49ついに再会!!
僕達の下に、騎士の人達と黒服の人達が居ます。皆んな戦ってます。そして戦っている真ん中の所、お父さんが見えました。
「とうしゃんでしゅ! とうしゃん、とうしゃーん!!」
一生懸命呼ぶけど気付いてもらえません。あれ、あそこで戦ってるのお母さん? ふお、ふおお! お母さん強い。黒服の人が遠くまで飛ばされました。
「これは、結界を張って貰っているが、主は下に降りない方が良いな」
「ブー」
「ブーじゃない。魔法が飛び交っている。もしも魔法が結界に当たれば、主では反動で転がりかねん」
なかなかお父さんの所に行けない。さっきから止まってばっかり。みんなのお怪我も治したいのに。
「どれ、我がまた下に降りてくるか。あの黒服達を止めれば良いのだろう。早くユーキを家族に会わせてやりたいからな。」
マシロがエシェットに確認します。黒服の人達だけ倒すこと。なるべく殺さないようにすること。間違っても騎士に殺気を飛ばさないこと。それ聞いてエシェットは嫌々そうな顔してます。
「我がヘマすると思うか? まったく小言が多い。あんまり煩くしてると、そのうちユーキに愛想を尽かされるぞ」
マシロが何か文句言ってたけど、エシェットが呼ぶまでここで待ってろって言って、さっさとエシェット下に降りちゃいました。
エシェット間違えないでね。お父さん達攻撃しちゃダメだよ。
上から見てたら、エシェットが下に降りた途端に、皆んなの動きが止まりました。うんとね、止まったのは黒服の人達で、お父さん達は、突然現れたエシェットにびっくりして、それと黒服の人達が攻撃やめたから止まったみたい。
「ふむ。やはり先ほどの奴らよりも弱いな。おいそこの騎士ども、我が止めているうちに此奴らを捕まえたらどうだ。ボサッとしていないで早くしないか」
エシェットの言葉に、騎士の人達が慌てて黒服の人達を捕まえていきます。ほんとに黒服の人達動かない。エシェット凄いね。今度どうやってるのか聞いてみようかな?
お父さん達が全員捕まえて、エシェットの所に戻って来ました。
早く呼んでエシェット。お父さん僕ここだよ!
「お前が誰だか知らないが助かった。礼を言う。一応信用して良いんだよな。あの黒服を止めてくれたと言うことは」
「ああ勿論だ。ところでこの騎士の中に、家族を探してる者はおらんか」
「!! 何故それを知っている!」
「おお、お前だったか。よし!」
エシェットが僕達を見て、ニコッて笑うと大きな声で僕の名前を呼びました。
「とうしゃーん! かあしゃーん!」
僕は2人に手を振りました。マシロがゆっくり下に降ります。お父さんはびっくりしたお顔して動きません。お母さんもです。僕のことをエシェットが抱っこして、マシロから降ろしてくれます。
あれ? お父さん達の所に行こうとしたけど、降ろしてもらった所から動けない。何で? 早くお父さん達の所に行きたいのに。足が動きません。
会えて嬉しいのに。でも嬉しいの僕だけだったら? 前のお母さんみたいに、近寄るなって言われたら? 前のお母さんの事思い出したら、お父さん達のとこ行けなくなっちゃった…。
左手でマシロのしっぽにしがみ付いて、右手はエシェットと手を繋ぎます。お母さんが僕の名前を呼びました。
「ユーキちゃん」
ビクッて体が揺れました。しっぽに隠れながらそっとお母さんを見ます。僕聞いてみました。
「とうしゃん、かあしゃん、おこってましゅか? かっていなくなって、きらいなったでしゅか?」
2人は黙ったままです。やっぱり嫌われちゃった? もう一緒に居られない? 僕はしっぽに顔をくっ付けました。
「何バカ言ってる」
お父さんの声です。
「私達がどれだけお前に会いたかったか。どれだけお前を抱き締めたかったか」
「そうよユーキちゃん。ほら、お母さんにユーキちゃんを抱っこさせて。それで皆んなでお家に帰りましょう」
チラッと2人を見ます。2人はいつもみたいに笑ってます。僕の大好きなお父さんとお母さんのお顔です。
「とうしゃん、かあしゃん…」
お母さんが大きく腕を広げてくれました。
「とうしゃーん! かあしゃーん!」
僕は走ってお母さんの所へ。そして腕の中へ飛び込みました。
お母さんがギューっと抱き締めてくれます。その後お父さんも僕の所に来てくれて、僕とお母さん一緒に抱き締めてくれました。僕は、僕は、
「とうしゃ…、かあしゃ…、ふえ、ふええ…、うわああああん!!」
「マシロ達が居たとはいえ、今まで良く頑張ったな。怖かっただろう。すぐに迎えに行けなくてすまなかった。ユーキ帰ってきてくれてありがとう。」
僕は会えて嬉しいのと、寂しかったのと、いろんな気持ちがいっぱいになって、泣いちゃった。そしたらもっとギュッて、抱き締めてくれました。
お母さんの顔見たら、お母さんも泣きながら笑ってました。
そのままお母さんが抱っこしてくれて、アメリアとオリバーさん達のところに連れてってくれました。まだぐすぐす泣く僕に、皆んな順番に頭を撫でてくれます。リアムさんのなでなでは、ちょっと首が痛かったけど…。でもでも、皆んな僕が帰ってきて、とっても喜んでくれました。僕のお家に居る、騎士さん達もです。
あっ、嬉しくて忘れるところだった。皆んなのお怪我治さなくちゃ。
「とうしゃん、グス、なおしゅでしゅ、えっぐ」
「治す? 何をだ?」
僕は泣いてるせいでうまく話せなくて、ディルを指差しながら一生懸命説明しました。お父さんはもう他のこと考えてるのか、せっかくの家族の感動の再会が、他の人達に邪魔されたって、いろいろブツブツ言ったの。それを聞いてオリバーさんが、お父さんの事を怒りました。せっかく僕が皆んなの事考えてくれてるのにって。
でも、僕が泣き止むまで待っててくれるって。今すぐ治さないとダメダメなお怪我してる人いないから大丈夫なんだって。
そっか。大丈夫ならもう少し抱っこしててもらいたいな。お父さんにも抱っこしてもらいたい。
「とうしゃん」
僕はお父さんさんに手を伸ばしました。お父さんは僕を抱っこして、次に肩車してくれたよ。きゃっきゃって喜んでるうちに、いつの間にか涙が止まりました。やっぱりお父さんの肩車大好き!
僕は、お父さんの肩車をいっぱい楽しんで、もう1度お母さんに抱っこしてもらって、今までも元気だったけど、もっと元気になりました。
良かった。皆んなが、お父さん達が喜んでくれて。もう絶対何処にも行かないもん。ずっとお父さん達と一緒に居るんだもんね!




