617 シユルース、精霊の石さんばいばい!! みんなニコニコ
それからもたくさんお話ししてたお父さん達。お母さんがいい加減にしなさいって怒って、やっと終わりました。エシェットがやれやれって言いながら、シユルースの方に歩いて行きます。
『さて、先程は黒服達の気配がないか調べていて、お前が残していた霧の処理が終わっていなかったからな。これからそれをしに行くぞ。それからお前は森へ戻り、アンドレアス達と話さなければ』
『ああ』
シユルースが頷くと、精霊の石さんが僕達の方に飛んできて、それでバイバイって言ってきました。さっきはシユルースのところに帰るバイバイ。でも今度は本当のバイバイ?
「どうしてバイバイでしゅか? もうかえっちゃうでしゅか?」
『ユーキ、シユルースはまだやる事がたくさんあるのだ。話し合いもまだあるしな。だからここでゆっくりはしていられない』
シユルースはこれからお片付けをしながら森に帰って、あの幻の森を確認しに行ったり、周りの魔獣さん達を確認したり、それからアンドレアス達とお話しをしたり。やる事がいっぱい。だからもうバイバイなんだって。
お兄ちゃんがお片付けは大切だろうって。それにお話し合いも。うん、どっちもとっても大切。でも…。
僕、もっとシユルースとお話ししたかったです。それからせっかく精霊の石さんに石を貰ったから、石のお話しも魔法もしたかったし。僕ちょっとだけしょんぼり。みんなも残念って。
『………』
みんなで残念って言ってたら、精霊の石さんがまた遊ぼうねって、それからいつでもお話しできるでしょうって言いました。そうだ!! 石さんでお話しできるんだ! 危ない危ない、バイバイがしょんぼりで、僕お話し出来ること忘れてました。
『………』
「うん!!」
『ユーキ、何て言ったの?』
今のはね、いつもは石でお話しして、シユルースがお片付け終わって、お話し合いも終わって、ゆっくりできたら遊びに来るって言ったんだよ。
『そっか、うん! ゆっくりの方が良いもんね!』
『いっぱい遊べる!』
『魔法もいっぱい!』
みんながうんうん頷いて、それからみんな1人ずつ、精霊の石さんに抱きつきます。それから最後にみんなで精霊の石さんにバイバイをしました。精霊の石さんはふわふわ激しく動いて、そのあとシユルースの所に戻って、シユルースのお手々に乗ったよ。
『良し、何かあるといけないからな、我と後はジュードとセオドリオを連れて行こう。くろにゃん、お前も着いてこい』
帰る寸前、シユルースがお父さんとお母さんに何か言いました。お父さん達は頷いて、それから分かったって。何だろう? その後すぐにエシェット達が窓の近くに集まります。アンドレアスも帰るって。あっ、でもアンドレアスも後でまた遊びに来てくれるって。良かったぁ、
シユルースも力が戻って霧ですぐに移動できるけど、今はくろにゃんの魔法で移動します。だんだんとみんなのお体が影に沈んでいって。全部沈んじゃう前に、シユルースが僕の方を見て、
『ユーキ、本当にありがとう。また会おう!!』
「うん!! バイバイでしゅう!!」
『『『バイバイ!!』』』
その後、シュンって全部が沈んで、みんな行っちゃいました。また会えるし、精霊の石さんとはいつでもお話しできるけど、やっぱりちょっと寂しいですね。
でも、これからお父さん達にお話しもあるし、霧の魔法をやってみたり。それから帰ってきたから、お部屋でゴロゴロもしたいし。僕達も忙しいもんね。
すぐに僕達はお父さんの所に行って、さっきのお話しの続きって言いました。でもお母さんが先にお風呂よって。え~、またお話しできないの? それにお風呂に入ったらモコモコが消えちゃうよね。あっ、でもすぐに霧の魔法すれば良いや。だって石さんがいるもんね。
みんなにお風呂に走って行きます。お兄ちゃん達もハロルド達もモコモコ取るって、それぞれお風呂に入りに行きました。お兄ちゃん達はお風呂の準備をして、僕達の所に来るって。
お風呂場について、お洋服を脱いだらおしっぽはついたまんま。お母さんがお洗濯したら取れるかしらっていってました。
僕達がお風呂に入ったら、お兄ちゃん達がすぐに入って来て頭を洗ってくれて。うさぎさんのお耳もほっぺたのモコモコも、顎のモコモコも、やっぱり消えちゃったよ。
それからみんなでお風呂で泳いで、おもちゃで遊んで、お兄ちゃん達とお風呂、とっても楽しかったです。
お風呂から出たら、休憩のお部屋に行って、ご飯ができるのを待って。僕達お腹ぺこぺこです。待ってる間にハロルド達もお風呂から戻ってきました。
『ねぇねぇ、待ってる間に、うさぎさんのお耳だけやろうよ。ほっぺたはご飯の時に邪魔かもしれないし、しっぽは座ったら見えないから要らないし』
『うん! お耳だけやるなのぉ!』
お耳だったら頭の上だから、ご飯の時邪魔じゃないもんね。僕はペンダントのお星様を触ります。それでおもいだしました。アンドレアスに貸してもらったペンダントお返すの忘れてたの。
今度アンドレアスにお返しするの忘れないように、それからなくさない良いに、しっかり付けておかなくちゃ。すぐに会えるよね。
『ユーキ、早く!』
「うん!! えと、ん?」
あれ? 霧の魔法やる時、魔力溜めてた? マシロにお手伝いしてもらったっけ? 僕はみんなに聞いてみました。そうしたらみんなもあれ?って。
『良いんじゃない、霧の魔法は。きっと魔力溜めなくてもできるんだよ。その方がユーキもさっとできて、楽ちんだよ』
『そうだな、すぐにできてラッキーだな!』
うん! できるから良いよね! 僕はお手々を前に出します。そして。
「おじゃままほ、モコモコ~!」
「え!? ユーキ!?」
「うわあぁぁぁ!?」
『ユーキ違うよ! うさぎ耳魔法だよ!』
「まちがっちゃったでしゅう!!」
僕間違っちゃいました。モコモコって思ってたから、そのままモコモコ魔法にしちゃったの。でも…。森にいた時みたいに言ったのに、お部屋の中がモコモコでパンパンになっちゃいました。森だと3つとか4つのモコモコだったのに。どうして?
お兄ちゃん達もハロリド達もみんな見えなくてなっちゃって、お体がモコモコだらけに。これは森と一緒。またモコモコ人間になったよ。みんなもね。その時ドアが開く音が聞こえて、お父さんの叫び声が聞こえました。
「な、何だこれは!? ユーキか!? ユーキ、何をしたんだ!! 出て来な…うぷ!」
途中でお声が聞こえなくなっちゃいました。
「およぐでしゅう!!」
『どっちに泳ぐの!?』
「まえにおよぐでしゅう!!」
『前ってどっちなのぉ!!』
『ユーキどこ!!』
それからまた少しして、今度はお母さんのお声が。
「あなた、何してるのよ! ユーキちゃん! それにみんなもこれはどうしたの!」
お部屋の中、いろんな所からお声が聞こえて大騒ぎに。
「みんな、どこでしゅか!? ふへへへ」
『キミルはここ! えへへへ』
『僕はここだよ! へへへへ』
みんながここって言いながら、ふへへへって笑います。それから困ってたお声が聞こえていた、お父さんやお兄ちゃん達、ハロルド達だったけど。
「ここだよって、そう言われてもね。ふふっ」
「だよな、ハハハハッ!」
「あ~あ、せっかくあの恥ずかしい格好が終わったと思ったら、ははは」
「さらに酷い事になったな、ハハッ!」
「これはまたお風呂かな? それよりもまずはこれを消さないと。ふふふ」
お父さん達のお声も笑ってて。
「帰って来て早々これか。ユーキらしいと言うか、これを見て逆にホッとするとは。ははは…」
「そうね。私もホッとしたわ。ふふふふふ」
良かった、みんな笑ってる。僕みんなと笑ってるのが大好き。毎日モコモコ出したら、毎日みんな笑ってくれるかな? それだったら僕とっても嬉しいから毎日モコモコ出すよ。あっ、それでみんなでうさぎさんになれば良いよ!
「ふへへ、うさぎさんでしゅう」
「…何だ? 何か嫌な予感がするんだが?」




