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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
2章 王都までの旅路 〜残念美少女から普通の美少女になります〜
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58 物々交換

 

「でもじゃあ、どうしようか……」


 ザーディアスが魔石を届けに行った情報を聞いて、この後どうしようか再び悩んでいる。


「じゃあ予定通り、ゴブリンを倒したら?」


「ええ〜……めんどい」


「でも、それだけじゃ怒られるんでしょ?」


「そうなんだよ! あいつ、偏屈だからさぁ――」


 自分の知り合いの悪口をぐちぐちと話す。すると、こちらをちらっと見て、尋ねてきた。


「そういえばさ、君達……この森を抜けてきたんだよね?」


 確かに、さっきクルシアに王都まで行くと言ったから、容易に想像できたことだろう……わかっての質問だった。


「うん、そうだね」


「だったらさ、ゴブリンの魔石くらい持ってるよね?」


「はい、持ってますよ」


 そう言うとリュッカは腰に下げていた魔石を入れた小袋を手に取った。それを確認したクルシアは両手を合わせて懇願してくる。


「お願いっ! それ譲って♡」


 可愛く媚びた声でのお願い。男でそれはやめてほしい。


「えっと、お譲りするのはいいんですけど……」


「いいの? リュッカ?」


「うん、質の悪い魔石だし……けど」


 そう言って小袋を広げて見せる。その中身は色んな形、大きさ、色の魔石が所狭しと敷き詰まっている。こうして見ると中々壮観だ。澱み、しかし儚げに輝く魔石は宝石のよう。


「――どれがゴブリンの魔石かわからないんだよ」


「ああ……」


 確かに森に入ってから沢山の魔物との戦闘を行い、回収できる余裕があるものだけとはいえ、回収してきた。だが、魔物は種類が違うが、魔石は属性や大きさにバラつきはあるものの、殆ど同じ物ばかり。


 どれがどの魔石かは普通把握しない。要するにはわからないのだ。


 すると、あっさりと更なる提案をしてくる。


「じゃあそれ、全部頂戴!」


「えっ!? それは流石に……」


 困った表情を浮かべるリュッカ。クルシアのその発言に魔物の討伐に一切の貢献をしていないはずの男が口を出す。


「あのな、これは俺達が苦労して倒した魔物から手に入れた魔石、俺達のこれからの資金になる物だぞ! そんなほいほい渡せるか!!」


「いや、それは私達のセリフ……」


「そうだよ、ラッセさん」


「頼むからラッセ、お前は黙ってろ」


 まるで自分が大活躍して手に入れた物と偉そうに言うラッセに俺を含めたメンバーが呆れた声でツッコむ。


 だがそれを聞いて、そっかそっかと事態を理解する素振りを見せると取引しようと持ちかける。


「じゃあさ、交換しようよ!」


「交換ですか?」


「そう! 物々交換!」


 楽しげな表情で両手で物を持つような素振りを見せて、交換する仕草を取る。


「何で交換? お金でもいいんじゃない?」


 相場はわからないが、質が良いとは言わなかった。おそらくリュッカのことだ……それなりにお互い納得する金額を提示できると思うが。


「待ち合わせがないんだよ。だから……ね」


「では、何と交換するんですか?」


 取引に応じるようだ。俺達も特に異論はなく、無言の肯定。リュッカは話を進める。


「これなんてどうかな?」


 肩から下げた鞄から取り出したのは魔石だ。その中は白い靄のようなものがかかっている透明なものだ。今までの魔石とは毛色が違う。


「これは無属性の魔石か……?」


 皆、物珍しいのか近付いて、不思議そうに見る中、リュッカとバトソンは驚いた反応をする。


「これは人工魔石かい?」


「珍しい物を持ってますね……」


「そう? ゴブリンの魔石が欲しいって言ってるおかしな知り合いがいるんだよ? これくらい持ってるよ」


 ザーディアスの話にも出ていた……天才地属性魔術師だと。知り合いとはこの魔術師のことだろう。


「お察しの通りだよ、これは人工魔石だよ」


 魔石にも種類があるのは、魔物を討伐した際に理解は出来ているつもりだが、この半透明な魔石は初めて見る。これを分かっている二人に尋ねる。


「人工魔石って?」


「名の通り、人の手で作った魔石のことだよ。正確には魔石に術式を組み込んで、特殊な魔法を発動できるようにしたものだよ。リリアちゃん、前に話してくれたでしょ?お風呂のこと。それに使用されてるものがそうかな?」


 リリアのお家のお風呂に付いていた魔石を思い出す。魔石の中が赤と青の色がゆっくりと煙のように舞って光る魔石を思い出す。


「……アレのことか」


「でもこんな半透明なのは珍しいよ。私は見たことない」


「そりゃあそうだよ。これは無属性の魔石だ。相当な魔術師の仕事だよ」


 バトソンは感心する。穏やかなバトソンがここまで言うからには相当の代物らしい。


 そんな話を横目にニコッと笑顔で、その珍しい魔石を差し出す。


「これと交換しようよ」

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