619 久しぶりの魔法は雨魔法
「あれ、もうみんな集まっているの? 時間間違えたかな」
『あっ! オクタビオ来た!』
『みんな、ささっとお片付け!』
僕達、オクタビオが来るまで、お話ししながら泥のお団子作って待ってたの。だから魔法の練習前にささっとお片付け。でもお片付けするけど、壊さないです。魔法の練習の後に、もう1回遊ぶんだ。えと、だから泥のお団子、どこにしまおう?
「いや、間違っていない。ユーキ達が魔法が楽しみで、早く来ていただけだ」
「そうですか。久しぶりですもんね」
「ユーキ様、こちらに置いておいてはどうでしょうか? そしてマシロでもエシェットにでも、結界を張っておいてもらえば良いのです」
アメリアがそう言って、エシェットを呼びました。僕達はじぃじの木の下に、みんなで泥団子を運びます。
『ちょちょちょ、危ない危ない』
『気をつけて運ばないと。泥団子だから落としたらすぐに壊れちゃうよ』
『硬い泥団子、難しいよな』
『硬いの作ろうとすると、途中で壊れちゃうもんね』
『柔らかい泥団子は、時々ふわふわほろって壊れるなの。ふわふわも気持ち良いなの』
『確かに気持ちいかも』
『ふわふわとカチカチ。どっちも並べてみたい』
「みんな、こっちおくでしゅ! かえるしゃん、あぶないでしゅ」
僕達が置こうとしていた場所に、カエルさんが2匹、お休みしてたんだ。だから反対側に泥団子をおいて、エシェットにカエルさん達にも、結界を張ってもらいました。
うんと、今日はお水の魔法か霧の魔法か分からないけど、カエルさん僕の魔法初めて見るなら、ビックリしちゃうかもです。急に雨が降って来たり、モコモコがいっぱいの中に入ったらビックリ。だからカエルさんの方に魔法が行かないように、守ってもらうの。
でもでも、きっと。1回みたら、僕の魔法好きだっていてくれるよね。だってリュカ達みんな、僕の魔法大好きだもん。
「ほら、ユーキ、泥団子を置いたらこっちに来なさい!」
「はいでしゅ!!」
お父さんに呼ばれて、みんなで急いでオクタビオの所に行きました。
「ユーキ君、久しぶりの魔法の練習だね。今日は久しぶりだから、ユーキ君の好きな魔法をやろうと思っているんだ」
「すきなまほ、あめまほでしゅか? モコモコまほ?」
「今日は雨魔法だよ」
『雨魔法だけ?』
「様子を見てから決めるんだよ。本当に久しぶりだから、まずは好きな魔法をしっかりと練習してから。それから次のことを決めるんだ」
『ふ~ん。新しい魔法じゃないんだね』
「久しぶりだって言っただろう? 久しぶりの時は、得意な、そして好きな魔法の方が、成功しやすいんだよ」
「ぼく、おみじゅまほ、しゅき!! あめまほ、がんばるでしゅ!!」
いつもみたいに、最初に魔力さんにご挨拶。魔力さんは僕の魔法、お手伝いしてくれます。でも時々。
マシロがもっといっぱい練習すると、きっと時々じゃなくて、いっぱいお手伝いしてくれるようになるって。それでもっといっぱい練習すると、いつもお手伝いしてくれるようになるって。
魔力さんは練習する子が大好きなんだから、少しずつお手伝いしてくれるようになるみたい。
だから僕、いっぱいいっぱい、練習頑張るんだ。モコモコの魔法は霧の石さんの石さんもお手伝いしてくれるから、すぐにできるけど。でも霧の魔法もいっぱい練習するよ。今日は雨魔法。
えと、魔力さん、魔力貸してください。僕は魔力さんにお願いをしました。……う~ん、今日は魔力さんダメみたいです。もう1度お願いしてみようかな?
僕はもう1回お願いしてみました。でも、やっぱりダメ。ちょっと残念。よしもう1回!!
その後僕は、何回か魔力さんにお願いしました。でも全部ダメ。ちょっと残念。マシロが近づいて来て、今日はマシロがお手伝いしてくれるって。
「ユーキ君、何回も挑戦して偉かったね。できない時は何回も練習する。それはとても大切なことなんだ。次も頑張ろうね」
「はいでしゅ!!」
マシロにお手伝いしてもらって、コップを考えて、そのコップに魔力を入れていきます。少しだけ少しだけ……。うん! できた!! 今日はコップにちょっとだけ魔力、ほとんどピッタリ入れることができました。
次は丸い水ボールを作って。水ボール、水ボール……。できた!! 大きな大きなお水ボールが、僕の頭の上にできたよ。ふいぃ、ちゃんとお水ボールできて良かったです。それにすぐに壊れなくて良かったです。
「できたでしゅ!!」
「よし、じゃあ魔法を使ってみよう。ちょっと待ってね。周りを確認してと」
「みんな、良いでしゅか!!」
『良いよ!!』
『みんなくろにゃんの後ろに隠れたから大丈夫!!』
『僕は耳の下に隠れた!! これならくろにゃんの耳が傘になるし』
『おい俺はお前達の雨宿りじゃないんだぞ。結界に入っていれば良いだろう』
『え~、それじゃあ面白くないじゃん。ユーキの雨魔法、ちゃんと受けないと』
「みんな準備は良いかな? よし、それじゃあ、ユーキ君、魔法を使って良いよ」
「はいでしゅ!! あめまほでしゅ、シュッバババババッ!!」
僕は大きな声で叫びました。




