87騎士さんいっぱい、冒険者さんいっぱい
「おそと、あしょべないでしゅか…。」
「少しの間だ。さっきザクスが、騎士をたくさん連れて来ただろう。」
「ママのお友達の、冒険者の人達もたくさん来たでしょう。」
おやつ食べてたら、お父さんとお母さんが、遊びの部屋に来て、少しの間お外で遊べないって言いに来ました。
お外で遊べないの?僕がしょんぼりしてたら、お父さんが抱っこして、僕を窓に連れて行って、2人でお庭を見ました。
さっきね、ザクスさんの騎士さんがたくさん来たでしょう。その後ね、お母さんのお友達の冒険者さんも、たくさんお家に来たんだ。だから、お家のお庭は今、人でいっぱいです。
「あのなユーキ、今お庭にはたくさんの人が居るだろう?皆んなお仕事でこの街に来たんだ。これから皆んな大変なお仕事するから、少しの間お家に皆んな泊まるんだ。ユーキがいつも遊んでるお庭も、今泊まる準備してるから、遊べないんだ。」
「みんな、おしごとでしゅか?」
こんなにたくさんの人が、一緒にするお仕事って何かな?どんな事するんだろう?でもそっか、お仕事ならしょうがないよね。僕、お遊びのお部屋あるから、大丈夫だよ。
「ぼく、わかったでしゅ。みんなおしごとたいへんでしゅ。がまんしゅるでしゅよ。」
「ありがとうなユーキ。」
お外でお遊び出来なくなっちゃったけど、僕はたまに、1階のお部屋の窓からお外見て、騎士さんと冒険者さん見てました。面白いんだよ。皆んないろんな事してるんだ。剣を一生懸命綺麗にしてる人や、2人で戦う練習したり、僕が見たことない魔獣と一緒にいる人もいるし。
それからケンカしちゃって、お母さんに怒られて正座してる人達も居たよ。怒られた人達しょんぼりしてたから、僕ね、その人達の所にマシロに乗りながら、僕のお菓子持って行ってあげたんだ。
「ぼく、ユーキでしゅ。」
「おう、どうした?オレ達今、お前のお母さんに怒られて、反省してる最中なんだがって、言ってること分かるか?お前何歳だ?」
「2しゃいでしゅよ。あのね、これあげるでしゅ。」
僕は持ってきたお菓子、怒られてる人達に、1つずつ渡しました。
「お菓子?」
だってね怒られると、おやつなくなっちゃうんだよ。たまにね。おやつなくなるのダメダメです。きっとお母さん、ケンカした人達、おやつダメって言うもんね。だから、僕のお菓子あげるね。でも1個だけだよ、僕のお菓子だからね。そう言ったらね、怒られてた人達も、近くにいた騎士さん冒険者さんも、皆んな笑い出したんだ。
何で笑うの?だっておやつ、とっても大切なんだよ。その日食べられなくなっちゃうかも知れないんだよ。僕が笑われてプンプンしてたら、最初にお菓子あげた冒険者さんがね、ありがとうしてくれました。でも笑ってるんだもん。もう、怒られてもあげないから、プンプン!
たくさんの人がお家に来て、2日しました。いつもお外はザワザワしてたけど、今日は朝からもっとザワザワしてます。どうしたんだろう?
それにお父さんが今日は、お遊びのお部屋から出ないようにって。お父さんもバタバタしてます。ほんとどうしたのかな?
僕はお約束守って、お部屋の中で遊びます。それにね今日は、アシェルが一緒に遊んでくれたんだよ。
「ユーキ様、折り紙というものを、知っておられますか?」
「おりがみ!ぼくしってましゅ!でも…、ぼくうまくできないでしゅう。」
「そうなのですね。では、一緒に作ってみましょう。簡単に作れる物がありますよ。」
一緒に折り紙楽しいなあ。アシェルね、僕が折り紙出来るように、ゆっくりゆっくり教えてくれました。
最初に作ったのは、ねこさんです。うん、上手に出来ました。それから、わんちゃんとうさぎさん、ちょっと難しかったけど、鳥さんも作ったよ。そうだ!たくさん作ったら、おままごとで使えるかも。お客さんとか、お店の人とか。もっとたくさん作ろうっと。
僕が一生懸命折り紙してる時、その間にアシェルも折り紙してたんだけど、僕びっくりです。
「ふおおお!しゅごいでしゅ!」
アシェル凄いんだ。折り紙で、マシロ達のこと作ったんだよ。とってもそっくり。ディルとリュカのは、僕がどんなお姿してるか説明したんだけど、その説明だけ聞いて作っちゃったよ。凄いねえ。
夜のご飯の時に、お父さんに折り紙見せたら、上手に出来たなって褒めてくれました。えへへへへ。
「アシェルお前、こんな事まで出来たのか?」
「執事たるもの、何でも出来なくては。」
「…凄いなお前。」
その日の夜、お母さんと一緒に寝る時、今日作った折り紙並べて寝ました。折り紙の動物さんとぬいぐるみで、ベッドの上はいっぱいです。1番お気に入りのうさぎさんのぬいぐるみ抱っこして、今日もお休みなさいです。うさぎさんのぬいぐるみ、僕が抱っこするのにちょうどいい大きさなんだ。シルフィーより、ちょっと小さいくらいです。
「かあしゃん、おやしゅみでしゅ。」
「お休みなさい、ユーキちゃん。」
ぬいぐるみ抱っこした僕を、お母さんが抱きしめてくれます。とってもあったかい。明日は何して遊ぼうかな?って考えてたら、僕すぐに眠っちゃったよ。
「…キ、ユーキ起きなさい。」
「うゆゆ…、もう、あしゃ…?」
僕がもう1度寝ようとしたら、誰かが僕のこと抱っこしました。誰?目を擦りながら、一生懸命目を開けます。僕を抱っこしたのお父さんでした。
「とうしゃん…、あしゃでしゅか…?すう…。」
勝手に目が閉じちゃう。ん?あれ?何か音が聞こえる。どおーん!とか、ばあーん!とか。もう1回目を開けます。お部屋の中はまだ暗くて、夜だって分かりました。
「とうしゃん?まだよるでしゅよ。ねんねでしゅ…。」
「ああ、そうだな。でも今日は特別なんだ。起きれそうか?」
「がんばるでしゅ…。」
リュカが少しだけ光って、お父さんがお水を出してくれて、僕はお顔洗いました。ちょっとだけ目が覚めたけど、やっぱりまだ眠いです。でも、頑張って起きなくちゃ。何か変な感じがするから。
お洋服も着替えて、今日はねこさんの格好です。それからお母さんが、僕のカバンを首にかけてくれました。そんな事してたら、アシェルがお部屋に入って来ました。皆んなどうしたんだろう?
そしたら今度はさっきよりも大きな音で、ばあああああん!!って音が聞こえました。何の音?




