63たくさんのお土産と石のお人形
デザート食べ終わって、最初に行ったのは、ジェニーお姉ちゃんのお部屋です。中に入れてもらって、クッションにお座りして、ジェニーお姉ちゃんを待ちます。お姉ちゃんは今、クローゼットの横にある本棚から、たくさん絵本出してます。
うんたくさん。すぐに絵本のお山が、出来ちゃいました。僕の背と同じくらいの、本のお山です。それが3つもです。
「ユーキちゃん、これ、全部あげるわ。冒険のお話や、宝探しの話、それから、女の子向けのやつもあるけど、良いわよね。」
「…じぇんぶ、もらっていいでしゅか?」
こんなにたくさん?いいの?
お姉ちゃんに聞いたら、お姉ちゃん、これから別の国へ、お勉強しに行くんだって。それでね、お家にあんまり、帰って来れなくなっちゃうから、お部屋を綺麗にお片付けするんだって。
それから、学校に行ったら、勉強のご本が増えちゃうから、絵本置いておけないんだって。捨てるの勿体ないから、あげるって。
僕はお母さんの方見ました。お母さんはルーシー様に、ほんとに貰って良いのか、聞いてくれました。そしたらルーシー様、絵本は僕みたいに、小さい子の物だから、どうぞって言ってくれました。
凄い!これほんとに僕もらって良いんだ。嬉しい!
絵本はメイドさんが、箱に入れておいてくれるって。
なので、絵本をたくさん貰った僕は、るんるんスキップして、ジョンお兄ちゃんのお部屋へ行きます。僕のスキップ見て、いつもみたいにお母さん笑ってたけど、気にしないもんね。ルーシー様も笑ってたけど。
僕のスキップ、何か途中で手と足が、バラバラになっちゃうんだ。だからいつも皆んなに笑われちゃう。もう少し大きくなったら、出来るようになるもん。…多分。
ジョンお兄ちゃんのお部屋に入ると、お部屋にはもう、山のようにオモチャが入った、箱がたくさん置いてありました。
「僕ももう、自分の仕事が始まるからね。この部屋片付けてたんだ。だから、これ全部あげるよ。部屋で遊べる物だけじゃなくて、外で遊べるのもあるからね。」
「ふおお、ふおおおお!ありがとでしゅ!」
「良かったわねユーキちゃん。こんなにたくさん、いろいろな物が貰えて。」
「はいでしゅ!」
僕が喜んでたら、メイドさんが、お母さん2人を呼びに来ました。何か絵本の事で、お話があるんだって。2人が居なくなって、僕とお兄ちゃんは、休憩するお部屋へ行こうとしたんだけど。お部屋出てすぐ、お兄ちゃんが忘れ物に気付いて、お部屋に入っちゃった。僕はメイドさんと一緒に、お兄ちゃんを待ちます。目の前に、騎士の格好した、お父さんくらいの大きさの、石のお人形さんと、えっとたぶん、冒険者さんのお人形さんが、全部で5人居ました。
メイドさんが、教えてくれました。
昔々、何百年も昔にね、この街にね、悪さばっかりする人達が、来ちゃったんだって。街のお店とかお家とか壊したり、皆んな逃げたんだけど、捕まっちゃった人も居て、たくさん虐められたんだって。きっと黒服さん達みたいに、皆んなの事、虐めたんだね。いけないんだあ。虐めちゃダメなんだよ。マシロ達に、叱ってもらうよ。
皆んな困ってたら、何人か騎士さんと冒険者さんが来て、街で悪い事してた人達、全員捕まえてくれて、お仕置きしてくれたんだって。マシロやエシェットみたい!
街の人達は、その人達にたくさん、ありがとうしました。
それからね、この事を忘れないように、助けてくれた騎士さんと冒険者さんの、お人形を作りました。この人達のおかげで、今幸せに暮らせてますよって、僕達に教えるためなんだって。
そっか、マシロ達みたいに、カッコいい人達なんだね。僕も大きくなったら、マシロ達みたいに、カッコイイ騎士さんか、冒険者さんになりたいな。それでね、皆んな守ってあげるんだ。
ジョンお兄ちゃんがいつの間にか、僕の後ろに立ってました。お姉ちゃんがくれた絵本の中に、この人達の絵本があるって。おおっ、やった!今日寝る時に読んでもらおっと。楽しみ!!
あれ?あの石、シルフィーのおでこの、虹色の石に似てる。真ん中に立ってた、騎士さんが持ってる剣の持つ所に、虹色の石が付いてました。僕はその騎士さんの前に行きます。
「ああ、その石?綺麗でしょう。お父さんに教えて貰ったんだけどね、この魔力石は、この剣持ってる騎士の人しか使えない、とっても不思議な石なんだって。」
この魔力石は、誰でも使える魔力石じゃなくて、何かね、石が使う人を選ぶんだって。昔の人も、今の人も、この石は生きているって、言ってるみたい。
うーん。よく分かんないや。どういう意味だろう。石が生きてるなら、動いたりするのかな?でも、剣にくっ付いちゃってるよね?うーん。
僕がウンウン唸ってたら、お兄ちゃんが笑って、
「もう少し大きくなって、魔力石の事、勉強すると分かるよ。僕だって、最初は、何で使えないのか、何で生きてるなんて言うのか、分かんなかったもん。今の僕だって、ちょっと難しいんだから。」
そっか、お兄ちゃんが分かんないなら、僕絶対分かんないよ。
「それにしても、この剣カッコいいよね。僕小さい時、この剣持ってみたくて、お父さんに持たせてって、ずっとお父さんにくっ付いて、お願いしてたよ。あっ、でも今ユーキ君の付けてる剣も、とってもカッコイイよ。」
「おともだち、ぷれじぇんとでしゅ。ぼくのは、ちいしゃいけど、でもでも、とうしゃんとかあしゃんと、おしょろいでしゅ。ぼく、おおきくなったりゃ、みんな、まもるでしゅ!」
僕は、剣を持って上にあげて、片方の手は腰に、カッコイイポーズです。お兄ちゃんが、可愛いって。違うよカッコイイだよ。僕がそう言ったら、お兄ちゃん笑ってました。それにメイドさんも、ちょっとだけ笑ってた。
もう、皆んな何で、僕の事可愛いなの?僕カッコイイが良いのに。僕がちょっと、プンプンした時でした。
ん?あれ?
お胸の真ん中が、急にあったかくなりました。魔力使った時みたい。でも、僕何もしてないよ。それにね、僕の後ろでカタカタって音が、聞こえてきました。
「カタカタ…。カタカタ…。」
何だろう?お兄ちゃんの顔見たら、お兄ちゃんが何か見て、固まってます。僕もそっと、そっちを見ました。




