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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
4章 ラバ 〜死と業の宝玉と黄金の果実を求めし狂人
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33 王宮騎士団と王宮魔術師団

 

 ――王都ハーメルトを守護する組織はいくつか存在する。


 先ずはギルド。


 ギルドはハーメルトに関わらず、この世界中に存在する組織。誰でも冒険者としての登録が可能であり、働く環境を与える、職場支援所ともされている。


 そのギルドを取り仕切っているのが、ギルドマスターと呼ばれる人物達である。


 東西南北の首都に位置する場所にあるギルドを拠点にしているので、四人いることになる。


 今回のような大規模な事件が発生した場合、自由を尊重する冒険者であろうが、協力する関係として国と契約を結んでいる。


 次は王宮騎士団。


 ハーメルトの騎士団は六人の騎士長の元、編成される組織である。


 その内の一人にカルディナの父、アライス・ワヤリーも入っている。


 基本的にこちらの騎士科の学校を卒業した生徒が入る傾向がある。それは貴族や平民は問わない実力主義性ではあるが、ギスギスしたような環境ではない。


 というのもやはり勇者の影響が生きている。


 これは王宮魔術団にも言えることだが、勇者の平等精神が息づいており、お互いが尊重し合いながら、日々の鍛錬や任務に勤しむのである。


 まあ勿論、全員がそうであるかは別だが。


 騎士団は六人の騎士長がいることから、役割も分けられる。


 一、二番隊は近接での戦闘が中心だが、司令塔のような立場にある騎士の精鋭。


 三、四番隊も近接での戦闘、こちらは攻撃重視に特化した騎士の精鋭。


 五、六番隊は諜報や隠密などを行う騎士の精鋭。


 次に王宮魔術師団。


 こちらは五つに分かれて編成されるが、分けられ方は至極単純、属性毎に分けられる。


 というのも魔法は基本、自分の属性のものしか使えない為、役割が簡単に分けられるのがメリットと言えばいいだろうか。


 火属性は戦闘での活用が多く、水属性は治癒魔法が使えることから救護隊の編成も、この水属性が中心に編成される。


 風属性は空が飛べることから、空中戦は勿論のこと、諜報や観測、救助活動などにあたる。


 地属性は、破損した建物の修復や環境保全、救出活動など、縁の下の力持ちのような立ち位置。


 光と闇は、魔法使いとして万能な部分が多い為、オールラウンドに活躍しているが、人数が少ない。


 その為、光と闇属性持ちは他の属性の支援や独自に行動したりなど、マルチに活躍する魔術団となる。


 ――そして、今その迫り来る脅威にこの者達が対応している。


 ハーメルトに向かっていることから、真っ先に甚大な被害をもたらすであろう、商業街ラバの街の者達をハーメルトへ避難。


 いつもなら夕食の食材を見て回る客達や酒場で飲み明かそうと盛り上がる、活気溢れる者達で賑わう街も、今は迫り来る魔物達の対策本部として活用されることとなる。


「状況を報告してくれ」


「はっ!」


 真剣かつ深刻な物言いにかつてない緊張感が(ただよ)う。


 ハーメルトにこのような危機が訪れるのは勇者が生存していた頃以来。


 ハイドラスに報告を求められた、風の魔術師団隊長アイナ・ヒューマンが状況を伝える。


 現在、変異種である大樹――おそらくはトレントの変異種と思われる。


 その姿、大きさはこの上空の暗雲に届くか届かないかの巨大な黒樹で枝木で雲を覆い隠すような姿と確認されている。


 葉や実は一切なっておらず、まるで失楽園にポツリと植えられた枯れ木のような風貌。


 しかしその根元では、芋虫が這いずるかのように根を唸らせ、土を掘り返しながら確実に接近している。


 植物種の変異種が中心となり、進撃しているせいもあってか、その周りには植物種、動物種、虫種の魔物などが中心に並走している。


 その中には派生したであろう変異種もいくつか確認されている。


 何時ぞやリリア達が遭遇したグレートボアの変異種も確認されている。


 上空から確認したアイナも、その目に焼きついて離れない無蔵の光景に息を呑んだのは当然のことと思う。


 これだけの魔物の進撃している理由についても推測意見が出された。


 この変異種はタイオニアの木々を薙ぎ倒しながら進んでいることから、周りの魔物達を過剰に刺激していることが一点。


 タイオニア大森林には、複数の迷宮(ダンジョン)が存在する。そこを無理矢理破壊された影響から中にいた魔物達が暴発という形で地上へ噴き出すように湧いたのではないかという。


 この変異種が現れた経緯については不明、調査中とのことだが、


「殿下、もしや例の召喚士(サモナー)の仕業ではありませんか?」


 この会議を取り仕切るハイドラスに耳打ちする。


「……確かに、否定できんな」


 子供達の話を聞けば、マンイーターに指示を出していたことから、植物種の変異種であるあの大樹の使い手ではないかと考えた。


「おい! 兄ちゃん。何か知ってるなら話しな。情報は共有しようぜ」


 ハーディスをキセルで指してこう話すのは、ギルドマスター、ハセン。


 太々(ふてぶて)しくも、人当たりの良い豪気な性格なこともあって、人望も厚いし、頼りになる御仁。


 この肉体からも実力がわかるがとても優秀で、ギルドマスターということから机仕事が多いと嘆きながら、腕が振るえないと文句を言っているところをしばしば見かける。


 ハイドラスとはいい関係を築けているからこそ、話しておきたいと、今起きている誘拐事件の犯人像と迫る大樹の関連性から推測を話した――。


「――なるほどなぁ……召喚士(サモナー)ねぇ」


「はい。大量のマンイーターを使役していることと、変異種の大樹は類似しているかと……」


「あくまで推測ではあるが、可能性も捨てられない」


 可能性としては、変異種の暴走が一番濃厚だが、子供達が攫われ、その犯人が子供達の話から召喚士(サモナー)であり、植物種の魔物を使役していたことから、関連付けるのも無理のない話だと語る。


「しかしあの魔物を使役するのは、容易なことではないかと思いますが……」


「いや、召喚士(サモナー)なら出来ない話でもねぇ。才能がありゃな」


「ただその大樹の魔物の周りには使役していない魔物もいるはずなのに、どこに潜伏しているのでしょうか……」


 本来、召喚魔は主人からある程度離れていても、行動は可能だが、能力や性質によっては魔力を根こそぎ持っていかれたり、暴走したりなどが起きる。


 この大樹は大きさからも明らかに変異種。


 変異種は基本的に、興奮状態であるケースがほとんど。使役してるにしても半ば強引に行われたものと、ここにいる誰もが思う。


 つまり、召喚士(サモナー)が側に居なければ制御が難しいと考える。


 ならば安全かつこの魔物を制御できる都合の良い潜伏先はどこだろうと考えるが……、


「まさかとは思いますが、その魔物に乗っているなんてことは……」


「なくは無いだろうが、危険だろうなぁ――」


「とりあえずの解決方針は、あのお化け大樹の進行をタイオニアで押さえつけることと、犯人がいるなら確保でいいか?」


 拉致が開かないと、召喚士(サモナー)の有無は後まわしに、状況の解決の対処の話に移る。


「ああ。タイオニア付近の村の者達の避難は済ませているな?」


 アイナはこくりと頷く。


 あの大樹はハーメルトに真っ直ぐ向かっているとはいえ、周りの魔物達は暴走している状態だ。


 被害を抑える為には必要な措置であり、空が飛べる彼女らの仕事だろう。


「殿下、現在ヴァートの部隊が進行を抑えるべく、岩壁を貼っております――」


 そう話すのは一番隊隊長オリヴァーン。ハイドラスが小さい頃から一番世話になっている騎士隊長。


 がっしりとした体型ではあるが、筋肉質ではなく、いわゆる細マッチョ系、銀の鎧に身を包んだ精悍なおじさま。


 その彼が話すには、風の魔術師団と地の魔術師団が連携を取り、進行方向に城壁のような壁を作って抑えようと貼っている。


 漏れた魔物やその作業の邪魔をする魔物を騎士や冒険者が討伐しているとのこと。


「わかった。問題はそのバカでかい大樹だな」


「まあ、手っ取り早いのは押し倒せばいいんじゃねぇか? そうすりゃあ動きは止まる」


「それは難しいかと。あの大樹の周りには魔物が飛び交っているのを確認しています。それにあれだけの質量の魔物を押し倒すとなると、よほどの力が必要になります」


 大樹の魔物を目の当たりにしたからこそ、わかると落ち込んだ様子で語る。


 その質量から切り倒すことや燃やすというのも難しいと進言する。


「だが、諦める訳にもいかない……オリヴァーン、ヴァートにはその対応を続け、進行を抑えよと伝えろ。アイナ、お前達はガイツの部隊とも連携を取り、火属性の魔法で大樹を弱らせろ。勝機を見出せるかもしれん」


「だが、悪天候ではあるがなぁ……」


 天井を見上げながら、恵まれてねぇと嘆く。


 現在の天候は雨。しかも本降りの状態。


 火属性の魔法の威力が落ちてしまうと考えられるが諦める訳にもいかない。


「やれることは何でもやるぞ。アイナ、お前の部隊には頑張ってもらうぞ」


 浮遊くらいなら他の属性の魔術師にも出来るが、飛行となると話が違う。


 ましてや今回止めるのは天にも届きそうな大樹。


 飛行要員である風の魔術師団は対応に追われることとなるが、アイナは部隊長としてしっかりとその任につくと返事する。


「はっ!!」


「ハセン殿……」


「わかってる! こっちからも出来そうな奴らに伝えておく。ワシらだって住処を踏み潰される訳にゃあいかねぇ……任せときな」


「オリヴァーン、お前達、騎士団は魔術師団の援護、住民の安全確保、そして召喚士(サモナー)が潜伏している可能性を伝え、捜索せよ」


「はっ!」


「皆、頼むぞ!」


 ***


「――キャッスル・ウォール!!」


 地の魔術師達が、タイオニアを闊歩して進撃してくる大樹を抑えようと進行方向に岩壁を配置している。


 物凄い地鳴りと共に、ゆっくりと巨大な石の壁が出来上がる。


「ヴァート殿……」


「うん、そうだね。ちゃんと出来たみたいで良かった」


 ちょっと自信が無さそうに、岩壁を見上げながら喋るこの男性は、地の魔術師団隊長ヴァート・ヤギュール。


 地属性の魔術師というのは、どうも地味なイメージが強く、目立たないというのが一般的な考え。


 実際、恩恵の儀の際に精神型なのに地属性かよなんて、文句を垂れる子供はしばしば見かける。


 というのも建設作業や土地開発、環境保全と聞けば、まあ地味な印象は消えないし、魔術師として活躍するなら、治癒魔法術師や攻撃魔法に特化する方がいいだろう。


 だが、地属性の魔術師はそれだけに留まらない。


 このような災害の対策や魔石の加工技術などのような格好がつきそうなところもあるのだが、縁の下の力持ちというイメージの払拭は難しい。


 このヴァートは魔石の加工技術が優れていることがあってか、所謂(いわゆる)エリートである。


 その技術に優れていることは地属性の魔法ならお手の物である。


 このキャッスル・ウォールという魔法の短縮詠唱を考えついたのもヴァートである。


 このような災害や水害などを素早く抑える為には必要だと開発を進めていたのが、吉と出た。


「ヴァート殿!!」


「ひっ!?」


 急に後ろから話しかけられたものだから、部下の背に瞬時に隠れる。


「な、何ですか?」


 元々は魔石加工を生業としている彼。このような作戦には慣れない様子で、おずおずとした態度で部下の後ろから尋ねる。


「魔物の進行方向は変わらず、王都への直進ルートのままだと報告がありました」


 上空にいる風の魔術師達が、何か変化がないか随時報告されている。


「報告ありがとう。そっか……」


 何やら残念そうな口ぶりをして呟く上司に首を傾げる。


「どうかされましたか? ヴァート殿」


「えっ、あ、いや、そのですね……これだけ大きな壁を目の前に作ったのに直進してくるんだなぁと思って……」


「は、はあ……――あっ!」


 これだけの壁を作るのだ、方向を変えることなど、容易に想像がつくところ。


 出来ることなら、進行方向を変えたいとヴァートは考えている。


 それを部下は察した。


「あの大樹の側面にも部隊を置かれたのは進行方向の変更をしての対応?」


「う、うん。――何か動きがあったら報告お願いします。アイナさんにもそのように……」


「わかりました!」


 ヴァートの考えでは、いかに暴走した魔物とはいえ、わざわざ壁にぶつかりに行こうとは考えにくい。


 一番に考えるは王都への直撃の回避。


 この壁を目の前に建てれば進行方向を変えてくれると考えた。


 幸い、タイオニアは大森林と名が付くほどだ、人など住んではなく、その出入り口付近には集落や村などはあるが、今この大樹が倒れたとしても周りには被害が出ない。


 対応はハイドラス達が話し合いをしていることから、最悪の事態の回避を優先して考えたのだが、この大樹は怯むこともなく、前進してくる。


「うーん……やはり気をやっているほどの暴走だろうか……?」


「とりあえず一旦この場を離れましょう。次の地点へ」


「あ、はい」


 この目の前の壁に向かって前進してくる大樹がいるのだ、風の魔術師の杖に(またが)り、ひしっとしがみつくと、ヒュンと空へと飛んだ。


 すると、ラバの方角から飛んでくる部隊が見えた。


「ヴァートさん!」


「あ、アイナさんと……ガイツさん?」


「おうよ!」


 アイナは残っていた自分の部隊を、火の魔術師団を背中に乗せて駆けつけた。


「あの何故ガイツさんが? この悪天候では火の魔法は厳しいのでは?」


「はあ!? 馬鹿言ってんじゃねえよ!! オレの火の魔法がこんな雨なんかに負けてたまるか!!」


 テンション高めに、バタバタと空中で暴れているのは火の魔術師団隊長、ガイツ・クリプファ。


 その様子を、可哀想にと部下を見ているアイナ。


「あのっ……困ります! 落ちますからっ!」


「ヴァートさん、殿下から作戦はこのまま継続、随時状況を報告せよとのことよ」


「わかりました。後、殿下にご報告が――」


 ヴァートは自分の考えも加えた上で説明を始める。


 ヴァートが壁を作った理由は進行方向の変更だが、それは叶わなさそうだと説明。


 そしてそのことから、この大樹は暴走状態にあるのだと予想も説明した。


「なるほど、確かにそのように見えますね……」


 壁に向かって、直進している大樹を見ながら、納得がいくような口ぶりで話す。


「ですが、殿下方の話だと召喚士(サモナー)がいるのかもと言っていました」


「らしいな。それだと直進してくるのはおかしくねぇか?」


「制御が出来ていないのでしょうか?」


「それとも破壊できる自信があるのか……どちらにせよ、王都に向かっているのは見てわかる通りです。ヴァートさんは次の地点へ。我々はあの大樹に攻撃を仕掛けます」


「その為にガイツさん達を?」


「おう! お前があんなデカブツ作って守ってくれてるんだ……オレ達にもカッコいいことさせろよ」


 褒められて、照れた様子でフードを深く被って顔を伏せた。


「ヴァート殿、では他、待機している部隊も……」


「え、えっと移動をお願いします。進行を変える可能性は捨てきれませんので……」


「貴方は殿下にヴァートさんが言われたことを報告」


 アイナの隣にいた伝法役の部下にそう伝えると、その部下は返事をすると、ヒュンとラバの方向へと飛んでいった。


「よっしゃ! じゃあアイナ、オレ達はあの化け物大樹の駆除といくか!!」


「ええ、ですが召喚士(サモナー)の捜索も忘れずに――」


「そこは器用にお前らが頼むぜ! こちとら大きな獲物が目の前にいるんだ、ほら! 突っ込めっ!!」


 攻撃に専念したい、もとい面倒ごとは任せると息巻く。


「お願いですからっ! 暴れないで下さい!?」


 これが隊長だと、火の魔術師団は大変だと苦笑いを浮かべる周り一同。


「では貴方達は引き続きヴァートさんの指示に従いなさい」


「はい!」


「では、行ってきます。お気をつけて……」


「いや、僕達は完全に――」


 ――ドガガーーンッ!!!!


 作戦会議を空中でしていると、大樹が壁を粉砕して直進してくる。


 岩が転がってか、もつれている様子だが、前進を止めようとはしない。


「ちっ……割とバランス感覚もあるのな、あの化け物大樹」


「――ヴァートさん!!」


「す、すみません! 急いで次の地点へ」


「は、はい」


 凄まじい迫力とその圧倒的な破壊力を目の当たりにして、取り急ぐように飛んで去る。


 だが、それに怯むことなく、ガイツは部下達を駆り立てる。


「これ以上は進めさせるなぁ!! 早く行くぞ。今が攻め時だろうがぁ!!」


「は、はい」


「――行きますよ!! 我が部隊は周りを飛ぶ魔物達を退(しりぞ)けよ!」


「オレ達はあの化け物だっ、いくぞっ!!」


 隊長達の指示の元、魔術師団は大樹の魔物に勢いよく接近。


 その行手を周りを飛ぶ魔物達も敵意を剥き出しにして突っ込んでくる。


「てめぇら!! 雑魚は任せたぞ――火の精霊よ、オレに力を貸せ――」


 火の魔術師達は上級魔法の詠唱を始める。空は蛍火のように紅い魔法陣が綺麗に並んで浮かぶ。


 一方で、


「――ウィンド・シュート!!」

「――エア・カッター!!」


 火の魔術師達を乗せた、風の魔術師達も初級魔法の無詠唱で応戦。向かってくる魔物達と華麗な飛行戦を繰り広げる。


 背中の魔術師達は信頼しているのか、プロだからか、その激しい動きにあまり動じず、がっしりと掴みながらも詠唱を続ける。


「――エア・ドライブ!!」


 隊長であるアイナは中級魔法での無詠唱、貫禄を見せつける。


 竜巻のような暴風に魔物達の身体が引きちぎられ、飛んでいる魔物達は無残な肉塊となりて、森の海へと落ちていく。


「――焼けちまえっ!! ――エクスプロード!!」


 ガイツの魔法を先行に次々と火の魔法が大樹に向かって撃ち込まれる。


 これで少しは何か変化があれば、勝機も窺えると思ったのだが様子がおかしい。


「な、何!?」


 大樹から何やら風のようなものが吹き荒れて、魔法を打ち消している。


「そんな……」


 この悪天候で威力は落ちているとはいえ、充分な威力はあったはずの火の魔法攻撃が相殺されたことに、疑いの眼差しを大樹に向ける。


「ちっ……もう一度――おっ!?」


「――すみません!!」


 ガイツを乗せた魔術師はヒュッと高度を上げて、魔物から回避する。


 今の火の魔法で興奮したのか、突っ込んできて乱戦状態となる。


「ちゃんと仕留めろ!」


「無茶言わないで下さい! この数ですよ」


 下にいる魔物もそうだが、空中にも魔物は大量にいる。


 思い通りにいかずに、


「ちっ、くそったれが……」


 舌打ちをすると、悔しそうに顔を歪めた。


 そしてその乱戦状態を悪意に満ちたしたり顔で眺める一人の男が楽しげに高笑いする――。


「――ヒィイハハハハーーッ!!!!」

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