248海の街ビースロイカに到着!!
(***)
「報告します。今西のサンゴの森の王子と妹君が、数名の騎士と保護を求めてまいりました」
「なんだと! サンゴの森がやられたのか!」
「そのようです。如何致しますか。」
「もちろん受け入れよう。話を聞きたい。客室へ案内してくれ。」
部下に指示を出し部下が出て行ったのと交代でイルンが部屋へ入ってきた。その表情は険しく、今度は何だと思っていると、イルンの後ろからアイリーンが娘のスージーと息子のアークを連れて部屋に入ってきた。
「なぜここに居るんだ! 俺は彼の所へ避難していろと言ったはずだぞ」
思わず怒鳴る俺にアイリーンが怖い顔をして反論してきた。
「私もこの国の姫です。やはり逃げる事などできません! 途中で行くのをやめて戻ってきました。それに、お兄様に大切なお話があるのです。」
やはり俺の考えが甘かったか。アイリーンが大人しく避難するわけないと思いながらも、なんとか送り出したから大丈夫だと思ったんだが。だが戻って来てしまったのなら仕方がない。それに大切な話があると言っていた。が、とりあえずはサンゴの森の王子とその妹に会って話をしなければ。
俺が王子達と話をしに行くと言えば、アイリーンもついてくると言う。もしかしたら自分が持ってきた大切な話と、関係しているかもしれないと言って。何だ? 一体何の話を持ってきたんだ?
先に部屋から出るアイリーン。子供達を部屋に連れて行くためだ。ロレリナには自分が帰って来たことをもう伝えてあるから、子供の心配は要らないと言われてしまった。俺の所へ来る前にすべて元通りの生活ができるように、皆に指示を出して来たらしい。まったく俺がなんと言おうと、もうここから避難する気はなかったという事か。
そのことに対してブツブツ言いながら部屋を移動していれば、イルンが後ろをついて来ながら少し笑っていた。
「さすがアイリーン様ですな」
「やめてくれ。まったく俺の妹は、行動力があり過ぎるのが問題だ」
「貴方様にそっくりですな。そしてお父上や母上とも」
「…ふん」
あまり嬉しくない言葉を聞きながら王子達の居る部屋へと移動した。さて、どんな話を聞くことになるか。それによってはここが戦場になりかねない。なるべくそれは避けたい所だが…。
(ユーキ視点)
「ユーキ、ユーキほら起きろ」
「あなたが明日海が見れるなんて言うから、興奮して夜寝られなかったのよ」
「あんまり楽しみにしていたからついな」
だれ? 僕眠いの。静かにして。僕はコロンってもっと丸くなりながら、いつもより小さいマシロベットにくっつきます。でも、また誰かが僕のこと揺らしました。
「ほらユーキ。窓から海が見えるぞ。見なくて良いのか?」
ん? 海? 海!! 僕はお目めぐしぐし擦って起き上がります。なんとかお目め開けて窓に近寄りました。見えやすいようにお父さんが僕のこと抱っこしてくれます。窓からお外見て僕お目めがぱっちりになりました。
「ふおお、ふおおおお!! おとうしゃんあれうみでしゅか? あれじぇんぶとおくまでうみ?」
「ああそうだぞ。ずっと向こうまで海だぞ」
ふおおおおお!! 初めての海。ルトブルに海!海! って言ったら、ルトブルとっても嬉しそうなお顔してそうだなって。やっぱりルトブル海に来れて嬉しいんだね。だって海で暮らしてたんだもんね。
僕はね早く海に行きたいです。それでルトブルに乗っけてもらうの。
馬車がどんどん進んで街の壁の所に到着です。いつもみたいに騎士さんが入れる入り口に行きます。でも今日は違うこともありました。いつもはお父さんが入り口に立ってる騎士さんとご挨拶するのに、今日はお母さんがご挨拶しました。入り口の騎士さん、お母さんのお顔見てとっても驚いた後に、とってもニコニコお顔になりました。それで騎士さんが別の騎士さん呼びます。呼ばれた騎士さんもお母さん見てとってもニコニコになりました。挨拶が終わって街の中に入ります。僕もいつもみたいに騎士さんに挨拶。お手手を頭のところに、それからピッ!
街の中に入っちゃったから海見えなくなっちゃいました。ちょっとだけしょぼんです。でも海はまた後で。僕お母さんのじぃじとばぁばに会うのも楽しみだから、すぐにしょんぼり終わりです。
窓からお外見てたら、見たことない物売ってるお店がいっぱいです。あのぶら下がってるの何かな? あの刺さってるの何? 僕は反対側の窓からもお外見ます。あっ、あのぬいぐるみルトブルそっくり! 欲しいなぁ欲しいなぁ。お父さんとお母さんにお願いしようかぁ。あっ、あっちはキミルとモリオンにそっくりのお人形がある!
またまた反対側の窓に移動です。あのキラキラ何? あのモコモコは?
「ほらユーキ静かに座ってなさい!」
お父さん抱っこしてお外みせてくれてたのに、途中でお膝抱っこになっちゃいました。ブーもっと見たいのに。
「はぁ、先が思いやられる」
「ふふ。街と海、両方でユーキちゃん大騒ぎになるわね」
「そんな軽くいうな。私は心配ばかりだ…はぁ。」
どんどん馬車が進んで、僕のお家の場合は近づくと周りが静かになるけど、ビースロイカは全然静かになりません。じぃじのお家の周りもどこに行っても、ビースロイカはとっても煩い街だってお母さんが教えてくれました。
もう少し馬車が走ってやっと止まりました。またまたお母さんが騎士さんにご挨拶です。それでまた馬車が動いてすぐに止まりました。馬車のドアが開いて、それでおじいさんが馬車の中を見てきました。
「お帰りなさいませオリビア様」
「ただいまフォーカス」
「皆様お待ちですよ」
お父さんが最初に下りて次にお母さんがおります。僕はお父さんが抱っこして下ろしてくれました。横向いたらお兄ちゃん達もう下りてて、アシェルは荷物下ろしてます。お母さんに呼ばれてお母さんの方に走りました。
前向いてじぃじのお家見ます。とってもとっても大きいお家です。うんと僕のお家とおんなじくらい! それで玄関の前に人がたくさん並んでました。うんこれもお家とおんなじ。さっきのおじいさんの後ろからおばあさんが出てきて、僕達の前に立ちました。
「お帰りなさい。元気そうでよかったわ」
「ただいまお母さん」
「お久しぶりです」
「おばあさんこんにちわ」
「こんにちわ!」
「皆元気そうで良かったわ。さぁ、紹介してくれるかしら」
お母さんが僕のこと前に出して自己紹介よって。僕はピシッて立ってご挨拶です。
「ゆーきでしゅ! えと2しゃいでしゅ。よろちくでしゅう!」
「はじめまして。おばあちゃんよ。お母さんのお母さん。そうね確かあちらのご家族はばぁばって呼ばせたって言ってたわね。じゃあユーキちゃん。おばあちゃんのこともばぁばって呼んでね。ケイラばぁばよ。」
ばぁばのお名前ケイラばぁばです。髪の色がお母さんと一緒で、背もお母さんとおんなじくらい。リズばぁばみたいにとってもニッコリお顔で、僕のこと抱っこしてくれました。僕もニッコリです。
でも…。僕キョロキョロ周り見ます。じぃじはどこ? ドア開けてくれたおじいさんはじぃじじゃないの? だって他におじいさんいません。僕がおじいさん探してるのお母さんが気付いて、きっとお家の中で待ってるからお家に入りましょうって言いました。なんでお家の中にいるの? 僕と会いたくないのかな。僕ちょっとドキドキです。
お家の中も僕のお家と似てました。でも、僕のお家に無いものもいっぱいでした。光の魔力石が入ってる入れ物が貝殻とか、たまに置いてある机も海の物で出来てるってお兄ちゃん達に教えてもらったの。海の街だから、海の物で出来てるものがいっぱいです。僕のお家は木がいっぱい。
大きなドアの前について最初にばぁばがお部屋に入りました。最後に僕が入って、みんながじぃじにご挨拶します。僕の目の前にお兄ちゃんが立ってて僕前がよく見えませんでした。
「にいしゃんみえないでしゅう」
「ん? ああごめんごめん。ディアンジェロおじいさん、ほら僕達の弟。ユーキご挨拶ね。頑張って」
頑張って? 僕ちゃんとご挨拶するよ? お兄ちゃんが僕のこと前に出します。僕ピシッとっ立って…。立って…? ?!
僕ピシッて立って止まりました。僕の前にとっても大きいおじいさんが居ました。お父さんよりもアシェルよりも、エシェット達よりも背が高くて、お父さんが2人並んだくらい体も大きくて、それからそれから…。
僕すぐにお父さんの後ろに隠れました。だって僕のこと怒ってるの。お目めがキッてなってて、お口もムンって怒ったお顔のまま僕のこと睨んでます。あの黒服さんが怒ったときとおんなじお顔です。おじいさん僕のこととっても怒ってます。
「ユーキ、ご挨拶しなさい」
「ご、ごめんしゃい…、ごめんしゃいでしゅ。ごめ…」
なんで怒ってるの? 僕何もしてないよ。僕に会いたくなかったの? だってお手紙くれたでしょう。僕よく分かんなくなっちゃいました。でもちゃんとごめんなさいしなくちゃ。
お父さんの後ろからちょっとだけお顔出して、もう1度ごめんなさいしようとしました。そしたらおじいさんがもっと怖いお顔になったみたいに見えました。
「ふえ?! ごめ…、うわあぁぁぁぁぁぁん!!」
僕怒られてるのと、おじいさんのお顔とっても怖くて泣いちゃいました。




