53 おっさんの存在
水色に光るゴーレムは回れ右をすると、また地鳴りの足音を立てて去っていった。
「えっ!? ザーディアスさん、行っちゃったの?」
「あー……うん。実はね――」
俺は馬車で逃げる準備を整えていた一同に事の顛末を説明した。
「――じゃあ、あのゴーレムはザーディアスさんを呼び出す為に来たってこと?」
「あそこまでしないと来ないって思ったんじゃないかな? 依頼主……」
ザーディアスさんらしいと皆、苦笑い。
「でも、お別れくらいちゃんと言いたかったな……」
「そうだね。色々お世話になったし、楽しかったのにな……」
リュッカ達はどこか寂しそうに語る。リュッカは戦闘の事で、アイシアは意気投合もしてたみたいだし、無理もない。
「あのおっさんの事だよ、近いうちにひょっこり出てくるんじゃない?」
その言葉に二人はくすっと小さく笑い、顔を見合わせる。
「そうかも」
寂しさは何処かへ消えてしまったようだ。あのおっさんがあっさり別れたのは正解だったかもしれない。面と向かって別れたら、二人はちょっと引きずりそうだ。
だが、そんないい雰囲気もぶち壊す、動揺した声で流れを乱していく。
「ちょっ! ちょっと待てよ! あのおっさんいなかったら、この森抜けらんねぇだろ!!」
コイツのポンコツ……役立たずぶりは全員知ってる。一名を除いて、皆呆れ顔をする。除いた一名も動揺を隠せない。どれだけザーディアスのことを頼ってたんだか気がしれない。
「あのさ、元々森を抜ける前におっさんは抜けるって言ってたよ」
「そうだよラッセ。それが少し早くなっただけだ」
「ザーディアスさんがいなくても大丈夫です。私、頑張ります!」
「……リュッカ、立場が逆転してるよ。私達、守られる側……」
「あっ……!」
随分と打ち解けあっている気がする。これもおっさんのお陰かな。何だかんだ色々してくれたからな、あのおっさん。
ちょっと寂しさと動揺が空気をかき乱す中、払拭する為、一同に呼びかける。
「とにかく、明日からはおっさん抜きで王都まで行くぞー!」
「おー!!」
それにしても、あんなゴーレムを作る依頼主ってどんな人なんだろ。少し興味が湧く。
ふと、ゴーレムがいた場所を見ると、
「あれ?」
あれだけの巨体が忽然と姿を消したのだ。リュッカの話曰く、ルーンゴーレムは魔石が本体だと、おっさんと合流したから縮んだのかな?
そんな事を考えながら、俺達は寝場所へと向かった。




