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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
2章 王都までの旅路 〜残念美少女から普通の美少女になります〜
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42 戦術確認

 

「ねぇ、おっさん」


「何だ、銀髪嬢ちゃん?」


 俺はある提案をおっさんにするつもりだ。勿論、断られるとも考えているが、このままじゃ埒があかない。


 それに、このおっさんの護衛は、目的地であるギルドの基地までだ。このめちゃくちゃ強いおっさんがいる間はいいが、いなくなった後、匂い袋も下手に使えない中、こんなにも頼りない冒険者三人に自分の身は任せられない。


「私達も全面的に魔物の討伐をしたい」


 護衛される側からこんな提案をするのもおかしいと思うが、この状況を見て対応しない方がもっとおかしい。


 俺の魔法の実力を分かってかそんなに驚かれもしなかった。


「……達って事は他の嬢ちゃん達もか?」


「私はそのつもり。おっさんがいる間に戦い慣れといた方がいいと思って。そこの三人は頼りないし……」


「うっ!?」


 トボトボと馬車に並走する三人。


「護衛をする身で何だがまぁ、嬢ちゃん達がその方がいいってんならいいぜ。おじさんの鍛えよう案はどうやら上手くはいかないらしいしな」


「じゃ、ちょっと相談してくる……ってわあっ!」


 くるっと向き直すとでんっと目の前にいた。


「リリィ……私やるよ。これから魔法学生になって立派な魔術師になるんだから、実戦あるのみだよね」


「うん! リリアちゃんには迷惑ばっかりかけてたし、少しは役に立ちたいよ。私も頑張る」


 二人はザーディアスとの会話を聞いてたのか、はっきりと意思を示してきた。こうして覚悟を示された以上、それを捻じ曲げるのは不粋だ。


「うん! 分かった! 三人で頑張ろう!」


「うん!」


「おー……って三人?」


 アイシアはきょとんと聞いてくる。それに対し俺は外を親指で指し、拒否意識を示す。


「……二人も見てたでしょ? あの三人、ずぶの素人だよ。それにそうじゃなくても信用も出来ないでしょ?」


 それを聞くと二人とも苦笑いを浮かべる。


「まあ……ね」


「う、うん。あの人達には悪いけど……」


「……リュッカはちょっと優しすぎるよ」


 気の毒そうに言うリュッカ。その優しさは逆にキツいよ。


「とにかく私達でやるよ。どうしてもヤバそうならおっさんが何とかするよね? おっさん?」


 くるっとザーディアスへと振り向いて尋ねる。


「おう……って言いたいところなんだが、おじさん……もっとこう、媚びたお願いとかされると――」


「なんか言った、おっさん♡」


 圧のある満面の笑みをプレゼント。


「やっぱいい……銀髪嬢ちゃんに媚びられる方が寒気がしそうだ」


「……そう」


「と、とにかく、戦力確認しようよ」


 アイシアが提案する。まずは各々の戦闘スタイルと武器などを確認する事に。


「私は火属性持ちの精神型だよ。リリィと同じ後衛型かな?使える魔法は中級魔法まで。上級魔法はまだ練習中……」


 アイシアの性格上、後衛魔術師には見えないが、本人が言うのだから間違いないだろう。


「私は地属性持ちの肉体型。魔法は初級魔法のみだよ。後、武器はこれで……盾はこれ」


 リュッカの武器はロングソード。一般的な……って言い方は色々おかしい気はするが、両刃の刀身が少し細い剣だ。だが、俗に言うレイピアよりは細くない。盾はラウンドシールド。名の通り丸い形の小型盾だ。剣とのバランスを取るためか重さがありそう。


「ああっ……私の武器は――」


「これかな?」


 俺は懐にある自分の杖を取り出して見せる。


「そう! それ!」


 リュッカも性格上、前衛型には見えない。どうやら性格に影響とかされないのか、たまたまなのか、どちらでもいいが。


 俺はしなくてもいいよねと一応尋ね、大丈夫と返答をもらった。戦力の確認は済んだ。次は戦術確認。


「次は戦術だけど、基本に忠実にいこう」


「私が前衛でリリアちゃんとシアが後衛でいいよね?」


「……いいと言うか、仕方ないというか、リュッカの負担大きくない?」


「うーん、そうなんだよな……」


 ゲームでもそうだが、前衛がしっかりしてるからこそ、後衛が生きるのだ。リュッカがどうとか以前に前衛と後衛の人数バランスがおかしい。


 三人して悩んでいるとザーディアスが提案してくる。


「銀髪嬢ちゃん。確かお前さん、無詠唱がいける口だったな」


「そうだけど?」


「そういえば、馬車が疾走してた時にバンバン撃ってたね」


「だったらこうだ。前衛の嬢ちゃんを銀髪嬢ちゃんが補佐。シアちゃんが後衛でデカイ魔法をドカンでどうだ?」


 悪くない提案だと思う。リュッカが牽制および積極的に魔物を攻撃。俺はリュッカやアイシアを無詠唱魔法を中心にサポート。アイシアは状況に応じて攻撃力の高い魔法で攻撃……うん、なんか様になってる気がする。


「流石です! ザーディアスさん。それならいけそうです」


「おっさんにしてはまともなアイディアだね」


「銀髪嬢ちゃん……たまには素直に褒めとくれよ〜」


「さっき褒めたけど……」


 疲れてて覚えてないとショックを受けるおっさんは置いといて、改めて確認を取る。


「じゃあ確認するよ。前衛はリュッカ」


 こくりと無言で頷く。


「積極的に魔物に攻撃して欲しい。とりあえず後ろは構わなくてもいいから」


「……分かった」


 少し心配そうに考えたが、こちらの意図を汲んで了承してくれた。


「私は二人のサポート。基本はリュッカを援護する形でいくから。アイシアは後衛。基本、アイシアの判断で魔物を攻撃して欲しい」


 アイシアが返事をする前にザーディアスが割り込む。


「銀髪嬢ちゃん……魔法の腕は中々だが、戦術がちょっと大雑把じゃねぇか?」


「えっ?」


「サポートのお前さんが基本指示だしな。後は状況に応じて臨機応変に……ってな」


 そっか……ゲームじゃあ勝手に都合よく戦ってくれるが、これは現実だ。誰かが指示した方が安全に対応できる。流石にSランクを名乗ちゃねぇな。


 実戦歴が違うだけはある。


「おっさんの言う通りだね……ありがと」


「おう……」


 おっさんの望み通り、愛想良く素直に笑顔でお礼を言ったにもかかわらず、引かれた。二度と愛想良くしてやるもんかと思った。


「最後に順序が逆だったけど、二人とも魔物は大丈夫だよね?」


 魔物をあれだけ簡単に捌けるリュッカにその友達のアイシアだ。問題ないとは思うが一応の確認。


「うん、大丈夫だよ。魔物は色々捌いてきたし……」


「私も問題なーし」


 予想通りの返答。頼もしい限りだ。


「魔物と戦った事は?」


「あのホワイトグリズリーはカウントしないとして……ないよ」


「ただ、学校では訓練用の剣で実戦に近い事はやったよ」


 この世界は魔物――人を平気で襲う存在――が普通にいる世界だ。子供の頃から自己防衛等の訓練は受けさせられるか。


 って事はあの三人はどべだったのかな?


「じゃあ、ある程度は動ける訳だね」


「実戦は初めてだけど……」


 緊張した面持ちで話すリュッカにポンと肩を叩くザーディアス。


「嬢ちゃん心配すんな、おじさんがついてる」


「そうそう! 大丈夫だよ!」


「いや、アイシアはもう少し緊張感を持とう」


「は、はい……」


 適度な緊張感を持って臨もうと皆を奮い立たせ、意気込みを語る。


「よし……じゃあ頑張ろう!!」


「おおーーっ!!」


 意気揚々と返事をした。

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