90呼んでるのは誰ですか?
「!!」
「どうしました、エシェット?」
「何か嫌な気配を感じた。屋敷の外からだが、もしかしたら屋敷に入り込まれたか?」
「どんな気配だったのですか?屋敷に入り込まれたとは、それは確実ですか?」
「どがああああああん!!」
「うゆ?とうしゃん…。」
また大きな音で目が覚めちゃったよ。さっきまでお父さんと寝てたはずなのに、お父さん今は居ません。僕がキョロキョロお父さん探してたら、起きた僕に気付いたシルフィーとディルとリュカが近寄ってきました。それで、お父さんまた、悪い人達やっつけに、お外に行っちゃったって。行ってらっしゃい出来なかった…。
カーテンの所にいるマシロ達見たら、何か真剣なお顔してお話してました。ディルが何か大事なお話してるみたいって。じゃあ、お邪魔しないようにしなくちゃ。
僕はうさぎさんのぬいぐるみ抱っこしながら、静かにソファーに座ってました。
「…けて。」
「?シルフィー、なにかいいまちたか?」
「ううん、僕何も言ってない。」
僕がディル達の方見たら、2人とも首を振りました。気のせいかな?そう思ってたらまた、声が。
「…けて。助けて。」
「また、きこえたでしゅ。たしゅけてって、いってましゅ。」
「えー、ボク聞こえないよ。ディルは?」
「オレだって。ユーキ、他に何か言ってるか?」
僕は静かに声が聞こえてくるの待ちました。そしたら、今度はハッキリと声が聞こえました。
「助けて。僕の大切な友達を助けて。」
「おともだち、たしゅけてって、いってましゅ。たしゅけにいくでしゅよ!」
声聞こえるの僕だけだし、僕が助けに行ってあげなきゃ。マシロ達にお話しようと思ったけど、大切なお話してるの、邪魔しちゃダメダメです。静かにお部屋から出なくちゃ。シルフィー達も、一緒に来てくれるから大丈夫だよね。
僕はおやつの時食べちゃったお菓子の代わりに、また新しくアシェルがお菓子入れてくれた、僕のカバンを首にかけました。折り紙も入ってるよ。それから脱いでた靴を、何とか自分で履いて準備完了です。
ドアに近づいてドアを開けようとして、ドアの取っ手を回そうと手を伸ばしたんだけど、全然手が届きません。ディルとリュカが、僕の代わりに一生懸命、取っ手を回してくれます。カチャッて音がして、ドアが開きました。お話合いの邪魔しないように、静かにドアを開けて廊下へ。
行ってきます。誰か分からないけど、お助けしたら、すぐ戻ってくるからね。
もう夜だから、廊下は魔力石の光で明るくなってます。ちょっと離れたとこにある階段を、メイドさんや使用人さんが行ったり来たりしてました。皆んな忙しいんだね。お仕事頑張って!
どっちに進めばいいかな?また助けてって言ってくれないかな。そう思ったら、すぐに声が聞こえました。声は、階段の方じゃなくて、反対の方向から聞こえてきます。
「こっちから、きこえましゅ。いくでしゅよ!」
とたとた、廊下を歩いて行きます。どこかなあ?ここかな?僕は1つずつ、お部屋の中を見て行きます。
「ここでしゅかあ?」
暗いから、リュカが明るくしてくれます。でも、お部屋には誰も居ません。次のお部屋へ。順番に確認です。そうやって全部のお部屋調べたけど、誰も居ませんでした。1つのお部屋だけ、騎士さんと冒険者さんが居ました。荷物置き場なんだって。騎士さんに、早くお部屋に戻りなさいって言われて、僕ははーいって返事してから次のお部屋へ行きました。見つけたらすぐ戻るからね。
「うーん。だれもいないでしゅね。」
「本当に声するのか?」
「ほんとでしゅ!ぼく、きこえるでしゅよ!ぶー。」
ほんとに聞こえたんだもん。僕はほっぺを膨らませます。そしたらまた、
「助けて…。」
また声が聞こえました。どこに居るの?教えてくれないと、僕助けてあげられないよ。もう1度声がして、そっちを見ました。僕がみた方を皆んなも見ます。お部屋はここまでしかないけど、廊下の端っこまで行ってみようかな。声はそっちから聞こえたし。
またとたとた歩いて、廊下の端っこまで来ました。そしたらね、廊下の端っこに、下に下りる階段がありました。声は下から聞こえてくるみたい。でも、階段の下の方は真っ暗です。何かちょっと怖い。
「ユーキ怖い?でも大丈夫だよ。ボクがとっても明るくしてあげるから。」
リュカが光ると、階段の下までとっても明るくなりました。これなら大丈夫。僕は1段ずつ階段を下りて行きます。下まで下りるのに、時間がかかっちゃったけど、何とか下りることが出来ました。
うーん、どこから探そうかな。やっぱりお部屋1つずつ、見ていかないとダメかな。下りた所もやっぱり、長い廊下と、お部屋が何個かありました。廊下の1番奥には、1番大きなドアがあります。
1つ目のドアを、ディルとリュカに開けてもらいます。やっぱり誰も居ません。廊下に戻った時でした。とってもモコモコでふわふわで、マシロみたいに真っ白でまん丸の、花の種見たいのが、僕達の前をふわふわ飛んでました。それでね、そのモコモコからね、
「友達を助けて。」
って、聞こえてきました。
「ふあ?モコモコからこえがしまちた?!」
「あれ?このふわふわ、もしかして…。」
僕達の声に、ふわふわ飛んでたモコモコが、その場に止まってふわふわしました。このモコモコ、生きてるモコモコさんだ。
「モコモコしゃん、どなたでしゅか?ぼく、モコモコしゃんによばれまちた。たしゅけにきたでしゅよ。」
「………。ぼくの思ってたこと、聞こえたの?」




