21 ギルド
翌日の朝、散歩がてらクルーディアの町を散策する。というのもあの後、結構飲まされたようで早くても出発は昼過ぎくらいになりそう。
この町、クルーディアはアルミリア山脈付近では一番大きな町。リリアの実家の村とも少し違う空気を感じる。リリアの村は本当に山の麓にあるのでそもそも気温が違う。
そのせいか魔物も割と活性的でたまに襲ってくる事もしばしば。なので家の造りは頑丈な漆喰の壁で作られた家や石で作られた家など地属性の魔術師の腕が大いに振るわれているらしい。
ちなみにリリアの実家はログハウスのような家である。中々趣味がいい。これもおそらく母親が冒険者だった時のノウハウだろうか。
冒険者がよくアルミリア山脈の迷宮へ向かうだけあって、ちらほらとそれっぽい人が見受けられる。
銀のフルプレートの装備騎士や三角頭巾の魔法帽を被った魔術師、ビキニアーマーのような動きに重視した格好の格闘家などなど、実にファンタジーを感じる光景。
そんな中、俺がやはり一番気になるのはギルド、冒険者が集う場所。元々興味があるが、昨日の二人の事も気になるし、行ってみる事に。
場所はおばさんに聞いてあるので迷う事は無いはず。分かりにくいとは言われたけれど。
「――確かこの家の隣がそうだって……」
目印になっている家の隣がそうらしいが、見てみると外観は完全に他の民家より少し大きめの建物というだけ。だが、確かにギルドのマークが付いている。宝箱が開いたマークだ。実にシンプル。
「なんかちょっと期待ハズレだな。もっと目立つ建物かと思った。さっき通ってきた学校の方が目立ってたよ」
魔法の次に期待していたが残念だ。期待ハズレなためか入る気になれず、渋々帰ろうとすると――。
「お願いします! 王都までどうか……」
「うるせぇなっ! こっちは散々待たされたんだ! 約束を守らなかったのは依頼人、そっちだろ!」
何やら揉めている声がする。その中には聞き覚えのある声もする。
ギルドの建物の扉を開くとそこには、見覚えのある赤毛の女の子が黄色い鉄甲冑を着た男に頭を下げている。
そのお仲間だろうか、横にいる二人は止めてはいる様子だが、鉄甲冑の男は聞く耳を持たない感じだ。
「ラッセ! 相手は女の子だぞ! 少しは聞きわけろ!」
「るっせえなぁ! 俺は早くランクを上げて、もっともっと稼げるようになりてぇんだよ! こんなショボい仕事に時間なんてかけられねぇんだよ!」
「ら、ラッセさん〜……あ、落ち着い――」
「あ?」
あっちの剣士のお兄さんは頼りになりそうだが、あっちの丸刈り頭の大斧を持つ戦士さんは気が弱そう。
俺はリュッカの元へ駆けていく。
「――リュッカ!」
「――リ、リリアちゃん!?」
「大丈夫?」
駆け寄ってきた俺を見た鉄甲冑の男は途端に黙りだすと、何かを企むように不敵に微笑した。




