20mm機関砲による弾幕は圧倒的であった。

 迫る人民陸軍の兵士たちは、掠っただけでバラバラ死体になっていった。


「200で撃つ。照準急げ」

「「「ヤヴォール!」」」

「距離250……240……」

「距離200!」

「ファイエル!」


 人民陸軍の主力軽戦車ルノー FT-18Aの装甲は最厚部でも22mmしか無い。88mm高射砲(アハトアハト)の前では、チリ紙以下であった。1発の砲弾で数両まとめて撃破したケースも多々あったという。


 侵攻してきた人民陸軍に対して、防空部隊側は対空機関砲と高射砲の水平射撃で対抗した。本来の用途で使用しなかったために十全な効果が望めなかったとはいえ、予想以上の打撃を与えることに成功したのである。


 しかし、最終的には戦力差で押し切られた。

 甚大な被害を出しつつも、フランス・コミューンはジリジリとベルリンに迫りつつあった。ドイツ帝国側としては東部国境から戦力を抽出したいところであるが、赤軍相手に激闘中でそれもかなわない。


 東西から攻められたドイツ帝国は、最大の危機を迎えつつあった。

 しかし、ドイツ軍人はうろたえないし、あきらめない。勝利を信じてひたすらに戦い続けたのである。







「くっくっく、圧倒的ではないかコミューン人民軍(我が軍)は」


 パリ市内の人民軍統合司令本部。

 その執務室で、最高軍事責任者であるジャック・ドリオはシャンパンで早めの祝杯をあげていた。


 序盤で激しい抵抗を受けたものの、人民陸軍と空軍はベルリンまで着実に近づいている。もう少しで、あの忌々しいヴィルヘルム2世(カイザー)を排除出来ると思うとシャンパンの杯も進もうというものである。しかし、幸福な時間は長続きしなかった。


「ど、ドリオ様、大変ですっ! アフリカの傀儡どもが、コミューンに戦線布告しました。ご指示を!」

「な、なんだとぉぉぉぉっ!?」


 想定外の事態に驚愕するドリオ。

 この様子を、テッドや平成会のモブたちが見ていたら『フラグ回収乙』と言ったことであろう。


「い、今すぐ予備を投入しろ!」

「無理です。予備部隊は、ほぼ全てドイツ帝国に送っています」


 フランス共和国の動きに、コミューン側は有効な手を打てなかった。

 ドイツ憎しのあまり、予備戦力までドイツ戦に投入してしまったからである。


「ならば海軍を動かせ。連中を地中海の藻屑にしてやるのだ!」

「ははっ!」


 ドリオの命令を受けて、人民海軍は虎の子のノルマンディー級戦艦を全て出撃させた。これに対抗して、共和国海軍はリコンキスタ級戦艦を地中海へ派遣。双方の超フ級戦艦が対決することになったのである。


「火力は劣るが、速力は互角。そして数はこちらが倍以上。負ける要素は無い。恐れず突っ込め!」


 人民海軍の艦隊司令が檄を飛ばす。

 彼が率いる艦隊は、自身が座上する『ノルマンディー』以下、『ラングドッグ』『フランドル』『ガスコーニュ』『ベアルン』の5隻であった。


「無理をせずに距離を保て。諸君らならば出来るはずだ」


 数的劣勢にも関わらず、戦艦『リコンキスタ』に座上するフランソワ・ダルラン中将は落ち着いていた。彼の命令は、即座に僚艦の『マルトー』にも伝えられたのである。


「敵艦発砲!」


 先手を取ったのは、人民海軍側であった。

 距離25000で『ノルマンディー』が発砲したのを皮切りに、後続艦が続々と砲撃を開始する。


「ふむ、散布界も何もあったものではないな。バラツキが酷すぎる」


 ダルランは冷静に観察していた。

 38cm砲60発が『リコンキスタ』と『マルトー』に殺到するが、水柱は見当違いの場所に立っていたのである。


 ノルマンディー級の主砲は名目上は15インチ砲であるが、14インチ砲をボーリングして口径を拡大したものであった。その分、砲身が薄くなってたわみやすくなったことに加え、強装薬化で無理やり射程を伸ばしていたので命中精度に悪影響が出ていたのである。


「距離2万で撃つ。目標、敵先頭艦!」


 距離2万で『リコンキスタ』と『マルトー』の41サンチ砲弾16発が『ノルマンディ』に集中する。元々、耐14インチ防御しかない艦である。16インチ砲が直撃すればただでは済まない。


「ダメージレポート!」


 被弾の衝撃で投げ出された艦隊司令が怒鳴る。


『2番砲、砲塔ごと吹き飛びました! 弾薬庫に火災発生、現在消火作業中です』

『左舷缶室浸水中。出力低下!』


 伝声管で伝えられてくる報告は致命的なものであった。

 報告を受けている間にも、敵艦の砲撃が周囲に着弾する。『ノルマンディー』に集中砲撃しているのは明白であった。


「よし、敵先頭艦は無力化した。次は2番艦を狙え!」


 『ノルマンディー』が進路を外れて艦隊の後方へ移動していく。

 それを見たダルランは、照準を敵2番艦に変更する。


(夢にまで見た艦隊戦の指揮が出来たのだ。これ以上は高望みだろう)


 無理を言って艦隊の指揮官に収まったダルランであったが、それ以上の高望みはしなかった。目的は陸軍の上陸支援であって、艦隊撃滅では無いことを理解していたのである。


 1928年2月。

 フランス共和国陸軍は南仏パンプローヌビーチに上陸した。抵抗は皆無であった。







(なんというか、あっけないものだな……)


 装甲車から身を乗り出したノッポの男――シャルル・ド・ゴール陸軍中佐は、なんとも言えない気分であった。ほとんど組織的な抵抗を受けることなくパリへの入城を果たしたのである。


 彼が指揮する部隊は、シャンゼリゼ通りを凱旋中であった。

 沿道に集まった大勢のパリ市民が、ド・ゴールらを歓迎していたのである。


 しかし、ここからが苦難の始まりであった。

 ド・ゴールら共和国軍人たちは、フランス・コミューンという国家が普通でないことを嫌というほど思い知ることになるのである。


「……議長のセバスチャン・フォーレ、軍事最高責任者のジャック・ドリオが見つからないだと?」

「はっ、パリ解放前に逃げ出したと思われます」

「ならば、次席の責任者を呼んで来い。君のことだから、既に連れてきているのだろう?」

「そ、それが……」


 ド・ゴールの問いに言葉を濁す部下。

 しかし、観念したように部屋の扉を開ける。


「なんだこいつらは?」


 続々と入ってきた老若男女に、ド・ゴールは戸惑いの声をあげる。


「わたしが責任者だ」

「いや、僕が責任者です」

「何を言うの、わたしが責任者ですよ」


 入って来た人間全員が責任者を自称する。

 質の悪い三文芝居を見せられている気分であった。


 フランス・コミューンは、数万もの小さなコミューンが寄り添い、それらが一つに結束した連邦体である。裏を返せば、一つ一つのコミューンの責任能力は極めて小さいと言える。


 意思決定が不透明なうえに、国家指導そのものが立法機関である労働総取引所と、連邦の行政を担う公安委員会の二重体制という摩訶不思議な政治体制だったのである。


 今回のドイツ帝国への侵攻に関しても、責任以前にそのこと自体を知らない議員が大多数であった。そもそも、責任を感じていたらノコノコやって来ないであろう。


(こんな奴らを相手にしなきゃならんのか。普通に戦場で戦っていたかった……)


 頭を抱えたい気分であったが、ド・ゴールは有能な軍人である。

 与えられた任務を投げ出すつもりは無かった。


「この際、全員で聞け。現時刻をもって、パリはフランス共和国陸軍の軍政下に置かれる。理解したか?」


 ド・ゴールに与えられた任務は、軍上層部がやってくるまでの地ならしであった。そのためには、パリ市内の行政を掌握する必要があるのであるが、現状では極めて困難な状況に陥ってしまったのである。


「横暴だ!」

「何の権利があって、そんなことするの!?」

「ふざけんな帰れっ!」


 案の定と言うべきか、目の前の自称責任者たちが騒ぎ出す。

 それに対して、ド・ゴールは言葉ではなく行動で黙らせた。ホルスターから拳銃を抜くと、連中の足元に撃ち込んだのである。


「君らが悪いわけじゃない、悪いのはセバスチャン・フォーレとジャック・ドリオだ。そうだな?」


 ド・ゴールの言葉に必死に頷く自称責任者たち。


「二人を捕縛したら報奨金を出す。逆に隠匿したら処罰する。簡単なことだ。理解したか?」


 これまた必死に以下略。

 逃げ出すように退室していく彼らを見て、ド・ゴールはためいきをついたのであった。


 パリ解放を皮切りに、フランス共和国は次々と都市を開放していった。

 フランス・コミューン国内の治安部隊はドイツ攻略のために出払っており、さしたる混乱もなく共和国軍の進駐は進められたのである。


 東部国境の都市は例外であった。

 ドイツ帝国から撤退してきたコミューン軍の部隊が展開していたために、一部では激しい戦闘が繰り広げられたのである。


 フランス共和国が全土を掌握したのは6月になってからのことであった。

 フランス・コミューンは共和国に吸収合併されて、再び一つの国家となったのである。






以下、今回登場させた兵器のスペックです。


サウスダコタ


排水量:43200t(常備) 

全長:208m 

全幅:32m

吃水:10.1m

機関:蒸気ターボ電気推進4軸推進

最大出力:60000馬力

最大速力:23ノット

航続距離:12ノット/7000浬 

乗員:1120名

兵装:50口径41cm3連装砲4基

   53口径15.2cm単装砲16基

   50口径7.62cm対空砲8基  

   53cm水中魚雷発射管単装2基

装甲:水線345mm

   甲板64~89mm

   主砲塔457mm(前盾) 127mm(天蓋)

   司令塔406mm


アメリカ海軍が建造したサウスダコタ級戦艦の1番艦。

同型艦は『インディアナ』『モンタナ』『ノースカロライナ』『アイオワ』『マサチューセッツ』


アメリカ海軍は第1次大戦への不参加と、経済不況による軍縮、さらにアメリカ風邪まで加わったことで、史実の海軍休日を通り越した惨状を呈していた。


太平洋と大西洋の両洋艦隊を維持することすら難しくなり、史実よりも早く合衆国艦隊を設立したうえで老朽艦をスクラップにするなどしていたが、新型艦は補充されずに規模が縮小していく様は海軍の葬式とまで言われていたのである。


風向きが変わったのは、返礼使節団が世界的に報道されたことであった。

戦艦『扶桑』や『金剛』など極めて有力な戦艦群を日本が有していることがアメリカにも知れ渡ったのである。


事ここに居たって、金儲けだけしか興味の無いマフィアも危機感を抱き、子飼いの議員を動かして太平洋艦隊の再編を認めた。ただし、その資金源は復興債から出ており、回りまわって連邦政府の財政をさらに悪化させることになる。



※作者の個人的意見

自援SSで書きましたが、ついに本編でもハワイに配備されてしまいました。

サウスダコタ級5隻も脅威ですが、ヴィンソン計画で建造された艦まで配備されたら日本海軍はパニックになるかもしれませんね。






マッケンゼン


排水量:33000t(常備) 

全長:227.0m 

全幅:30.4m

吃水:8.7m

機関:重油専燃缶32基+パーソンズ式ギアードタービン4軸推進

最大出力:92000馬力

最大速力:29ノット

航続距離:14ノット/8000浬 

乗員:1227名

兵装:70口径31cm連装垂直2連砲3基

   45口径15cm単装砲12基

   45口径8.8cm単装砲8基  

   航空機20機(ハンザ・ブランデンブルク W.12 索敵・弾着観測・防空兼用)

装甲:装甲帯100~300mm

   主甲板30~80mm(後部飛行甲板除く)

   主砲塔270mm(前盾) 230mm(側盾) 230mm(後盾) 80mm(天蓋)

   主砲バーベット部270mm(最厚部)

   司令塔300mm


ドイツ海軍が建造した超フ級戦艦の1番艦。

同型艦は『プリンツ・アイテル・フリードリッヒ』『グラーフ・シュペー』『フュルスト・ビスマルク』


当初の計画では15インチもしくは16インチ砲を搭載した真っ当な巡洋戦艦になるはずであった。しかし、搭載する予定の砲は未だに設計段階であった。建造が急がれる状況で、新型砲の完成をいつまでも待つわけにもいかず技術者達を悩ませていた。


技術者達の救い(?)となったのが、テッド・ハーグリーヴスが描いたSF同人誌であった。生前に架〇機の〇で見た『フ〇ン・デ〇・タン 〇ァハ〇』が忘れらずに描いてしまったシロモノなのであるが、それがどういうわけかドイツにまで流れていたのである。


『連装垂直2連砲』『ペーネミュンデ矢弾』のアイデアは、ゲルマン技術者達を大いに刺激した。特にペーネミュンデ矢弾は、詳細な形状まで描かれていたために労せずに完成にまでこぎ着けた。ライフリングを廃した滑腔砲であるために製作が簡単だったことも原因である。


砲身は28cm砲をボーリングして31cmに拡大された。

ライフリングを廃して、内部はクロムメッキでピカピカに磨き上げられた。この砲を垂直に束ねたのが垂直2連砲である。この砲を連装するので砲塔につき4門、3基合計12門の火力を発揮可能であった。


ペーネミュンデ矢弾は、全長2mというこれまでの砲弾の常識を覆す長さである。

砲弾の径は100mm程度であるが、砲弾の中ほどにあるサボと後端のフィンによって砲身内で支持されている。


この砲弾はロケット推進が組み込まれており、発射されて数秒後に点火して推力を発揮した。

極めて細長く、空気抵抗の少ない形状のペーネミュンデ矢弾は、1400m/sという驚異的な初速とロケット推進により最大射程150kmという空前絶後の長射程を達成したのである。


全長は長いものの、細長く容積が小さいペーネミュンデ矢弾は艦内に大量に搭載することが可能であった。長射程と大量に搭載出来ることは、陸軍から求められた支援砲撃能力に合致するものでもあった。


本命の対艦船においては、その長射程を活かしたアウトレンジ戦法が求められた。

アウトレンジするためには敵を早期に発見すること、相対距離を維持するための速力が必要となるが、速力はともかくとして150kmという射程は見通し距離を遥かに超えており、目視以外の索敵手段が必要となった。


当時のドイツにはレーダーの概念すら存在しておらず、索敵手段は航空機に頼ることになった。本級の艦体後部には大型格納庫設けられており、マッケンゼン級は水上機母艦として20機程度の運用が可能であった。


速力があって偵察・通信機能も充実していたことから旗艦として運用されることが多く、良くも悪くも非常に目立つ艦であった。その特異な形状は各国から様々な憶測を呼ぶことになる。



※作者の個人的意見

本編でついに活躍の機会が!(大歓喜

4隻まとめて運用すれば、凄まじい火力支援になることでしょう。艦隊戦?それはちょっと……(オイ






ニューポール・ドラージュ NiD 29Vbis


全長:6.49m

全幅:6.0m   

全高:2.53m     

重量:780kg(空虚重量)

翼面積:16.6㎡

最大速度:290km/h

航続距離:610km(ドロップタンク使用時)

実用上省限度:8600m

武装:7.7mm ヴィッカース機関銃×2 (前方固定式)

エンジン:イスパノ・スイザ HS-8Fc 水冷V型8気筒エンジン 330馬力

乗員:1名


フランス・コミューン人民空軍の主力戦闘機。

ベース機体となったNid 29のレーサー仕様を戦闘機に再設計した機体であり、翼端を縮めたことにより高速発揮を可能にしている。


木製モノコック構造のおかげで生産性は劣悪だったのであるが、フォードシステムを取り入れることで強引に解決している。密閉式風防を採用しており、空力的成形の効果もあって速度試験では330km/hを越える速度を叩き出している。



※作者の個人的意見

史実でもNiD 29Vbisは存在しますが、こいつは風防のデザインが違います。オリジナルの風防は両サイドに小さな涙滴型の窓を持つのみで、前方視界はほとんど無かったとのこと。こいつはゼロ戦のように、視界良好な風防を装備しています。






アラド Ar 80E


全長:10.3m   

全幅:10.2m   

全高:2.65m     

重量:1980kg

翼面積:20.2㎡

最大速度:430km/h

航続距離:800km

実用上省限度:10500m

武装:7.92mm機銃×2

エンジン:ユンカース ユモ 210C 倒立液冷V型12気筒エンジン 680馬力

乗員:1名


ドイツ帝国空軍の制式戦闘機。

史実では1935年に完成した機体であるが、この世界では技術陣の奮闘により10年早く完成している。


第1次大戦序盤の航空戦や、末期のベルリン上空で英軍に好き勝手されたドイツ帝国は深刻な危機感を抱いた。幸いにして、この世界では敗戦国にはならなかったので航空技術が断絶することはなく、史実よりも技術開発が進んでいったのである。


開発において、何よりも優先されたのは速度であった。

第1次大戦時に圧倒的に優速な英軍機相手に何もできなかった教訓を無視出来なかったのである。


同時期に同業他社もライバルとなる機体を開発していたのであるが、降着装置周辺の問題を解決出来ておらず、早期配備の観点から制式採用となった。


史実オリジナルとの違いは、機体構造の全面的見直しによる機体軽量化と、翼端の縮小による高速化、搭載エンジンの変更である。機体構造の軽量化は戦時中に鹵獲した英軍機を解析した結果であり、合わせて翼端を縮小したことによる高翼面荷重化も加わって速度向上を果たしている。



※作者の個人的意見

ベルリン防空戦では、エース専用機が大活躍する予定だったのですが、本編で書くことが出来ませんでした。自援SSで書こうと思います。






ルノー FT-18A 軽戦車


全長:5.00m  

全幅:1.74m  

全高:2.14m  

重量:6.5t  

速度:45km/h(整地)

行動距離:70km

主砲:ピュトー SA18 21口径37mm戦車砲

装甲:22mm(最厚部)

エンジン:液冷V型8気筒ガソリンエンジン100馬力

乗員:2名


人民陸軍の主力戦車。

ルノーだけでなく、現地に進出しているフォードの現地法人でも大量生産が行われている。


フォード・フランスは製造工程にも大々的に関わっており、史実オリジナルよりも性能を向上しつつも生産コストを抑えることに成功している。一例を挙げると、エンジンはトラック用エンジン(後述)を連結してV型にしたものである。


安価で高機動力、そこそこの武装を持つ軽戦車として大量に生産された本戦車であるが、小型すぎる車体による発展性の無さと二人乗りという点が最後まで足を引っ張ることになる。



※作者の個人的意見

本編でアハトアハトの的にされてますが、オーバーキルにも程がある(汗

高射砲の水平撃ちの有効性に気付いたドイツ帝国陸軍は、高射砲を装備した対戦車車両を開発していくことになるでしょう。






2cm Flakvierling26


種類:対空機関砲(4連装)

口径:20mm

銃身長:1300mm

使用弾薬:20x138mmB弾

装弾数:ベルト給弾(非分離式)

全長:4080mm

重量:1509kg(本体のみ)

仰角:-10°~ +100°

旋回角:360°

発射速度:1200発/分(最大システム速度)

銃口初速:900m/s

有効射程:2200m


ドイツ帝国空軍師団直轄の防空部隊が装備する4連装対空機関砲。

戦争末期のベルリン上空でのロイヤルエアフォース無双に衝撃を受けた技術者が以下略。


敗戦国にならなかったために、メーカーが健在で開発そのものはスムーズに進んだ。

なお、ベースとなった2cm Flak25は、史実ではFlak30に相当する機関砲であるが、この世界ではモーゼル社によって開発されている。


史実オリジナルとの違いは、発射速度の遅さとベルト給弾化である。

史実のFlakvierling38よりも砲の性能が低い分、総合的な発射速度は低下している。ただし、ベルト給弾化によって長時間弾幕を貼ることが可能になっているので、総合的な戦闘力は勝るとも劣らないものに仕上がっている。



※作者の個人的意見

本編では、本業そっちのけでミートチョッパーとしてデビューしてしまいました。

こいつも車載化される未来が確定してしまったので、ヴィルベルヴィント化待った無しですねw






8.8cm FlaK 25


種類:高射砲

口径:88mm

砲身長:4938mm

全長:5791mm

全高:2100mm

重量:7407kg

旋回角:360°

発射速度:15~20発/分

最大射程:11900m(対空目標)


ドイツ帝国空軍師団直轄の防空部隊が装備する高射砲。

戦争末期のベルリン上空でのロイヤルエアフォース無双に衝撃を受けた技術者が以下略。


上述の対空機関砲と同様の経緯を辿っており、開発そのものはスムーズに進められた。

現在は、フランス・コミューンの国境とベルリンを結ぶ線上に高射砲の配備が急ピッチで進められている。


史実オリジナルとの違いは、敵機の探知に聴音ラッパではなくパラボラマイクを採用していることである。遠距離の音を拾うためにパラボラが大径化することになるが、それでもラッパ聴音よりは早く正確な照準が期待出来た。



※作者の個人的意見

本業よりも水平撃ちで戦果を挙げてしまったので、対戦車戦力化待った無しになってしまいました。ティーガーの実用化が捗ることでしょう。






ノルマンディー


排水量:27900t

全長:189.0m 

全幅:27m

吃水:8.7m

機関:重油専焼缶+直結タービン4基4軸推進

最大出力:80000馬力

最大速力:26ノット

航続距離:12ノット/5500浬 

乗員:1100名

兵装:42口径38cm4連装砲3基

   55口径13.9cm単装速射砲24基

   47mm単装砲6基  

装甲:舷側装甲帯300mm(主装甲) 240mm(舷側上部) 180~130mm(艦首尾部)

   バーベット284mm

   甲板50mm(上甲板・下甲板) 70mm(主甲板傾斜部)

   主砲塔350mm(前盾) 250mm(側盾)

   副砲ケースメイト部160~180mm

   水線下10mm+10mm+10mm


フランス・コミューン人民海軍が建造した超フ級戦艦の一番艦。

同型艦は『ラングドッグ』『フランドル』『ガスコーニュ』『ベアルン』


建造が途中で放棄されていたノルマンディー型戦艦を対扶桑用に改良した戦艦。

半ば以上完成していたためか、超フ級戦艦としては最も早く完成しており、一番艦の『ノルマンディー』は1923年中に進水している。


ボーリングによる主砲の口径拡大、機関換装と艦首延長による速力の向上を果たしているが、装甲はオリジナルのままであり、防御力には不安の残るものとなっている。


性能的にはともかく、超フ級戦艦5隻を早期に就役させたことは周辺国を大いに刺激することになる。



※作者の個人的意見

非力な艦では無かったのですが、相手が悪かったとしか…(ノ∀`)

金剛でアイオワを相手にするようなものですし。






リコンキスタ


排水量:34500t(常備)

全長:228.3m

全幅:32.0m

吃水:9.2m

機関:バブコック・アンド・ウィルコックス式重油専焼缶28基+パーソンズ式直結型タービン(低速・高速)2組4軸推進

最大出力:87000馬力

最大速力:26ノット

航続距離:12ノット/5200浬

乗員:1100名

兵装:42口径41cm連装砲4基

   45口径15.2cm単装砲20基

   45口径7.6cm単装高角砲8基 

   12.7mm4連装機銃8基

装甲:舷側380mm(水線部主装甲) 176mm(艦首尾部)

   甲板88mm

   主砲塔382mm(前盾) 323mm(側盾) 132mm(天蓋)

   主砲バーベット部382mm(砲塔前盾) 254mm(甲板上部・前盾) 206mm(甲板上部・後盾) 176mm(甲板下部・前盾) 118mm(甲板下部・後盾)

   副砲ケースメイト部176mm(最厚部)

   司令塔320mm(側盾) 88mm(天蓋) 


英国がフランス共和国海軍向けに建造した超フ級戦艦の一番艦。

同型艦は『マルトー』


QE型高速戦艦の拡大発展版とも言える16インチ砲搭載艦。

設計図の流用に加えてブロック工法を採用した結果、わずか2年で進水までこぎ着けている。


設計を流用した結果、全体防御形式も引き継いでいるために非効率な装甲配置であるが、スケールアップしたことで重装甲になっている。本級が就役したことで地中海のパワーバランスが一気にひっくり返ってしまい、地中海の覇者を気取っていたイタリアを発狂させることになる。



※作者の個人的意見

本編ではノルマンディー級5隻相手に強者ムーブをかましていますが、無傷で勝利は不可能でしょう。撃滅が勝利条件では無いので、いくらでもやりようはあるのですけどね。気が向いたら、自援SSで書いてみようと思います。

タイトルに相応しく、今回は戦争メインです。

休暇も終わったことですし、これからはガンガン戦争していきますよ!


>大日本武徳会

ガチガチな脳筋で武闘派な連中です。

そんな彼らが、何故平成会と関わりを持つことになったのかは、今後明かされることになるでしょうw


>サウスダコタ級戦艦

自援SS『変態アメリカ国内事情―アメリカ海軍の逆襲編―』参照。

16インチ3連装4基12門の火力は驚異の一言。こんなのが6隻とか国家滅亡待った無しですよ?


>16インチ砲搭載艦は、世界に10隻しかない。

内訳は、長門級2隻、リコンキスタ級2隻、サウスダコタ級6隻となります。

やっぱり米帝様じゃないか…!


>『史実の大和を建造するチャンスだ!』

実際に建造するとなれば、機関出力を強化して30ノット発揮可能な艦になる予定でした。

他の艦が30ノット出せるのに、鈍足だと追随出来なくて意味が無いので(今後建造されないとは言ってない


史実米帝(リアルチート)

火葬戦記最大の敵(断言


>最大射程150kmを誇る70口径31cm砲

自援SS『変態欧州海軍事情―超フ級戦艦編―』参照。

元が元なので、対地支援はお手の物。対艦戦は……その、お察しください?


>音響反射鏡

史実のダンジネスミラーに相当する巨大コンクリートの塊り。

戦後は野外コンサート会場に流用された(らしい


>超フ級戦艦

自援SS『変態欧州海軍事情―超フ級戦艦編―』参照。

フ級のフは扶桑のフ!この世界では超弩級に代わる新たな物差しなのです( ー`дー´)キリッ


>フランソワ・ダルラン中将

フランス共和国の海軍最高責任者。

でも、戦艦に乗りたがる困ったさんだったり。


>南仏パンプローヌビーチ

マルセイユとモナコの中間に位置する海岸。

長さ3kmに渡って続く白浜は、上陸にはうってつけです。


>シャルル・ド・ゴール陸軍中佐

未来の大統領が初登場です。

彼の出番は、今後増えこそすれ減ることは無いでしょう。


>セバスチャン・フォーレ

フランス・コミューンの国家元首的な立ち位置なのに、今回セリフが無かったかわいそうな人。

今後出番があるかは、筆者の胸先三寸です(酷

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― 新着の感想 ―
[一言] ソビエトな上にロシア人だからその日はクリスマスでも何でもない日なのにヨーロッパ人は油断しまくってるぜ!な侵攻始めるには絶好の機会ですものね。
[気になる点] サウスダコダ、史実のアレでさえ不評なのに、4基とか居住性劣悪だろうな。弾薬を枕に寝るのかな? [一言] 垂直二連は実際にOTOが76ミリ砲を作ってるからなぁ~ 現代のスーパーラピット…
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