特別篇 『ユーキ君の大冒険』
いつも「やさもふ」をご愛読いただきありがとうございます。
申し訳ないのですが、用事が長引き今帰って来たため、今日の更新に間に合いません。
そこで見たことがある方もいらっしゃると思いますが、あちらで消してしまった特別篇を、今日はこちらで更新したいと思います。
明日からは通常に戻りますので、今日は特別篇をお楽しみください。
今回の特別篇は、まだユーキやマシロ達が出会ったばっかりの頃のお話になります。
お楽しみ下さい( ´ ▽ ` )
******************
『ユーキ君の大冒険』
あるところに小さな男の子が居ました。
男の子の名前はユーキ君。ユーキ君は大きなお家に住んで居ました。
ユーキ君には友達がいました。ちょっと大きい犬のマシロ。2人はとっても仲良しでした。
ある日2人はお庭で遊んでいました。その時何処からか声が聞こえてきました。
「なあ、こっちに来いよ。」
「?」
「そっちじゃないよ、こっちだよ。」
ユーキ君が花壇の方を見ると、お花の花びらに、小さい小さい人が2人座っていました。
「どなたでしゅか?ぼくはユーキでしゅ。あとは、マシロでしゅ。よろしくでしゅ。」
「ボク達は妖精だよ。妖精のリュカと。」
「オレはディルだ。よろしくな!」
2人は妖精でした。
妖精は、楽しそうに遊んでいるユーキ君達と、自分たちも一緒に遊びたくて、声を掛けてきたのです。
「なにしてあそびましゅか?」
「ボク達このお庭のこと、何でも知ってるんだ。」
「オレ達とこの庭、冒険しないか?」
ユーキ君はいつも、お兄さんに読んでもらっている絵本の事を思いだしました。それは男の子がお庭を冒険するお話です。ユーキ君はそのお話が大好きでした。そしていつか自分も冒険したいと思っていました。
「ぼうけんいきましゅ!マシロもいきましゅよ!」
ユーキ君は妖精の後に続いて、花壇の中に入り、どんどん奥へと向かっていきます。
最初に着いたのは、池でした。ここはいつもユーキ君がお魚に餌をあげる所です。
「ぼくここしってましゅ。」
「違うよ、こっちだよ。」
妖精は、池の奥の草が生えている所へ、ユーキ君を案内します。
「ほら草むらの中、たくさん虫が隠れてるんだよ。」
ユーキ君が草むらの中を除くと、本当にたくさんのいろいろな虫がいました。
「わああ、ほんとでしゅ。こんなところにたくしゃんでしゅ。ぼくおさかなしゃんしか、みたことなかったでしゅよ。」
「だろう、俺達は小さいからな、こういう虫とか見つけるの得意なんだ。あとは、珍しい花とか石とか、いろいろ知ってるぞ!凄いだろう!」
「しゅごいでしゅね。ぼくもみてもいいでしゅか?」
「もちろん。全部案内してあげるよ。どんどん行かないと、暗くなっちゃうから、ちゃんとついてきてね。」
「はいでしゅ!l」
ユーキ君は妖精に言われたとおり、頑張って後をついていきます。
妖精が見せてくれるのは、本当にユーキ君が見たことない物ばかり、ユーキ君は楽しくてしょうがありません。
それでもやっぱり小さい妖精が案内してくれる所は、狭い場所ばかり。
モグラが開けた穴の中に、顔を入れて中を覗いたり、道具小屋と道具小屋の狭い隙間に入って行ったり、ユーキ君の顔も洋服も、泥だらけのボロボロです。
でもそんな事、気にならないほど、ユーキ君は冒険に夢中です。
気が付くと、だいぶ時間が経っていました。もう少しで夕方。お家に戻る時間です。
「最後に珍しい奴に会わせてやるよ。」
最後に妖精が連れて行ってくれたのは、このお庭で1番端っこにある、大きな木の所でした。
「ほら、木の上よく見てみろ。」
言われたとおり、木の上を一生懸命見つめます。木の葉の間、何かが見えました。
おでこに石がついてて、とってもモコモコしていて、背中に羽が付いていました。
「ようせいしゃん、あれはだれでしゅか?」
「あれは精霊って言って、とっても珍しい生き物なんだぞ。なかなか会えないんだ。」
「ボク達も初めて見たんだよ。あの子、ここが気に入ったんだって。だから、ここでゆっくりするって。」
「ともだち、なれましゅか!」
「うーん、まだ無理かな。」
「そうでしゅか…。」
ユーキ君は残念でした。友達になって、遊びたかったんです。
「あの子ね、ユーキがいい子だったら、友達になってくれるかもよ。精霊はね心が綺麗な人のところに現れるんだ。ここが気に入ったってことは、きっとここに綺麗な心の人がいるってこと。」
「だからユーキ、ユーキは悪いことしたり、人にイジワルしたりしないで、いい子にしてろよ。」
「はいでしゅ!いいこにしましゅ。」
ユーキ君は精霊の方を見ると声をかけました。
「ぼくのなまえは、ユーキでしゅ。いいこにしましゅ。いちゅかともだちなってくだしゃい!」
そう言いました。すると、精霊の羽がパタパタ揺れました。
「分かったって。」
ユーキ君はニッコリ笑って、手をふりました。
その時ユーキ君を呼ぶ声が聞こえました。
「ユーキちゃんどこに居るの?もうお家に入る時間よ。」
「おーいユーキ、迎えに来たぞ!」
お父さんとお母さんがユーキ君を迎えにきてくれました。
「よし、オレたちも帰ろうぜ。ユーキ今日は楽しかったな。」
「ボクも楽しかったよ。ユーキは。」
「ぼくもたのしかったでしゅ!またあしょべましゅか?」
「ああ、また今度な。約束だ。」
「うん、約束。」
ユーキ君は妖精と、また遊ぶ約束をしました。手を振って、妖精達が帰って行くのを見送ります。花壇の中へ、妖精が消えた時でした。
「あら、ここに居たのね。」
「って、なんだその格好は。ドロドロのボロボロじゃないか。」
ユーキ君は妖精のこと、お庭を一緒に冒険したこと。精霊に出会ったことを、興奮しながらお父さん達に説明しました。そんなユーキ君にお父さんは困り顔で笑っています。
「妖精に精霊ね…。」
お父さんは信じませんでした。それは伝説の生き物だと思っていたからです。でも、ユーキ君の喜ぶ姿を見て、話を合わせることに。
「そうか、良かったな。楽しかったか?」
ユーキ君を抱っこして、3人でお家の中に入ります。
「たのしかったでしゅ。またあしょぶ、おやくそくでしゅ!」
「そうか、良かったな。」
「さあユーキちゃん、お風呂に入って綺麗にして、皆んなで夕御飯食べましょう。」
「はいでしゅ!」
その日の夜、昼間の冒険したこと、皆んなで遊んでいる夢を見ながら、ユーキ君はぐっすりと眠りました。
こうして小さいユーキ君の初めての冒険は終わりました。
おわり
「あら、ユーキちゃん寝ちゃったの?」
「うん。僕が絵本読んであげてたら、いつのまにかね。」
アンソニーの手には『ルカ王子の大冒険』の本が。
「そういえば、あなた達もその本好きだったわね。いつも寝る時その本ばかり読まされたわ。」
「そうだっけ?」
ジョシュアが相変わらず、運動しながら話してくる。その時。
「クスクス。」
「あら、楽しい夢でも見てるのかしら。」
「今頃夢で、庭を冒険してるかもよ。」
「そうね。」
楽しそうに笑いながら眠るユーキを見て、皆んなも幸せな気持ちになったのでした。




