特別編 今日はくろにゃんの日?
今日は20年2月22日。読者の方に言われて気がつきました(^^;;
ニャンニャンニャンと言えば、そうくろにゃん(ルドック)の日。
なので今日は急遽、くろにゃん特別編をお送りします。
ある日のくろにゃんの1日です。では、どうぞ!
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「くろにゃん、どこでしゅか?あしょぶでしゅう!」
ユーキの声が聞こえる。朝から相変わらず元気だ。それに俺の名前はルドックだ。けしてくろにゃんではない。だが、ユーキの母親がくろにゃんと呼ぶ事を許してしまった。父親は俺の味方をしてくれたのに。
寝ていたソファーから立ち上がり、ユーキの声が聞こえた方へ向かう。部屋を出て、向かった場所はユーキの遊び専用の部屋だ。前足でドアを開けると、すでに全員が揃っていた。
「くろにゃんきたでしゅ。おままごとしゅるでしゅよ。くろにゃんは、おみしぇのひとでしゅ。」
カゴを持たされ、ユーキが作った偽のご飯をそれに入れ運ぶ。マシロは材料を持ってくる係で、他はお客らしい。エシェットは…。絨毯の上で寝ている。だがユーキがエシェットの所に持って行けと言い、その通りにすると、ちゃんと起き上がり遊んでいた。
ここへ来て、この屋敷に住む全員が、ユーキをとても大切に思っている事がすぐに分かった。もちろん人間だけではない。マシロ達のユーキ大好きな気持ちは、言葉だけではなく、態度でも表している。
これはつい最近の出来事だ。ある1日と言って良いだろう。
その日は朝からスペシャルブランコと言うものを見た。マシロがユーキを咥え、上に放り投げるとユーキはクルクル2回転し、落ちてきたところをマシロがキャッチする、というものだ。キャッキャ喜んでいるユーキ。それを真似するようにクルクル飛びながら回転するシルフィー達。ところがだ。
「ユーキイイイイイイ!!」
ウイリアムの叫び声がしたと思ったら、ウイリアムがユーキ達を叱り始めた。どうもあのスペシャルブランコという物は、やってはいけない物だったらしい。しかも前よりも進化していたらしい。
「何で前より回転が多くなってるんだ。シルフィー達も真似してるし。マシロ、やるなって言ってあるだろう。くろにゃんも止めないか!」
は?何で俺が?俺は今日初めて見たんだぞ。どうして俺が怒られなくてはいけないんだ。
「だが、ルドガーは面白いと言っていたぞ。」
そうマシロが言うと、ウイリアムが舌打ちをした。
「チッ、父さんと話してくる。いいか。やるんじゃないぞ!」
ウイリアムにそう言われて、ブスッとしたユーキの顔は、まんまるになっていて面白い。そう言えば、俺達の事でルオンに怒ってくれた時は、同じ怒っている顔でも違ったな。今の方は面白いし可愛い。
ブーブー言ってるユーキ達をなだめるように、今度はエシェットが外へユーキ達を連れ出した。外に行くという事で、兄のアンソニーが付いてきた。
行った場所は大きな木の生えている所だった。ユーキはじいじの木と呼んでいる。とっても長寿の木だ。キミルが近づき木の様子を見る。
「うん。この木元気!大事にしてね。」
「はいでしゅ!!」
元気よく返事をするユーキ。しかし少し経つと今度は、エシェットがユーキを抱っこして1番下の枝に登り、そこからエシェットとマシロの魔法を使い、くるくると落ちて来てマシロの上に着地した。これの名前は「クルクル、ぽん」と言うらしい。さっきのと同じような気がするが…。まあ、楽しんでいるから良いだろう。アンソニーは嫌そうな顔をしていたが、止めていないしな。
が、ここでもウイリアムの怒鳴り声が。
「ユーキイイイイイ!!」
今度は何だ。そう思ったが、やはり怒られた理由はこの遊びが原因らしい。今度はアンソニーも一緒に怒られている。それを止めに入ったのがルドガーだ。ルドガーはユーキの「スペシャルブランコ」も「クルクル、ぽんも」やっても良い、子供は元気が1番とか言っている。少しの争いの後、突然2人が俺に話しかけてきた。
「お前はどう思う!!」
だから何で俺なんだ。俺はこれらを今日初めて見たし、俺が何か言ってユーキがそれに従うのか?そんな事ないだろう。
それなのに大人2人は、俺に意見を求めてくる。そんな俺を見てエシェットは大笑いしているし、ユーキはキラキラした目で訴えかけてくる。
「くろにゃん、どうなんだ。お前から見て、あれは危ないと思わないか?」
「エシェットとマシロのやる事じゃ。失敗などないじゃろう?」
今ここにいる人間、魔獣、妖精、精霊の中で、どっち付かずは俺だけだ。キミルはすでにユーキに付いてる。アンソニーは…、すでに居なくなっていた。逃げたんだ。
全員からかなりの圧を感じる。俺の考えは…。
俺は一目散に逃げ出した。逃げるが1番だ。あんな所にいたら身がもたない。が、走る俺をエシェットがサッサと捕まえ、元の場所に戻されてしまった。そして俺を囲むように皆んなが集まる。仕方ない。答えるしかなさそうだ。
「俺はユーキの味方だ。」
そう言うと、ユーキは溢れんばかりの笑顔で俺に抱きついてきた。
「ありがとでしゅう!くろにゃんありがとでしゅ!!」
うっ。俺はこの笑顔に弱いんだ。顔が緩んでしまう。
ウイリアムはがっくりし、それでも反対だと言って、オリビアと話をしてくると言って、屋敷に戻って行った。
そのあと、ルドガーが見ている約束で、ユーキは「クルクル、ぽん」をもう1度だけやり、昼ご飯へと屋敷に戻った。
午後は昼ご飯を食べたユーキが、部屋に戻り昼寝を始めた。ふう、やっと落ち着いた感じがする。少し長く昼寝をしていてくれないか。俺は疲れた。
しかし俺の願いは叶わなかった。街で何かあったらしく、外が急に騒がしくなり、ユーキがその騒ぎでいつもより早く起きてしまった。
すぐに騒ぎは収まったが、早く起きてしまったはずのユーキはとっても元気で、遊びの部屋に行くと、午前中よりもテンション高く遊び始めた。ままごとの続きだ。
今度は乗り物に乗って、ご飯を届けるという物で、俺はその乗り物にくっつけた紐を引っ張り、乗り物を動かしてやる。それを延々と夕ご飯まで続けた。正直疲れた。今までマシロはずっとこれをしてきたのか?やはりさすが変異種のフェンリルだ。
夕ご飯を食べ終わり、休憩室でゆっくりしていると、ユーキがこっくりこっくりし始めた。ウイリアムが抱き上げ、オリビアと全員で部屋に向かう。ユーキがベットに入ると、ウイリアムは俺に後でウイリアムの仕事の部屋へ来るように言い、部屋から出て行った。オリビアに絵本を読んでもらい、すぐにユーキは眠りについた。
俺は言われた通り、ウイリアムの仕事部屋に向かった。部屋に入ると、ウイリアムはソファーに座っていた。
「何のようだ?」
「ユーキについてなんだが。話しておこうと思ってな。」
ウイリアムの話は、ユーキを大切にしてほしいというモノだった。マシロ達はすぐにユーキのお願いを聞いてしまうから、俺にはそれを見張ってほしい、危ないと思ったらすぐに止めてくれと。俺が1番冷静に判断できるだろうと言うのが理由らしい。
だから何で俺なんだ。俺だってユーキの願いは叶えてやりたいし、ユーキに頼まれたら絶対分かったと、返事をするだろう。何故か?大好きで大切なユーキだぞ。当たり前ではないか。
俺はフラフラ部屋から出て、ユーキの元に戻る。何でこう皆んな俺にいろいろ言ってくるんだ。部屋に戻り、自分用に用意してもらったクッションに丸くなる。全員すでにぐっすり寝ていた。エシェットとマシロはチラッと目でこちらを見て、ニヤッと笑っていたが。
はぁ、今日は疲れた。ユーキと一緒に居られるのは嬉しいが、これは想定外だ。これからこんな毎日が続くのか?まあ、ユーキの事だから仕方ないが。
あの笑顔を見るために、優しい心のそばにいるために、一緒に居ると決めたのは俺だ。そのためにも頑張らなくては。
が、名前はどうにかならないものか。くろにゃん…。いつも紹介されると同情されるのだが…。俺の名前はルドックだ!




