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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
3章 ザラメキアの森 〜王都と嫉妬と蛆蟲の巣窟〜
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77 基本は聞き込み

 

「そういえばフェルサ、匂いの主はわかったの?」


「うちのクラスの女子ってとこまではわかったよ。人物の特定はまだ……」


「……そっか」


 大分絞り込めたとはいえ、情報が足りない。


 その女子さえわかれば、リュッカがどこへ行ったか聞き出して特定できるのに……。


「……そうだ! ちょっと門まで行ってきます!」


「門?どういう事だ!?」


「リュッカは魔物の生息域に向かった可能性が高いんでしょ?それでいてクラスの女子の頼みで行く場所と言ったら限定される」


 騎士科は午後の授業は外での戦闘訓練が多い。そのことを考えれば、行く当ては限られる。


 まあわかった上で先生達は外へと探しには行ったのだが。


「確かにそうだろうね……授業で言った場所がそうだろうと探した訳だし……」


「門兵に確認した?」


「……そうか! 門兵なら確認している可能性がある!」


「はい! 特に午後の授業でよく行く生息域に近い門の兵士さんに話を聞けば、目撃してるかも……」


「――リリィ! 冴えてる!」


 ぎゅっと抱きしめて喜びを表現するも、急ぎなのだと振り払う。


「よし、先生方は引き続き、リュッカが行ったと思われる場所の再捜索を。リリア達は門兵の聞き込み及びその周辺で聞き込みだ!」


「はい!」


 カルバスの指示の元、各自行動を開始した――。


 俺とフェルサとカルバスは西門付近での聞き込みを開始する。先ずは門兵から。


「赤毛のそばかす眼鏡の女の子ですか? 見てないですね。なぁ?」


「ああ……」


 二人の門兵は見ていないと素直に答えた。


「そうですか……」


「なら勇者校の生徒がこの門を出入りはしましたか?」


「リリア、何……あっ!」


「そう、リュッカが誰かに頼まれてどこかへ行ったなら、一緒の可能性が高いからね」


「どうですか?」


 すると門兵の一人が昨日のことを思い出すように考え込む。


「……関係あるかわからないけど、確かにいたよ」


「ホントですか! 誰かわかりますか?」


 手掛かりに結びつく情報かもしれないと食いつく。


「貴族の子だったよ。確か……ラサフル家のお嬢さんだったかな? それと二人の……貴族嬢だろうね。自信満々のあの態度は。だが、貴方達の探している女の子はいなかったね」


「彼女達か……」


 フェルサの顔が少し険しくなる。その様子を見た俺は、彼女達のことを尋ねる。


「あの……彼女達はどうして西門に?」


 すると証言した門兵は不思議そうな顔をし始めた。


「あれ? そういえばおかしいな?」


「何がです?」


「いやね、俺は昨日ずっとここに居て仕事してたんだけど、彼女達が出て行くのを確認してないんだよ」


「は?」


「それなのに外から戻ってきたところは確認したんだ。アクセサリーを探す為にザルメキアの森へ行ったんだと……」


「別のところから出て行ったか、お前が休憩中にでも通ったんじゃないか?」


 それもその通りだが、確かにおかしい。ザルメキアの森に探し物をしに行くなら最短ルートのこの門から出ればいい。わざわざ別のところから出て行ったということはおかしい。


 それにわざわざ門兵に目的を話すのもおかしい。


 彼女達には不審な点があるのは気になる。


「ありがとうございます。仕事中、申し訳ない」


「いえ……」


 俺達はその場を後にして、周辺を聞き込みしながら、彼女達の奇妙な行動について話し合う。


「さっきのどう思われます?」


「どうと言われてもな……確かに彼女達は褒められた生徒ではない。妙な点もあるが、根拠もなしに疑うのはどうかと思うぞ」


 先生という立場である為、平等に扱うように話すが、フェルサは否定する。


「根拠ならあるよ」


「えっ?」


「忠告を私達は受けてた。あの女には気をつけろって……」


「どういう事だ?」


 フェルサは合同実戦授業の時の出来事を話す――。


「――なるほど、それなら疑う理由もあるだろうが……」


 カルバスは複雑な心境のようだ。だが、俺は彼女達が何かやらかしたようでならない。フェルサも同じ気持ちだろう。


「仮に彼女達が犯人だった場合、色々と説明はつくよ。彼女達は魔物との戦闘はほぼできないんだよね? 先生」


「あ、ああ……」


「だったらどうやって森の中からアクセサリーを探したのって話になる。魔物が不意に現れるかもしれないのに、屈みながらアクセサリー探しなんて危険すぎると思わない?」


 俺は考えの同意を求めるとフェルサは素直に、カルバスは息を呑むように頷いた。


「つまり、彼女達には護衛になる人物が側にいたはずなんだよ。だけど、門兵さんの話を聞く限りはそんな人影はなかったよね?」


「つまりリリアは彼女達がリュッカにアクセサリー探しの護衛を依頼して、置き去りにしたと考えてる訳?」


「可能性としてはね。だけど、ここから出て行ったっていう証言がないんじゃ、ただの推測だよ」


 彼女達の悪い印象から、あくまで情報を組み立てただけの憶測に過ぎない。


 それにフェルサのこの反応から、もし彼女達が犯人なら、匂いを嗅いだ時点で名前が浮上するはず……しなかったということは、やはり可能性の域を出ないんだ。


「気乗りはしないが、彼女達に話だけでも聞きに行くか?」


 カルバスの提案を悩んでいると、


「あれ? 銀髪のお嬢さんかい?」


 どこかで聞いたような声が聞こえた。ふとその声のする方へ向くと、サングラスをかけたどこか見覚えのあるお兄さんの姿があった。


「誰?」


「えっと……どっかであったことがあるような……」


 俺が思い出そうと頭を悩ませていると、お兄さんはサングラスを外し、眼鏡をかけた。


「あっ!! あの時の眼鏡売りさん!!」


「そうだよ! いやぁ――」


 再会を喜ぶように近寄り、握手する。


「君のおかげで儲かってるよ!! このサングラスが上手いこと売れてねぇ……」


「あのすみませんけど、こっちはそれどころじゃないの」


「そんな連れないこと言わないでよ。何かお礼をさせてほしいなぁ」


 よほど商売が上手くいったのだろうか上機嫌だ。好意は有り難いが、リュッカの行方が心配なのだ、それどころではない。


 なので事情ついでに一応と望み薄さに尋ねる。


「だったら聞きたいことがあるんだけど……」


「ん? なんだい? 何でも聞いてくれ」


「あの時に眼鏡を売った赤毛の女の子を覚えてる?」


「そりゃあ勿論! 君の隣にいたそばかすの子だろ? 覚えてるよ」


「その子を探しているの。見かけなかった?」


「ああ、見たよ」


「そっか、見て……えっ!? 見たの!? どこで!?」


 リュッカの新たな目撃者に必死になって聞き出すことに――。

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