76ばあばはカッコ良くて、とっても強い?
昨日はじいじとたくさん遊んだから、今日はばあばと一緒です。それでね今は、この前お母さんと行った林に向かってます。荷物運びにマシロは絶対来なさいって言われて、マシロは、
「我の主はユーキであって、主人にはついて行くが、けして荷物運びの為に居るのではないのだぞ。」
そうブツブツ言ってました。あと、もちろんエシェットも一緒だけど、アシェルがもう1度勉強がちゃんと出来てたか、確認するって言って付いてきました。それと見張りだって。何の?
ディルとリュカは何か今日、妖精さんの集まりがあるんだって。何するのかな?気になる。帰って来たら聞いてみよう。それからね、シルフィーは今日は一緒だよ。マシロが運んでる台の上に、ちょこんって座ってます。
ばあばは、剣は使わないんだって。そのかわり今ばあばは、背中に弓矢のセット付けてます。弓に魔力石で水の魔力流して、魔獣のこと倒すんだって。何か聞いただけでもカッコイイね。
今日もこの間みたいに、途中でお馬さん降りて、歩いて魔獣探します。でも今日はなかなか魔獣見つけられません。この間はすぐ見つかったのにね。早くばあばが戦うとこ見たいのに。
「おい、言わなくて良いのか?」
エシェットが、アシェルに話しかけました。あれ?静かにしなきゃダメなんじゃないの?
「そうですね。我々が会話出来ている時点で、おかしい事ですからね。大奥様、奥様、張り切るのは良い事ですが、張り切り過ぎて、殺気が漏れてますよ。これでは魔獣が出てこなくて、当たり前です。」
「あら、これくらいで出てこないような魔獣は、私の相手ではないわ。今日はユーキちゃんに、私の弓を見てもらうんだから、強い魔獣でなくちゃ。」
それを聞いて、お母さんは頷いてます。アシェルはため息です。
でも、その後も魔獣は見つかりません。ばあばは、しかたないわねって。そう言ってからすぐでした。この前のツノと牙のある牛さんが、同じ場所に3匹も居ました。まだ僕達に気付いてません。
ばあばが弓を持ちました。あれ?ばあば、矢を3本一緒に持ってるよ。僕の絵本に出て来た、冒険者は1本ずつ用意して、魔獣に当ててたけど、何でばあばは3本なんだろう?
どんなかな、どんなかな。早くばあば、牛さん倒さないかなあ。ドキドキしながらばあばの事見てたら、牛さんが居る方で、ドサって音がしました。何の音?皆んな静かに!今ばあばが、魔獣倒すんだから。
「ふっ…。」
誰笑ってるの!もう何で静かにできないの!静かにしなきゃイケナイんだよ。しぃーだよ!
「ユーキ様、ユーキ様。もう魔獣は倒されてますよ。」
「ふえ?」
アシェルの言葉に、僕は牛さんの方を見ました。3匹居た牛さん、全員倒れて動いてません。あれ?ばあばの方見て、確認です。ばあばは最初の格好から変わらないで、弓持ったまま動いてません。あれれれ?
「かあしゃん、うししゃん、たおしまちたか?」
「お母さん、何もしてないわよ。」
「???」
誰がたおしたの?エシェット?僕はエシェットの方見たけど、エシェットは首を振ります。じゃあ、マシロ?マシロも首を振りました。そうだよね。マシロは今、台引っ張ってるもんね。うーん、じゃあ誰が倒したの?うんうん唸ってたら、アシェルに笑われちゃった。
「ふふふ、ユーキ様、近くで見てみましょうね。」
倒れた牛さんに近付いたら、全部の牛さんの頭に、矢が刺さってました。あれ、この矢、ばあばの持ってる矢と同じだよね。ん?じゃあばあばが倒したの?いつ?だって僕ずっと見てたんだよ。分かってない僕に、アシェルが説明してくれました。
ばあばは、矢を3本一緒に打って、3匹の魔獣をいっぺんに倒したんだって。それから、魔獣がまだ生きてるかも知れないから、早く手を動かして、また3本の矢を用意してそれで終わり。僕には、ばあばの動きが早過ぎて見えなかったから、ばあばが全然動いてないように見えたんだって。
「何本も一緒に弓を打てて、しかも確実に魔獣を倒せる冒険者は、なかなかいません。お婆様は凄い方なんですよ。」
「ばあば、凄い?」
お母さんが僕を抱っこしてくれます。
「凄すぎて、あんまり分かってなさそうね。見えてないし、剣みたいに派手じゃないのも、いけなかったかしら。ユーキちゃん、お婆様はお母さんよりも強いのよ。」
お母さんよりも強いの?あんなにカッコ良くて、強いお母さんより?
そっか、弓のことは、あんまり良く分からないけど、でも牛さんを全部いっぺんに倒せるんだから、凄いに決まってるよね。
ばあばが凄く強いって分かって、僕はばあばに向かって拍手です。
「ばあばは、ちゅよいでしゅ。ゆみ、わからないでしゅ。でも、ちゅよいでしゅ!」
「ふふ、ありがとうユーキちゃん。」
ばあばが頭なでなでしてくれました。
その後お母さんが、ばあばに負けてられないって、ばあばとどっちが、強い魔獣倒せるか勝負よって言って、2人でどんどん魔獣倒しはじめちゃった。すぐに魔獣の大きなお山が出来ちゃったよ。途中でアシェルがお母さん達止めました。
アシェルね、僕の隣に居たのに、気付いたらお母さん達の所にいて、お母さん達のお肩をポンポン叩いて、止めたんだよ。いつの間に移動したの?皆んな動くの早くて、僕全然分かんないよ。
「やっぱりこうなりましたね。お2人共、これをどうするおつもりですか?やはりついて来て正解でしたね。」
「ごめんなさい、アシェル。」
「久しぶりに動いたものだから…。」
「まったく…。台に乗せられるだけ乗せて、後は…、マシロ、エシェット、これ食べますか?」
「良いのか?」
「今なら、人の気配もありませんし、さっさと食べてしまいなさい。」
アシェルの言葉に、マシロとエシェットは、さっさと魔獣を台に乗せて、それからエシェットはドラゴンの姿に。本当の姿だと大き過ぎるから、木に隠れるくらいの大きさになって、マシロと2人で、凄い勢いで魔獣食べちゃいました。
お家に帰って、お母さん達がたくさん魔獣倒して、凄かったんだよって、2人の真似して遊びました。ばあばの弓はちゃんと見れなくて、ちょっと残念。でもお母さんもばあばも、凄い冒険者さんなの、ちゃんと分かったよ。
「あんなに興奮して、今日も寝るのが遅くなるな。」
「くそ、リズめ。わしの存在が、霞んでしまったではないか。」
じいじとばあばが、お家に来てくれて、マシロやお父さん達が居てくれて、毎日毎日とっても楽しいなあ!明日は何して遊ぼうかな?




