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優しい家族と、たくさんのもふもふに囲まれて。〜異世界で幸せに暮らします〜  作者: ありぽん


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92お怪我して、怒ってるの誰ですか?

 声のした方を見ます。お部屋の1番奥の隅っこに誰かいます。

 マシロより少しだけ小さくて、おけ毛の色は真っ黒で、長いしっぽが付いてて、しっぽの先っぽだけちょっと白かったです。それからおめ目の色は濃い青色してて、お耳がピンってしてました。

「ねこしゃん!!」

「ねこじゃねえ!!」

 僕が言い終わる前くらいに、黒い大きなねこさんが、ねこじゃないって。ねこだよ。だって僕達のお洋服と同じだもん。

「ねこしゃんでしゅよ。ねこしゃん、どこおけがしまちたか?ディルがおけがなおちてくれましゅよ。いま、いくでしゅね。」

 僕達がねこさんに近づこうとしたら、ねこさんグルルルルって唸りました。ふん、唸っても僕平気だもんね。マシロの方がもっと怖いんだから。キミルが、ねこさんに先に近寄って、後ろの足の所でふわふわ飛んでます。きっとあそこお怪我してるんだ。ここからじゃよく分かんないから、やっぱり近くに行かなくちゃ。

 もう1回近づこうとしたら、やっぱりねこさん唸ります。

「だいじょぶでしゅよ。しゅぐなおりましゅ。」

「うるさい!そんな事頼んでないだろう!俺は人間が嫌いなんだ。さっさと部屋から出て行け!」

「ダメでしゅ!ぼく、おけがなおしゅでしゅ!いうこときかないとダメダメでしゅよ!おけがもっと、ひどくなっちゃうでしゅ。キミルしんぱいでしゅ。」

「うるさい!!」

 何か前にも、同じことあった気がする。何だっけ?うんと…。あっ、エシェットの時と同じだ!エシェットも最初、お怪我治さなくていいって言って、僕とシルフィー怒ったんだった。心配してるのに、何で皆んな嫌がるの?もう、僕また怒っちゃうよ!

「なおしゅんでしゅ!ぜったいでしゅ!」

「だからお前に関係ないだろう。早く部屋から出て行け!」

「ここ、ぼくのおうちだもんでしゅ。出ていかないでしゅ!しゃあ、おけがなおしゅでしゅ。」


 ちょっとずつ黒ねこさんに近づきます。黒ねこさんが唸ります。そんな事してたら、キミルがお手伝いしてくれるって。キミルが少し光りました。そしたら黒ねこさんが伏せしてる所の床から、たくさんの茎が出てきました。僕が茎が出てきたって言ったら、キミルがツルだよって。黒ねこさんの前足や、体、お顔、いろんな所にツルが巻きつきます。

 黒ねこさん、動けなくなりました。足お怪我してるから立てないけど、前の足とか動かせるから、これで邪魔されないでお怪我治せます。

「おい、何しやがる!」

「だってこうしないと、大人しく怪我治させない。ユーキ今のうち。」

「はいでしゅ!」

「だから俺は、頼んで…。」

「「しじゅかに!!」」

 ほんとエシェットにそっくりだね。まったくもうです。キミルが抑えててくれてるうちに、お怪我治さなくちゃ。黒ねこさんはまだ文句言ってるけど、僕何にも聞かないもんね。せっかくキミルが心配してくれてるのに。

 

 黒ねこさんの後ろの足を見ます。とっても酷いお怪我でした。たくさん血が出てて、足の半分くらいまでぐっさり切れてました。何でこんな酷いお怪我したのかな。今、悪い人達が街に居るけど、その人達に、いじめられちゃったのかな?

 ディルにお怪我が治るか確認です。ディルはバッチリって。前よりお怪我直すの、上手になったんだって。ディルが光って、黒ねこさんの後ろの足が、緑の光で包まれます。ちょっとずつだけど、お怪我が治ってきました。

「お前…。」

 黒ねこさんが、じっと自分の足と、僕の事見てました。もう少しだからね。もう、痛くなくなるよ。

 そして、黒ねこさんの足のお怪我は、ディルの魔法で完璧に治りました。良かった。キミルが僕達の周り回りながら、ありがとうって。

「ねこしゃん、もうだいじょぶでしゅか?いたくないでしゅか?ちゃんとディルにありがとでしゅよ。」

「………助かった。」

「ありがとでしゅ。」

「ああ、もう分かった分かった。ありがとな。」


 えへへへ。僕が笑ったら、黒ねこさんが、お前が治したんじゃないだろうって、何かため息ついてました。だってディルがありがとうって言ってもらえて嬉しいんだもん。

 キミルがツルを外して、黒ねこさんが立ち上がりました。それから後ろ足を、上げたり下げたりしました。ちゃんと動いてるね。

 僕の横でふわふわしてたキミルから、何かぐうぅって音が聞こえました。あれ、キミルお腹空いてるの?キミルの方みたら、お腹さすりながら、

「安心したら、お腹空いちゃった。」

 って。いい物あるよ。僕お菓子たくさん持ってる。カバン持ってきててよかったあ。皆んなでお菓子食べてから、お部屋に戻ろう。キミル達も一緒に来るかな。あっ、そう言えば、黒ねこさんのお名前、まだ聞いてなかったよ。

 僕はカバンからお菓子を出して、キミルにあげました。それからディルとリュカにもあげます。黒ねこさんは、どんなお菓子が好きかな。

「ねこしゃん、おなまえなんでしゅか?あと、おかしなにがしゅきでしゅか?」

 そう黒ねこさんに聞いた時でした。後ろからいきなり声がしました。


「ふん、これでさっきの失敗と、反抗はチャラにしてやる。よく引き留めてたな。それに、そっちのおまけの精霊も、たまには役に立つじゃねえか。おい。」

 後ろ見たら、男の人が立ってました。何か嫌な感じがする男の人です。そしたら黒ねこさんが、

「…すまない。」

 そう言って、僕のお洋服の襟首を咥えて、僕のこと持ち上げました。

「ユーキ!」

「何するのさ!!」

「ユーキ離して!」

 皆んなが僕の所に集まりました。男の人が、ニヤリって笑います。そしたら黒ねこさんの影が広がって、その中に皆んなが沈んで行きます。僕はシルフィーを抱きしめました。

「とうしゃん…。」

 一瞬真っ暗になったけど、すぐに少しだけ明るくなりました。僕達いつの間にかお外に出てました。あれ、ここ街の周りの壁の所?何でここに居るの?

「後は、あいつを呼び出すだけか。くくくくっ。」

 男の人がそう言いました。


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