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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
3章 ザラメキアの森 〜王都と嫉妬と蛆蟲の巣窟〜
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60 探索開始

 

 俺達は鬱蒼とした暗がりの森の中を陣形を取りつつ進む。


 先頭はビッツ、後ろはカルディナが配置。間に俺達魔法科を配置しての陣形。


 タイオニアでは一部役立たずもいたが、前衛が広くいた為、幅広く配置することが出来ていた。


 だが、今回は前衛、後衛二名ずつだ。特に俺達、後衛は接近戦をやられると対応が難しい。


 なので、性格も含めて特攻型のビッツを先頭に対応力や判断能力に優れたカルディナが後ろを守る。その援護に俺達、魔法科が真ん中に配置される訳である。


 この人数なら自分達の役割りをしっかり認知できることから、理にかなった実戦訓練だろう。


「魔物の気配はないな……」


 先導するビッツはキョロキョロと側から見れば挙動不審に見えるような感じで辺りを見る。


「大丈夫だよ。この辺りに魔物の気配はないよ」


「先程から何をしているのかしら?」


 手の平に小さな白い魔法陣を展開している俺に尋ねる。


「これは感知魔法だよ。色んな魔力を感知するの。魔物や人は勿論だけど、異常な魔力も感知できるから危険回避の為にも使えるの」


「へー……」


 ビッツとロバックは惚けて感心する。


「そうね。わたくしも簡易的なものなら扱えますが、魔法使いである貴女の方が感度は高いわよね」


 あのおっさんやテテュラもそうだが、ある程度実力がある人は精神型でなくとも使えるようだ。


「はー……じゃあ俺、意味ないんじゃないかなぁ……」


「そんなことないよ。肉眼での確認は一番大事なことは変わらないから」


 感知魔法で把握はできるのはあくまで魔力だけ。周りの変化等はやはり肉眼に頼らざるを得ない。


 実際一人でやると魔力と周りを同時に確認しなければならないことから、結構神経を使う為、負担も蓄積されるだろう。


 そういう意味では役割りを分担して、負担を分け合えるのはとても良い。


 だが、ビッツはそこをわかってはいない様子。頼られていると勘違いした様子で頬を赤らめた。


「そ、そうだよね。ま、任せてよ!」


 まあいっか。俺が彼の制御装置になれば、下手に先走ることもないだろう。


 その横ではしゅんとなるロバックの姿もあった。


「どうしたの?」


「いや、僕はできないから……」


「はっ! できねぇのかよ!」


「貴方はできるのかしら?」


「……い、いやぁ、ほら俺は肉体型だしぃ――」


「わたくしはできますが?」


 カルディナの発言にビッツは口を紡ぐ。


「だったら私が教えてあげようか?」


「ほ、本当!?」


 表情が一気に明るくなったと同時に、ビッツは不満げな表情に変わる。


「うん、できる人が増えてくれた方がいいからね」


「そうだぞ! 勘違いすんなよ! オルヴェールさんの負担を減らす為だからなっ! 決して勘違いすんなよ!」


 どんだけ念を押すんだよ。ビッツが考えてるようなことはないから。


「ありがとう!」


「じゃあ先ずは――」


 俺はビッツが悔しげに見守る中、ロバックに感知魔法を教授することになった。


俺達のパーティーはとても順調に魔物を討伐する。


「――はあっ!!」


 暗がりにうっすらと照らす光に触れて、鋼の剣は鈍く輝く。カルディナの凄まじく突き出す剣速は速く、(くう)を裂くが如し、虫型の魔物の身は裂かれる。


 さらにその剣速から繰り出される風圧で魔物は吹き飛び、木や地面に激しく叩きつけられる。


 お陰で虫型の魔物は手足が引きちぎれる始末。ちょっと可愛そうにも見えてくるが、剣で戦う姿は圧倒される。


 特に彼女の場合は貴族というだけあって剣技を磨いてきたのだろう。ビッツやリュッカとは違い、華がある。


 彼女の美しさは勿論だが、しなやかながらも雄々しく振る舞われる剣技に鋼の美しさも映える。


 こうしてパーティーとして戦っているとタイオニアでの戦闘を思い出す。


 実際、この学校に通ってからは初の魔物との戦闘だが、勘は鈍っていない感じ。


 とはいえ魔物を俺達が感知したら基本、カルディナが先導してビッツが付いていく感じ。俺達はその援護くらいでって感じ。


 リュッカ達との戦闘の時は、しっかり前衛、後衛の戦いが出来ていたのだが、このパーティーの場合、カルディナが凄まじい。


 風属性の肉体型は強いとは聞いていたが、ここまでとはと感心すると同時に、ハッキリ言うと暇だ。


 二人はある程度、ここの魔物についても把握しているようで手際もいいが、連携を取っての戦闘となるとイマイチ出来てない気しかしない。


「ふう……今日も好調ですわ」


「す、すごいですねぇ……」


「だろ?」


「今のはわたくしを褒めたんですのよ、彼は……」


「あのさ、ちょっと相談があるんだけど、戦い方を変えない?」


 三人ともこちらに振り向き、首を傾げる。


「何故かしら? 十分に戦えているのに……」


「だからだよ。魔物を討伐しているとはいえ、これは授業。つまり前衛と後衛での戦闘を身につけることが重要視されるんだよ」


「確かに、先生も言ってたな」


「今までの戦い方じゃあ、カルディナさんの独壇場だよ。それじゃあ私達が魔物に対する対応力や判断能力を身につけられないし、カルディナさんも後衛との連携も身につかないよ」


 カルディナは顎に手を置き、考える仕草を取る。他二人はリリアちゃんの言う通りだねという感心と気に入られようとするように褒める。


 俺の意見に納得したのか、カルディナが考えを少しばかり挑発的に求める。


「……じゃあどうするつもりかしら? 案があってのことよね?」


「勿論。……簡単だよ、ペアを組めばいい」


「ペアを?」


「……なるほど、わたくしとロバック、貴女とビッツで魔物に対応、遅れがあるペアに援護という形でサポートすれば、各々のスキルアップに繋がると?」


「最初はそれでいいかな? 慣れてきたらペアを変えてやってみようよ。それでいいかな?」


 三人は俺の意見に賛成してくれた。


 前にも思ったが、これは現実、前衛が突っ走って簡単に経験値稼ぎができるゲームじゃないんだ。


 先生がいてある程度安全とはいえ魔物との戦闘は基本、命がけだ。誰かが突っ込んでパーティーをかき乱しては、その隙をつけ狙われ後悔することになる。


 そうなる前に経験を積まねばならないと、この授業の意図を汲み取る戦闘訓練を開始するのだった。

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