66そろそろカージナルへ帰りましょう
あの地震の後、最初はぐすぐす泣いてた僕だけど、帰る頃には、お兄ちゃんとお姉ちゃんが、遊んでくれたのと、このお屋敷のお料理作ってくれる人が、動物さんの飴を作ってくれて。僕の気持ちは少し、元気になりました。
それにね、帰るときに馬車の中見て、いつも通りに元気になった僕。だってね、馬車の中、貰った絵本とオモチャで、いっぱいです!
「おにいしゃ、おねえしゃ、ありがとでしゅ!バイバーイでしゅ!」
僕はとってもニコニコです。馬車の窓からお顔を出して、手を振ってバイバイです。オルガノおじさんも皆んな、手を振ってくれて、お見送りしてくれました。
「こんなに貰えて、良かったなユーキ。だが、帰りはやはり馬車だな。馬で帰っても良いと思っていたが、これだけ荷物があったら、馬車じゃないと無理だ。」
そう、馬車の中は、貰った本とオモチャの箱がいっぱい過ぎて、僕はお椅子に座れなくて、お父さんに抱っこされてます。だって、全部くれるって言ったんだもん。カージナルに帰ったら、リク君とこれで遊ぶんだあ!
ケーキとかお菓子は、オリバーさん達が運んでくれてます。ケーキはね、アメリア達のお土産です。それにオリバーさん達にも。
オリバーさん達、待ってる間、少しご飯食べただけなんだって。このケーキとっても美味しいから、待っててくれたオリバーさん達にお礼です。
「そうね。まさかこんなに、荷物が多くなるなんて、思わなかったわ。」
「私の方は予定通り、後3日くらいだな。それが終われば、数人ここに残して、もうすぐカージナルに帰れそうだな。」
ん?今帰るって言ったの?
「とうしゃん、かえるでしゅか?いちゅかえるでしゅか?」
早くお兄ちゃん達に会いたいな。それにアシェルにも。皆んな僕帰ったら喜んでくれるよね。そうだ、お土産買わなくちゃね。
「ああ、後4日くらいしたらだな。私たちの仕事が終われば、すぐに帰れるぞ。」
じゃあそれまでに、いろいろ用意しなきゃね。
オルガノおじさんとご飯食べた次の日から、お父さん達はもっと忙しくなりました。僕はいつもお父さんと一緒です。でも1度だけ、オリバーさんとアメリアとマシロ達と一緒に、街のお店を見に行きました。僕が、お兄ちゃん達にお土産買うって言ったからです。
やっぱり石ばっかり売ってたけど、魔力石ばっかりじゃなくて、珍しい形の石とか、綺麗な石とか、ちゃんとお土産用の石も売ってました。
僕がちゃんとお土産選んだよ。
アンソニーお兄ちゃんには、いつもお勉強頑張ってるから、綺麗な石の付いたペンです。魔力を流すと、キラキラ虹色に光るんだって。
ジョシュアお兄ちゃんには、剣に付ける飾りの石です。持つ所に付けるんだよ。取り外し出来るから、違う剣に変えても大丈夫。
アシェルにも買いました。アシェルね、お酒が好きなんだって。だからコップに石が付いてて、お酒を入れると、その石の色が変わるコップを買いました。
お父さん達のお仕事が終わって、カージナルに帰る前の日、その日の夜は、ザクスさんと皆んなで、ご飯を食べました。ザクスさんは後少し、この街でお仕事があるんだって。だから明日、お見送りに来てくれます。
それとね、ザクスさんの住んでる街は、カージナルから近いから、いつでも遊びに来なさいって、言ってくれました。
ザクスさんとお話あるからって、ご飯食べ終わった後、お父さんとザクスさんはお店に残りました。僕は途中で眠くなっちゃって、お母さんに抱っこされて、お宿に戻りました。すぐ寝ちゃったよ。
次の日、荷物がたくさんあるから、馬車でカージナルまで戻ります。お父さんとお母さんの馬は、オリバーさんとアメリアが、連れてってくれます。マシロ達は、マシロにエシェットが乗って馬車の隣を歩きます。シルフィーは僕の隣に座って、ディルとリュカは僕の肩に乗っかりました。
「ウイリアムまたな。今度はゆっくり俺の街に遊びに来い。もちろんユーキ連れてな。ユーキも遊びに来たら、お菓子たくさんやるからな。」
「はいでしゅ!」
「ああ、お前も遊びに来いよ。それと、後のこと頼むな。」
「任せとけ。」
馬車の運転手さんが、馬車を走らせようとした時、お待ちください!って声がきこえました。1人の男の人が走って来て、お父さんにお手紙渡しました。オルガノおじさんからのお手紙でした。
「確かに受け取った。オルガノ殿に伝えてくれ。お世話になりましたと。」
男の人が頷いて下がります。馬車が動き始めました。
「ザクシュしゃん、ばいばいでしゅ!」
「おお、バイバイな!」
手を振ってお別れです。少しの間街を見ます。どんどん離れてく街を見て、ほんとに帰るんだって思いました。
街が見えなくなって、僕は座りました。そして、お別れする時に、ザクスさんに貰ったお菓子の袋をゴソゴソ。おやつの時間までがまんがまん。隣でお父さんが、オルガノおじさんに貰った、お手紙読んでます。
「あなた、手紙には何て?」
お父さんが何も言いません。お母さんも不思議な顔してます。もう1度お母さんが聞いたら、お父さんが、突然頭をガックリしちゃいました。
「どうしたの、あなた?」
「父さんの所に、オルガノ殿が手紙を送ったらしい。この前の夕食会の後すぐだ。可愛いお孫さんがいて良いですねと、書いたらしい。ユーキの事だ。」
「あら、別に良いじゃない。…あなたもしかして。」
顔を上げたお父さんは、何か嫌そうな顔してます。
「ああ、まだ知らせてなかった。はあ、手紙は今頃、もう父さんの家についてる頃か。すぐにでも来るぞ。」
「孫を可愛がってくれる、優しいお爺さんじゃない。」
「それが問題なんだろう。可愛がり過ぎて、絶対いろんな事やり過ぎるぞ。」
誰かお家に来るのかな?お父さんは、今なんか、1人でぶつぶつ言ってるから、お母さんに誰が来るのか、聞いてみました。そしたら、お父さんのお父さん。僕のおじいちゃんが、多分遊びにくるって。
おじいちゃん!おじいちゃんが居るんだ!
「いちゅ、あうでしゅか?しゅぐでしゅか!」
僕は馬車の中で、ぴょんぴょん飛び跳ねます。コラコラ静かにしろって言って、僕はお父さんのお膝に、座らせられました。
「とうしゃん、いちゅでしゅか?」
「あ~、いつだろうな。そのうち遊びに来るだろう。」
いつ会えるのかな?楽しみだなあ。優しいおじちゃんかなあ。お父さん達皆んな優しいもんね。絶対そうだよ。早く会いたい!
馬車はカージナルの街へ向かって、どんどん走っていきます。




