254大きなお船に大きなイカさん魔獣?
「ふおぉぉぉぉぉ!! おおきいでしゅう!!」
今僕達の前に、大きな大きなお船が止まってます。これからこのお船に乗るんだって。僕嬉しくて嬉しくてぴょんぴょんジャンプしちゃいます。それから万歳も。
お船に乗るための橋を歩いてお船に乗ります。でもその橋とってもユラユラです。
「およよ?」
よたよた、よたよた、なかなか前に進めません。みんなが歩くと揺れるの。みんな静かに歩いて!
「後ろが詰まる。ユーキ抱っこするぞ」
お父さんが僕のこと抱っこします。歩いてお船に乗りたかったけど、でも僕の後ろ人がいっぱいだから仕方ないや。
お船の中に入ってすぐ、お店がたくさんありました。そのお店の中にイルカさんみたいな可愛いぬいぐるみがあったの。ドルンっていう海の魔獣だってじぃじが教えてくれました。とっても優しい魔獣で、海で遊んでるとたまに遊びに来て、一緒に遊ぶんだって。会ってみたいなぁ。
じぃじがお店で1番大きいドルンのぬいぐるみ買ってくれました。じぃじにありがとうしてぬいぐるみ抱きしめます。
階段を登ってお外に出て、じぃじに抱っこしてもらって周り見ます。たくさんのお船が止まってて、このお船と同じくらい大きな船もたくさんです。ブオォォォォォ! って音がして船がゆっくりゆっくり動き始めました。階段はあんなにユラユラ揺れたのに、お船は全然揺れません。お船の周りを鳥が飛んでます。海に住んでる鳥で、お魚さんを食べるのが大好きな鳥です。
お船の先頭に行ったり後ろに行ったり、お椅子もたくさん置いてあって、お昼のご飯食べたらお外で休憩しましょうねってばぁばが。中に戻ってもう1回お店見て、お魚さんの乾かしてあるお菓子買いました。これはチョコミのお土産です。
チョコミ、ヤドカリさんのお名前。ちょこちょこ歩いてハサミがあるから。キミルが名前考えて僕達もそれが良いって言いました。女の子か分かんないけど…。良いよね。
お昼のご飯を食べに広いお部屋に行きました。広いお部屋の真ん中のテーブルにご飯がいっぱい乗ってます。この前のお店とおんなじです。自分でご飯持ってくるの。ご飯はお魚の料理がいっぱいでした。
ご飯食べた後はまたまたお外です。最初に後ろの方に行ったら街がとっても小さく見えました。あっ! あのお船お魚さん釣ってる! あっちの船はあみ引っ張ってます。あのあみの中にたくさんお魚さん入ってるんだって。それに向こうの大きなお船はたくさん箱運んでます。ゾウさん魔獣も乗ってるね。
「さぁ、今度は前の方に行きましょうね」
ばぁばに抱っこしてもらって今度は前に行きます。椅子に座ったらばぁばが船の係りの人に何かお願いしました。係りの人がどこかに行っちゃって、でもすぐに戻って来てジュース持ってきてくれました。お花が載ってる水色のジュースでとっても綺麗。それからショワシュワってサイダーみたいでとっても美味しかったです。
ジュース飲んでまたワクワクドキドキしながら、また海見ようとしたときでした。マシロ達がバッて勢いよく前の方見たの。マシロはそのままお船の手すりのところにシュタッ! って乗っかります。それでウゥゥゥゥって唸りました。
「ウイリアム剣を持て! 何か来るぞ!」
エシェットがそう叫びました。お父さんもお兄ちゃん達もじぃじもばぁばも、みんな剣を持ちました。周りの人達が驚いてます。でも係りの人達や、お船に乗ってるお客さんの何人かの人達は、じぃじ見てすぐに自分の持ってる剣や、魔力石、弓を用意しました。そして。
「グガギャアァァァァァァッ!!」
バッシャァ~ンッ、バシャシャシャシャッ!! って大きな音がして、海の中から何か出てきました。お船よりももっと大きいイカ? みたいなのが出てきたの。
「クラーケン!! 何故ここに!!」
じぃじが叫んで、バッて周り見ました。それから、
「ワシの名前はディアンジェロ! ワシのことは皆知っているな! ワシは指揮をとる。いいか戦えるものは武器を取れ!!」
僕のこと抱きしめてくれてたお母さんが、お兄ちゃん達呼びます。お兄ちゃんと一緒にいなさいって言って、お母さんも剣を持ちました。あのイカの魔獣クラーケンっていうみたいです。
「!! 何だ? うまく魔力が使えん」
エシェットがじっと自分のお手て見て、それからグーパーしました。そんなエシェット見てお父さんがエシェットに話しかけます。
「どういうことだ!」
「分からん。これではユーキにいつものような結界が張れん。なんとか戦うことは出来るが…。マシロ、ユーキを連れて中に入っていろ。お前も海の上ではうまく戦えんだろう」
「分かった。主、中に行くぞ。お前達も一緒に来い」
マシロがそう言ったらエシェットとルトブルがお船から飛んで、クラーケンに攻撃しました。でもいつもみたいに凄い攻撃じゃないの。どうして魔法が使えないんだろう。
お兄ちゃん達と一緒にお船の中に入ろうとして歩き始めます。そしたら僕達の横でさっきみたいにバッシャァ~ンッ、バシャシャシャシャッ!! って音がして、もう1匹クラーケンが現れました。お船がゆらゆらガタガタ揺れます。マシロもお兄ちゃん達も座っちゃいました。僕も転んじゃって、ちょっとコロコロ転がっちゃいました。でも…。そのあと今までで1番お船がグラグラ揺れたの。
「ふわ!?」
僕の体がフワッてなりました。それからポーンって。あれ? 僕飛んでるの? それから手すりが見えて、マシロとお兄ちゃん達が驚いた顔してるのが見えました。
「ユーキ!!」
アンソニーお兄ちゃんが手すりから僕のこと掴みます。そしたらアンソニーお兄ちゃんも手すりから全部お体が出ちゃいました。そのあと僕とお兄ちゃんブラブラです。下見たら床じゃなくて海が見えます。僕達のお船から出ちゃってました。
アンソニーお兄ちゃん見て上見ます。マシロがアンソニーお兄ちゃんのお洋服噛んでて、ジョシュアお兄ちゃんがアンソニーお兄ちゃんのお手て掴んでました。
「今引き上げる! 頑張れ!」
ちょっと上に上がったけど、その時クラーケンのお手て? が僕達のこと攻撃してきました。マシロがお手て攻撃します。そしたら…。
「きゃあぁぁぁぁぁ!!」
「くっ! ユーキ!」
「くそっ!!」
バッシャアァァァァァァン!! 僕とお兄ちゃん達海に落ちちゃいました。ぶくぶくぶく…。苦しいです。でもすぐに息できました。お兄ちゃんが僕のこと引っ張って海の上に出してくれたの。
「けほっ、こほっ! ふええ、にいしゃん」
「大丈夫、大丈夫だから!」
「おい、泳げるか!」
僕達の後ろにクラーケンがいます。怖い!! お兄ちゃんにギュッて抱きついてたら、またバシャン!! って音がして、ルトブルが僕達の所に来てくれました。
「ルトブル!!」
「ユーキ大丈夫だ。今船に…。くそやはり魔法が上手く使えん。………何だ!?」
僕達のことを丸い結界が包みました。ルトブルが結界張ったんじゃないって。ルトブルが結界調べようとします。そしたら。
「ルトブル、にいしゃん、こわいっ…! うわあぁぁぁぁぁぁん!」
僕達海に沈み始めました。
「大丈夫。みんなユーキの側に居るからね」
「そうだぞ。絶対離れないからな」
「絶対にユーキのことは守る。マシロ我に任せろ!」
お兄ちゃん達が僕のこと抱きしめてくれます。お顔見たらニコってみんな笑ってました。お船の上見たらマシロ達が見えます。それから僕達のこと見ながら走ってくるお父さん達。エシェットもクラーケンに攻撃しながらこっちに飛んできます。
「マシロ…。おとうしゃ…。うわあぁぁぁぁぁぁん!」
お船が見えなくなりました。
(***)
国に戻り水晶を変え、すぐにあの子供のところへ戻ろうとしたが、別の避難してきた住民の話を聞かなくてはいけなくなり、1日時間が潰れてしまった。話を聞き終わると少し仮眠をとり、すぐに陸に戻ろうとした。
「お兄様、見つかったのですね」
「いや、もしかしたら水晶が壊れていただけかもしれない。もう1度確認してくる」
「ではまだお話はされていないのですね。どんな方ですの」
子供のことを言うのはまずいか…。
「水晶の反応が間違いでなければ、かなりの戦力になる。きっと海も陸も平和にできるはずだ。行ってくる」
陸に着き人間の姿に変身すると、あの子供が暮らしている家に向かった。隠れて様子を見ていると、この前のメンバーがゾロゾロと家から出てきた。水晶をかざし魔力を確認する。間違いない。この前と同じ反応だ。
どうやって話しかけるか。妹に言われた通り最初は彼らと話をして、了解を得て連れていきたいんだが。急に近づけば警戒されるはず。
とりあえず子供の後を追って行く。海の方まで出ると、彼らは今日は船に乗るらしい。子供がとってもはしゃぎながら船に乗り込んでいく。後を追い俺も船に乗り込んだ。子供は店の前に行くとドルンのぬいぐるみを買ってもらっていた。嬉しそうに抱きしめて歩く子供を見て、俺は気を沈め、やはり子供はやめておこうと思った。
俺は何を考えていた? 妹の子供達を思い出すのだ。もし彼らが俺のような男に力を貸せと言われて連れて行かれようものなら、俺は全力でそいつを止めるはず。大人の方に話をし。なんとか手を貸して貰えるように交渉しよう。
船に乗り込んだばかりの頃は、あっちへ行ったりそっちへ行ったり、忙しなく動いていた彼らも、食事が終わり外に出て海を眺める頃には少し落ち着いた。声を掛けるならば今だろう。そう思い彼らに近づこうとした時だ。
突然だった。今まで全然気配を感じなかったのに、船の進む先に巨大な力が現れた。しかも2体。クラーケンが2体現れたのだ。何故急にクラーケンが現れた!? まさか…。奴等め石の力を使ったな。俺の国の方もおそらく何かしら攻撃を受けているはずだ。
どうする。1度の攻撃ならば国にかけてある結界は破壊はされないはずだが、すぐに帰らなければ。誰を連れて行く? と、前を見れば、船を襲ってきた1体のクラーケンとあの魔力の凄い人間2人が、クラーケンと戦い始めた。
が、それもまた突然だった。船の横にもう1体、3匹目のクラーケンが現れたのだ。大きく船が揺れる。そして…、
避難しようとしていたあの子供が、反動で船から落ちそうになった。そんな子供の体に一緒にいた人間が手を伸ばし、なんとか子供を掴んだが、今度はその人間が船から飛び出してしまった。そこでもう1人の人間が落ちた人間の服を掴む。フェンリルも一緒に落ちないようにしていたが、クラーケンが攻撃してきたため、その相手をフェンリルがすると、子供と人間2人が海に落ちてしまった。クラーケンがいる海にだ。
そこに先にクラーケンと戦っていた魔力の強い人間の1人が、子供達を助けに海に飛び込んだ。何故か分からないが魔法を使うのに苦労している。魔力阻害か?
今しかない。子供には申し訳ないが、彼ら4人に俺の国に来てもらおう。2人は魔力が強いわけではないが、一緒に連れて行けば子供も落ち着くはずだ。生憎と俺に魔力阻害は通じない。俺は魔力を使いあの子供達の周りに渦を作り結界を張ると、海の中へと沈めて行く。子供の泣きじゃくる顔が見えた。




