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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
2章 王都までの旅路 〜残念美少女から普通の美少女になります〜
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45 油断大敵

 

 今、空にいるラビットフットは距離的に俺を狙っている。すると、ビチャっと何かがまた空から降ってきて、顔を汚す。


 俺は顔にかかったそれを手で拭うと、赤い血だった。すると、嫌な予感が頭をよぎる。


 ――おそらく今、上に飛んでいるラビットフットは先行してきたラビットフットだ。顔を斬りつけたものの、やられてはいなかった。スパイラル・ブレイズや粉塵爆発は後から来たラビットフット達が盾代わりとなり、先行したこの一体のみが生き残り、襲ってきたのではないか。


 そんな事を考えている間にラビットフットは体重をかけるように凄い勢いで落ちてくる。まるで跳び蹴りならぬフットドロップである。


 俺は杖を構えようとするが、ラビットフットの方が早い。


「――リリィっ!!」


 アイシアも反応するが、やはりラビットフットの方が早い。


 ――ドンッ! ――ドカアァアン……!


 何かに突き飛ばされた。ザザッと地面を擦り倒れる。するとはっと瞬時に起き上がり、自分が突き飛ばされた場所を見る。


「……ふうっ!」


 ラビットフットを盾で跳ね除けるリュッカの姿があった。跳ね除けられたラビットフットは空中で回転しながら地面に着地する。


「リュッ……リュッカ……?」


 あれだけの勢いの攻撃を防ぐなんて……混乱する頭の中、素早く考えを巡らせる。


 そういえば、ホワイトグリズリーに襲われてた時、アイシアが魔法障壁(マジック・バリア)を使ってた。あれは無属性魔法で無詠唱で唱えられる。リュッカもそれを使ったのか……?


「大丈夫!? リリアちゃん!」


 リュッカはラビットフットを目から離さない。ジッと睨みながらも俺を心配する言葉をかける。


「うん、大丈夫。ありがと」


 すくっと立ち上がり、杖を構える。


「リュッカ、こいつが最後の一体だと思う。やるよ!」


「うん!」


 ラビットフットはぴょんと前へ跳んで突っ込んで、のしかかろうとする。リュッカはそれをしっかりと見て左横へと(かわ)す。


 そして、(かわ)した拍子に右手の剣を振り降ろす。


「はあっ!」


 ラビットフットの右耳を斬り裂く。痛いと叫ぶような鳴き声を上げて、その紅い瞳でリュッカを睨む。


 完全に標的をリュッカに決めた興奮気味のラビットフット。こちらには気付くはずもなく、滞りなく詠唱を終える。


「――リュッカ! 離れて!」


 俺の言葉にラビットフットから走って離れる。


「――さあ、踊れ! シャドウ・ダンス!」


 ラビットフットの影から無数の鋭利な帯状の刃がラビットフットの体を貫く。力無く鳴き声を上げると少し痙攣して動かなくなった。


「これで、ホントに終わり……だよね?」


 ちらっと先程まで黒い煙が立ち込めていた場所は煙が止み、そこにはひっくり返って死んでいるラビットフットの群れがあった。


 そして今しがた仕留めたラビットフットはここにいる。黒い刃の影で串刺しになっている。


「うん……終わりみたいだね」


「……やっったぁーーっ!!」


「だから! それやめ――」


 アイシアは喜びを露わにして俺に飛びついてくる。その戦いぶりを見たザーディアスはポンポンと拍手をする。


「いや〜……まあ、良かったよ! 嬢ちゃん達!」


「ありがとうございます! ザーディアスさん」


 そう言うリュッカの笑顔はどこか晴れやかだ。俺は抱きついてきたアイシアを除けると、リュッカにお礼を言う。


「ありがとうリュッカ。リュッカが対応してくれなきゃ、今頃どうなってたか……」


「ううん。いつも助けてくれてるし、お互い様だよ」


「……それにしてもすごかったよリュッカ! あんなに動けたんだね?」


 恥ずかしそうな表情で話す。


「そのやらなきゃって思ったら、何だか無我夢中で……」


「それが実戦の成果ってことだろぉ……」


「おっさん……」


「よく言うだろ? 百の練習より一の実戦……だったか? ……とにかくこの実戦はお前さん達にとっていいものになったってこった。特に嬢ちゃんはな」


 リュッカの方へと視線を送ると、へ? と驚いた表情をする。


「嬢ちゃんは何かと自分を卑下するところがあったからな。だが、今回の戦闘はどうだ? お前さん、大活躍だったじゃないか!」


 おっさんの言う通り、リュッカは大活躍だった。しっかりと前衛の仕事をしただけでなく、俺を瞬時に守ってくれもした。しかも、その動きに迷いがなかった。


「そ、そうですか?」


「そうだよ! リュッカぁーっ!」


「ちょっと!? やめて、シア〜」


 むぎゅっとリュッカを抱きしめ、頬ずりをする。リュッカはくすぐったそうだ。


「うん! リュッカ、カッコよかったよ」


 俺は素直な気持ちを述べた。それに答えるように笑顔で返してくれた。


「ありがとう、リリアちゃん!」


 これで、自信をつけてくれるといいな。

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