17 魔法について学ぼう その二
「――魔法の発動にはいくつか種類が存在するがここでは基本の二つ、詠唱呪文と文字呪文について学ぼう……」
詠唱呪文はわかるが文字呪文って?
肘をつきながら首を傾げる。
「――詠唱呪文は発動する魔法をイメージし、言葉にして発動するものである。その言葉に決められたものは無く、自分が発動しやすい言葉がイメージとして反映されれば問題なく発動できる」
銀の髪をくしゃくしゃしながら頭をかく。
「……結構曖昧に発動できるもんなんだなぁ。文字呪文ってのは?」
その下に記述されている。
「――文字呪文は発動する魔法式を書いて発動するものである。書くものは基本何でも良いが、魔法式をしっかり書かなければ誤認発動や魔力暴発などしかねないので注意……」
俺は今、頭に閃光が走った。ここに書かれていることが本当なら、ほぼほぼ俺がここへ来た理由が合致する。
彼女は自分の血で魔法式を書いた。おそらく血は体内魔力を含むため、強力な魔法を発動するのに適しているのだろう。
で、後は俺が前に推測した通り……かな?
「はあ……」
真相に近付き、重いため息が出るが、この話はある程度、脳内会議で結論付けた。今大事なのは魔法を使う事。
「ここの記述だけ見れば、圧倒的に詠唱呪文の方がいいな。無詠唱呪文ってのは無いのかな?」
開いたページを見るもそのような記述は無い。目次を見ても無かった。
「中学生くらいのもんだからか? 書かれてないな」
他の本を探してみる。彼女は実に沢山の本を持っている。俺の世界じゃスマホにデータ保存が基本になってきてるからなぁ、探すのが大変。
「ん? これは呪文研究記述……これだな」
この赤い本をめくり早速探してみる。
「ちっ! 目次がないな。一通り目を通すか……」
ぺろっと指を舌で濡らしペラペラっと一枚一枚読み飛ばしながら薄い紙をめくる。
この舌を舐める仕草でジジくさいと言われた事がある。
「ん……っと色々書いてあるな」
そこには基本以外の呪文の唱え方が書かれていた。サラッと読み流しているから内容は入ってこないが種類があるのはわかった。
「あっ! これだな無詠唱呪文!」
やっぱりあった! 無詠唱呪文! 漫画やアニメとかで最強チート野郎主人公共がバカバカ使うやつ。
俺もそんな事できるよねと期待に胸を膨らませるのだが、
「――無詠唱呪文は基本、初期魔法のような魔力消費が少ない魔法でしか使えない。どれだけ高度な魔術師でも中級魔法が限界である……」
現実はそんなに甘くなかった。
「えっ!? じゃあ何? 無詠唱魔法発動! ドカーンみたいなことはないわけぇ?」
その後の続きを読んでみても書かれていることは、制限じみたことだけだった。
「――呪文詠唱はどんな事象をするのか明確にする為に示すもの。言わば呪文詠唱は周りの魔力に呼びかけて発動を促すもの。無詠唱呪文はその準備を無視していきなり発動するものだから、弱い魔法でしか発動が難しいのである……」
ちょっと残念そうな表情を浮かべながらも、何となくの理屈も解るため納得する。
「つまり、呪文詠唱している間は周りの魔力や体内魔力が準備しているってことか。無詠唱はその準備をすっ飛ばして、魔力に無理やり呼びかけて発動するわけかな? だから、急に大きく魔力消費ができないってこと?」
推測の域を出ない。どうせ明日は実戦的に色々やってみるつもりなんだ。そこで試そう。




