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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
2章 王都までの旅路 〜残念美少女から普通の美少女になります〜
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33 良かったね、一緒に寝られるよ(笑)

 

「む! むうう!!」


 抵抗を試みるがビクともしない。びっちりと黒い帯の影がくっついている。


 そんな彼らをニコニコと屈託のない笑顔で眺める。


「あれあれ〜? 可笑しいな。見張り番をしている人が女の子の寝床に何か用かな〜?」


 まあ、さっきのひそひそ話は聞こえてたんだけど。


「むっ! むぅ……」


 返事が口を塞がられ出来ないが、ラッセ達は自分達の姿を見て落ち込む。ぐうの音も出ないようだ。


「いやぁ〜、ホントにバカなんだね。気付いてないとでも思った? わざわざ見え見えだって忠告までしてあげたのに……」


「むぐぅ……ぐぅ……」


 なんかクリルの方は泣き出した。まるでこっちが虐めているかのよう。


「あのね、泣き出すくらいならやらないでよ、こんな事。私、最初から言ってたよね? 信用してないって……」


 この二人からすれば女なんてと軽く見ていたのだろう。さっきの会話を聞く辺り、まるで修学旅行先で女湯を覗こう的なノリだ。


 そんなノリで襲われる方は堪ったもんじゃない。俺は説教モードに入る。


「あんたの態度を見てたら分かるよ。最初、私を見た時、態度を急変したでしょ? リュッカにはあれだけ突っかかってたのに、私やアイシア狙いだったんでしょ? 随分と気が多い事で……」


 生意気なと言いたげな視線で睨むラッセだが、釣られたのはてめぇらだよとツッコんでやりたい。


「で、そんなあからさまな態度を取る奴が見張りを真面目にやるとは普通考えないからね。あのおっさんも気付いてたよ」


「――っ!」


「だからね、せっかくだからトラップ型の魔法陣を試させてもらったよ」


 俺はラッセの目の前で満面の笑みで人差し指を立てて対策をご説明。


 ――魔法陣にはいくつか種類が存在する。魔法を発動する際に出現する起動魔法陣。リリアが自殺に使った大掛かりな魔法発動のための儀式魔法陣。そして今回、この痴漢二人を捕まえるために使用した制約魔法陣。


 この制約魔法陣は名の通り、ある条件を満たすことで術者がそこにいなくても自動的に魔法を発動できるもの。


「この魔法陣はね、ある条件を満たすと発動する仕掛けになってたの。その条件は……この魔法陣に男性が触れる事」


 軽くウインクをしてネタバラシ。


 実際、この条件はだいぶ緩い。誤って別の人を捕まえ兼ねない。だが、おっさんはともかく残りの二人は一大事でもない限り入って来ないと踏んでのこと。


 しかし、内心結構驚いてもいる。どんな魔法が発動するかは知っていたとはいえ、起動がこんなに早く効率的に痴漢を捕まえる事ができる事に。


 現代の満員電車にでも実装されれば、某害虫ホイホイの如く捕まりそうだ。


「お陰で向こうに行く前に実践的に予習が出来て良かったよ。ありがとう」


 嫌味ったらしい言葉と共に満面の笑みを再び。


「……さて、そろそろ私も眠いし、寝るね」


 くるっと元来た場所を向き、寝床につく事にする。だが、二人は立ったまま縛られている。


「――むうっ! むむむうっ!!」


「むう……むうぅ……」


 ラッセは解けと訴えかけてるよう。クリルは泣きながら許しをこうように俯く。だが、そんな彼らに()()()提案をする。


「そうそう、その魔法陣の魔法ね、捕縛魔法なんだけど、私の意思じゃないと解けないから……」

 

 一応、解呪魔法やその魔法よりも強い魔力を当てれば解けるがこの二人には解けそうにない。


「かと言って解放するのも……」


 くるっとまた彼らに向き直し、潤んだ目で見つめてみる。


「私ぃ、怖いからぁ……」


 その表情を見て、彼ら二人は背筋に悪寒でも走ったかのように恐れる。


「このまま一緒に寝てあ・げ・る・♡」


「――っ! むうっ! むむっ!!」


「むう……」


 察したようでなにより。こんな状況、朝起きて見られれば、流石に鈍い――何も知らずに寝ている二人を見る――この二人も警戒するでしょ。それに残りの人達もしっかり警戒してくれる。あのおっさんは分かんないけど。


 見張りの方は、多分あのおっさんがしてくれるだろ。こっちに合図を送ったんだ、それぐらいの責任は取ってもらう。


「良かったね、お望み通り……女の子と一緒のところで寝られるよ。鼻で息は出来るようにはしてあるから大丈夫でしょ。そ・れ・に……」


 ラッセの鼻をつんつんと人差し指でつつき、ニコッと笑顔。


「このお鼻で女の子の甘ったるい匂いを嗅ぎながら寝られるよ。良かったね」


「……むう……」


 観念したかのように後悔をしている顔だ。


 目の前に無防備に寝ている女の子達が居るのに匂いを嗅ぐだけなんて、男にとってはレベルが高い生殺しだよね。まあ正直、半分八つ当たりなんだけどね、これは。


 しゅるっと黒い帯の影が二人の目を塞ぐ。幼気(いたいけ)な二人の乙女の寝顔をこれ以上見せるのはダメだからね。


「むう! ……むぐぅ……」


「むう……」


「……じゃあ、お休みなさい。いい夢見ましょうね」


 彼ら二人は心の底から思ったろう――この女は敵にしたくないと。


 リリアは軽くあくびをすると自分の寝床へ戻り、就寝した。

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