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優しい家族と、たくさんのもふもふに囲まれて。〜異世界で幸せに暮らします〜  作者: ありぽん


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64魔力石の反応

<ユーキ視点>

 後ろを見たら、虹色の魔力石が付いた剣が、カタカタ揺れてました。よく見たら、魔力石は少しだけ、ポワッて光ってるみたい?

「にいしゃん、やっぱり、いち、いきてりゅでしゅね。ゆりぇてましゅ。」

「い、いや確かに揺れてるけど、これは生きてるからじゃなくて…、あ~、どう説明したら良いんだ。だいたい、こんなの見たの、僕も初めてなんだよ。」

 うゆ?生きてるんじゃなかったの?だから動いたんじゃないの?何かさっきより、分かんなくなっちゃった。それに、お兄ちゃんも、頭がしがし掻いて、何か困ってるみたいです。

「ふわ?」

 僕、フラッとして、その場にお座りしちゃったよ。あれ、お家揺れてる?そう思った時、グラグラグラって、とってもとっても大きく、お家が揺れました。

「ふわわわっ!にいしゃっ!」

「ユーキ君!!」

 側にいたお兄ちゃんが、僕の事抱きしめてくれます。なかなかグラグラ止まらなくて、僕怖くなってきちゃった。

「ふえ、ふえええ…、とうしゃ、かあしゃ…。」

「大丈夫だよ。もうすぐきっと、止まるからね。」

 そして、揺れが1番大きくなって、僕達の前に置いてあった、お人形さんが、ガシャガシャーン!!って、大きな音しながら、全部倒れちゃいました。

「キャアアアア!!」

「ユーキ君!!」

 お人形さんが倒れて、やっと揺れが止まってきました。そしてちゃんと止まった時には、お家の中の物が、いっぱい倒れちゃってました。


 バタバタ、人の走って来る音が聞こえて、階段の所に、お父さんとオルガノおじさんが見えました。お父さんも僕に気付いたよ。

「ユーキ!!」

「とうしゃあん!!わあああああん!!」

 僕はお父さんに抱きついて、泣いちゃいました。だって、怖かったんだもん…。

 大丈夫、大丈夫って言って、お父さんが抱っこして、抱きしめてくれます。少しして、お母さんも来てくれました。泣いてる僕は知らなかったけど、皆んな別のもの見てました。


<ウイリアム視点>

 突然家が揺れだした。揺れはなかなか収まらず、それどころか大きくなった。私はユーキが心配だったが、部屋を出ることが出来なかった。窓の近くにいた、オルガノ殿の補佐官が、窓枠に掴まりながら、外を見ていて、こんな事を言ってきた。

「おかしい、外の木に止まっている鳥が、全然飛ぶ様子がない。それに街もいつも通りのようです。揺れているのは、このお屋敷だけなのでは?」

 どういう事だ?補佐官の言葉に、オルガノ殿も不思議な顔をしていたが、次の瞬間、

揺れがひときわ大きくなった。そして、ガシャガシャーンという、大きな音が少し離れた所で、聞こえてきた。

「あの音と聞こえた距離からして、ジョンの部屋あたりか?」

「!!」

 確か今ユーキは、その場所に居るんじゃなかったか?オリビアがさっき、そう言いに来た。直ぐに、ユーキの所へ行きたかったが、この揺れでは無理だ。

 ようやく揺れが収まって、私達はすぐ部屋を出た。廊下を走り、補佐官を先頭にユーキ達の元へ走る。そして、階段を上がったちょっと奥の所に、ユーキ達の姿が見えた。

「ユーキ!」

「とうしゃあん!!わあああああん!!」


 ユーキが私に抱きついて来た。良かった。怪我はしていないみたいだ。抱っこし抱きしめてやる。少ししてオリビアも駆けつけて来た。

 ふと、何も言わないオルガノ殿が気になり、そちらの方を向いた。オルガノ殿は倒れた石像を見ていた。それも真剣に。どうしたのかと思い近付くと、倒れた石像の中心に、剣が浮かんでいた。泣いて気付いていない、ユーキ以外の全員が、その光景を見て、固まってしまっていた。

 この剣の事は、聞いた事がある。街を救って、世界にも影響を与えた英雄達。その英雄の中のリーダーが持っていた剣。彼の事を国は欲しがり、何度も国の元へ来るように説得した。しかし何を贈られようが、どんな権力を与えられようとしようが、彼は首を縦には振らなかった。結局最後まで、この街から出て行く事はなかった。

 そして不思議な事があった。彼の使っていたこの剣は、彼以外に使えなかったのだ。戦いのため、他の人間が剣を使おうとすれば、剣は重くなり、持つことさえ出来ない。戦い以外で、ただ単に持ち運びだけなら、持つ事が出来るのにだ。

 また、こんな話もあった。ある時彼の屋敷に、今の闇ギルドと同じような組織が、彼の剣目当てに、忍び込んだ。持つ事が出来るのなら、盗むことも出来ると考えたらしい。戦いには使えないと分かっていたが、盗んでしまえば、どうとでも出来ると考えたようだ。

 しかし、実際には出来なかった。奴らの前に現れた彼は、こう言ったらしい。

「その剣は、お前達には使えない。悪意を感じ取るからな。諦めろ。」

 奴らは全員捕まり、この事件をきっかけに、国も全ての権力者が、彼の事をそして剣の事を、諦めざるをえなかったらしい。何にもなびく事のない彼を、彼にしか使えない剣を…。

 彼がこの街を守っている間、世界は平和に包まれていた。そして老衰し死ぬ間際、彼は遺言を残したらしい。その遺言は、彼の家族だけが、代々継承しているものだ。

 そうオルガノ殿が、今の管理者なのだ。

 だから剣はここにある。しかも結構、無防備の状態で管理されているが、今までに盗まれた事はないという。それどころか、あまりに堂々と、飾ってあるものだから、誰も本物だと信じないらしい。と、いう事を、私は後に聞いたのだが。

 しかし私は、魔力石が光り、剣が浮いているのを見た瞬間、ああ、これが伝説の剣なのだと思った。

 泣き続けるユーキをあやしながら、私はその光景を、ずっと見続けた。

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