48 当たり前の優しさ
久しぶりのシャワーを終えて、晩御飯を食べ終え、こちら女性陣は小屋の中。男性陣は騎士達を巻き込み酒の席へ。
外の騒ぎようからほとんどおっさんの仕業。またバトソンさんが飲み過ぎ……もとい飲まされ過ぎないか心配だ。
「外は楽しそうだね」
「お酒が回ればこうなるよ、お父さんもそうだし……」
「おっさんは酒飲みてぇ〜ってごねてたしね。今日は飲むんじゃないかな?」
こちらはこちらでお話で盛り上がる。所謂女子会。旅の途中では魔物の事もあり、荷馬車に入ったらすぐ寝てしまっていたし、道中もあの役立たずのせいで戦闘もしてたしで、実はこのような場は最初の匂い袋を使ってた時以来だ。
あの時はおっさんがいたけど……。
「それにしてもこんな旅になるなんて思わなかったよ」
「そうだね……あの人達には悪いけど、もっとちゃんとした人を護衛にすればよかった」
今、このセリフを聞いたら、あいつら……いや、アソルはショックを受けそう。他二人はいいや。
「事前確認は重要って事を教訓にしたって思うしかないよ」
「そうだね。それに……」
「こうしてリリィとも旅が出来たし、悪い事ばかりでもないよね?」
確かにいい事ばかりではなかった。ここまでの旅を振り返ってもそう思う。そして、この異世界も俺のいた世界とそう変わらないって事が。
魔物とか魔法とか全く違うところは勿論あるけど、人間の本質はそんなに変わらない。
自分の理想を押し付けようとしたり、追い詰められて自殺を考えたり――向こうの世界でも連日、何かしらニュースで捉えられている事――こっちの世界でも変わらない。
でも、人の優しさも変わらなかった。心配だからなんて理由だけで一緒に来てくれる人、心意気のままに良くしてくれた人達、そして……こうして寄り添ってくれる人達。
こんなにも人の優しさが身に染みる事なんて向こうの世界ではあっただろうか。異世界に一人きてしまった事も原因の一つだろう。だけど、その優しさを当たり前に感じてしまって感覚が理解しなかったのも原因ではないだろうか。
少なくとも優しく接するのが常識と考えていた自分は優しくしないとおかしいと考える。優しいが当たり前になる……いい事のはずなのに大切な事のように聞こえなくなってしまっている。
でも、改めてこの異世界へ来て学んだ。刺激を受けた。人の優しさも怖さも……多分これから先もぶつかっていく。そこからまた学んでいけばいい。そして優しさがいい意味で、当たり前になるように。
まあ、俺の場合……別の現実も突きつけられ訳だが。
「――そうだね。悪い事ばかりじゃないよ。これからもっと一緒に思い出を作ればいい……悪い事を塗りつぶすくらいにさ」
「……っ! うん!!」
アイシアは感極まり、定番のハグ。
「いや、だから、それは――」
「これもいい思い出にしようよ。お友達ハグ〜」
「だああああっ!!」
俺は顔を赤らめながらも何処か嬉しそうな表情だった。




