580みんな初めての精霊の石さん?
モリオンが精霊の石さんに、話せるよねって聞いたら、すぐに精霊の石さんが動きました。僕のお手々の上から少し移動して、みんなの真ん中に飛んでいった精霊の石さん。それからふわふわふわ。僕達とお話しした時みたいに何回もふわふわ揺れました。
『ほら、こうやってお話しするんだよ。あってる時はふわふわが多くて、違う時にはふわふわが少ないの』
『別の質問もしてみるね。石はユーキが好きなんだよね』
ふわふわふわ。
『好きだから、ユーキがさわったら動いたんだよね』
ふわふわふわ。
『あの黒服達は好き?』
ふわ。
『一緒に行きたい?』
ふわ。
『ね、お話しできるでしょう?』
「えと、いっぱいおはなしできるでしゅ。それからぼくがこわいとき、リュカみたいに、ポワッてしてくれてぇ」
僕はお話しの途中でマシロ達を見ました。あれ? さっきみたいにボケっとしたお顔で固まってる。どうしたの? 僕はマシロの所に行って、マシロのおしっぽを引っ張ります。すぐにハッ!!とするとマシロ。
『おかしいだろう!!』
マシロが叫んだんだ。おかしい? おかしくないよ。ただお話ししただけだもん。ねぇってみんなでしたら、マシロはまたおかしいって。ぶー! 何で?
あのね、マシロは何回か精霊の石を見た事があって、でもその石はどれもお話ししなかったって。それから勝手に動いたりもしません。ずっと同じ場所にあるか、ずっと精霊さんと一緒にいるの。
マシロのお話しを聞いてたアンドレアスもそうだって。アンドレアスのお家がある所には、いろんな精霊さんが時々遊びに来るんだって。僕達が会った事がない精霊さんがいっぱいだよ。
その時に時々精霊の石を持っている精霊さんがいるけど、みんな普通の精霊の石なんだって。今みたいにやっぱり動いたり話したりしません。
それにね力も貸してくれないんだって。精霊の石を使えるのは、その精霊の石を持っている精霊さんだけ。この精霊の石さんは、霧の精霊お兄さんの石だから、お兄さんが力を使えば使えるけど。僕みたいに違う人だと全然石の力は使えないし、石が自分から力を貸してくれないんだって。
あっ、でも。あの黒服達は精霊の石を取ろうとしてるでしょう? 精霊の石は違う人は使えないなら、何で石を取ろうとするのかな? 聞いたら方法は分かんないけど、もしかしたら闇の力で、精霊の石さんから力を吸い取ろうとしてるのかもしれないって。
『まったく、主といると、長く生きてきているのに、初めての事ばかりが起きる』
「私もこんなに反応する石は初めて見たな」
「くくっ、やっぱりユーキは面白いな」
『…お前はそんな反応ができたのか?』
霧の精霊お兄さんもお話しした事ありませんでした。ふわふわ動くのも初めて見たって。こんなにお話しできるのに、精霊の石さんお話しすれば良かったのに。みんなでお話し楽しいんだよ。僕達もお話しいっぱいするもん。
『あー、それでだ。お前は今危険な状態にある。黒服達のことは理解しているか』
マシロが精霊の石さんに聞きました。すぐにふわふわって揺れる精霊の石さん。
『そうか、分かっているか…。初めての経験でどうにもやりにくいな。はぁ、では、安全になるまで、外に出ていない方が良い。モリオンの魔法でお前をしまっておこうと思ったのだがどうだ?』
ふわ、精霊の石さん嫌だって。
『ではやはり、霧の精霊と共に居るか? そちらの方が霧の精霊も力が発揮できるだろうが。だが、かなり危険だぞ。奴等が次はどのような攻撃をして来るか分からんからな』
ふわふわ。ちょっとだけ揺れた精霊の石さん。それからお兄さんの方に飛んでいって、お兄さんの周りを少しだけ飛んだ後、僕の方に来て。それから僕の前でふわふわふわって、いっぱい揺れました。
『ねぇ、もしかして。もちろん霧の精霊の石だから、霧の精霊が負けないように力を使うけど。でも奴等と戦ってる時は、ユーキの中に居る。そうであってる?』
リュカが精霊の石さんに聞きました。そうしたらふわふわふわっ!!って、今までで1番揺れた精霊の石さん。それから僕のお体を出たり入ったりして、僕のお手々の上に乗りました。
『それはダメだ。先程は急な事で、しかも我々の知らない黒服達だったからな。向こうもすぐには気づかなかっただろうが。おそらく今頃主の事に気づいているだろう。我々も居たからな。そうなればお前だけではなく、主も狙って来るはずだ』
「だろうな。奴等を率いていた者は、何となく気づいていたような様子だった。おそらく次は狙って来るだろうな」
『どういう事だ? そう言えばお前達は黒服を良く知っているようだが』
「後で話す。今は石を説得しなければ」
『狙っている者が、何かの拍子に一緒に居ると気づかれてみろ。総攻撃を受けて主が怪我をしかねん。今回こちらにはエシェット達、お前は知らんだろうが、強い者達が揃っていないのだ。そんな中守るのは…。すまんが我の1番はユーキなのだ』
ふわ! 精霊の石さん嫌だって。
『今のうちにユーキに隠れておけば? それで絶対に出てこないって約束するの。もしでできたら、すぐに僕がしまっちゃうからね』
『モリオン!!』
『だってさ、説得したって絶対うんって言わなくない? 僕だって、大好きなユーキから離れろって言われたって絶対離れないし』
『そうだよね。説得したって無駄だよ。だったらこれからのお話しした方が良いよね』
『ねぇねぇ、奴等が来たら、絶対にユーキの体からでちゃダメだよ。フラフラしちゃダメ。もし見つかったら、全部の攻撃がユーキに来ちゃうからね』
『ユーキ、怪我するの嫌でしょう』
ふわふわふわ。
『だったら静かに体の中に入っててね』
ふわふわふわ!! 精霊の石さんがすぐに僕のお体に入ってきて、そのまま静かになりました。




