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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
3章 ザラメキアの森 〜王都と嫉妬と蛆蟲の巣窟〜
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56 学園生活の定番といえば

 

 皆さん、お元気でしょうか? 俺は絶賛女の子としての第二の人生を謳歌しているところです。


 父さんと母さんは相変わらずだといいなとか、友人達はレート上げでもしてるのかなぁ、なんて思います。


 平和ですね。


 突然ですが、異世界魔法学園モノといえば、学校内にガラの悪そうなテロリストもどきが現れて――、


「いい女じゃねぇか、へへへ……」


 なんてスケベ心丸出しでにじり寄ってきたり、秘密を隠した王族だの伝説のほにゃららだのを捕まえる為になんて事件が起きて――、


「ほにゃららは俺が守る!!」


 みたいな明らかに主人公ぽい感じのセリフを吐き散らす主人公がカッコ良く展開するのが、まあ異世界魔法学園モノの定番ではないだろうか。


 だが残念。ここ一か月、そんな予兆など一切合切なく、平和な学園生活を送っている。


 いるのだが!! 学園モノの定番というのは、どうやら異世界へ来ても切り離せないようで、現在に至ります。



「――オルヴェールさん! 好きです! 付き合って下さい!」


 目の前の彼は騎士科の顔も知らない男子学生。


 さっきから赤面しながらもじもじして、どこか余裕のない態度を取っていた。


 うん、わかるよ中身男だから。女の子に告白って度胸いるよねぇ。しかもこんな美少女に告白は特にだよね。


 わかるんだけど、うーん。……同性だからだろうか、みっともなく見えてしまう。


 異性であれば、ある程度嬉しさとかもあるのかもしれないから、そうは思わないかもしれない。まあ興味が無ければ、異性だろうが俺と同じことを思うかもしれない。


 そして告白。意を決するように、真剣な表情だが、その瞳はふるふると震え、緊張から下唇を噛み、耳まで真っ赤にして、身体を強張らせて、絞って吐き出すように告白の言葉を言う。


 告白なんてしたことないからわからんが、元の自分を歪ませるほど、勇気のいる行動であることは理解している。


 だが、その恋は叶わない。何故なら、


「……ごめんなさい。気持ちは嬉しいんだけど、貴方とは付き合えないわ」


 恥ずかしそうな仕草でもじもじと断る。まあこれ演技です。


 彼はショックを受けた定番の表情。だが、ここは男の子、好きな女をモノにする為にはと食いつく。


「何故ダメなんだい? 他に好きな奴でもいるのか!?」


「今は学業に集中したいってのもあるんだけど、そもそも恋愛をしたいって気持ちが()()ないの……」


 これは本当よ。この世界のことを知らなきゃいけないし、俺は男との恋愛は絶対しないとこの身体になった時、誓ったし。


 嘘は言ってない! 嘘は!


「そ、そっか……」


 どこか安心した表情で照れながらこちらを見る。


 さながら、好きな人がいないことを安心したものと考えられる。それと、俺はあえて今はとも言ったことから、まだチャンスはあると考えてのことだろう。


「だから、ごめんね」


 申し訳なさそうに優しく微笑む俺。演技です。


 その表情を見た彼は、まるで心を撃ち抜かれたよう再び硬直。


「ん? どしたの?」


 くりっとした目で硬直した彼に覗き込むようにして、上目遣い。演技です。


「ああっ!! いや、何でも!! 何でもない!! そ、それじゃあ!!」


 正気に戻った彼は、慌ててその場を走り去る。俺は優しく微笑みながら、そっと手を振って見送る。しつこいと思ったでしょうが、これも演技です。


 元男としては思い出作りくらいは手伝ってもいいかなという、同情心が湧く。青春は待ってはくれないのだ。


 俺の青春はこの身体になった瞬間、全力疾走で走り去った。



「――リリィ? また告白されたの?」


「これで何人目?」


「……十三人」


 先程の告白イベントがあった次の日の朝。俺は最近、定番になってきた。どんな男子に告白されたの的なお話中だが、さすがに十人を超えたあたりから投げやりなお話へと変わってきている。


「リリアちゃんも大変だね……」


 リュッカは苦笑いしながら労う。


 それもそのはず。本来ならマルファロイ事件の際に殿下と仲良くなっておけば、男は寄り付かないものと考えて、あの騒動を起こしたのにだ。


 それに加えて、最上級魔法を撃ったり、わざとではないがインフェルとの契約をしたりと近寄りがたい感じの噂を作ったはずなのに、ある程度落ち着いたのちに告白ラッシュである。


 同級生や騎士科は勿論、先輩方、何だったら他校の生徒まで告白しに来た始末。


「今日は騎士科の男の子だったよ」


「ふーん……まあ私達にも話が来てたしね? リュッカ」


「うん、そうだね」


「は? 何で?」


「友達なんだろ? 紹介してくれよ、だぁってさ」


 全く興味なさそうにジト目で手に持つスプーンを振る。


 学食でも一緒にいるのは見かけられるもんね。その話を聞いたアイシア、不思議そうな表情で。


「そうなんだ。私はそんなこと言われたことないけど……」


「そうだろうね。アイシアもリリアと同じ立場だしね。ね、リュッカ」


「うん、そうだね。二人はこっちでも男子の話題の種だよ」


「え? どゆこと?」


 確かに男子受けいい性格と容姿はあるからな。おそらく男子共は、可愛い子ランキングなんてもんを作ってるんだろうな。


 俺はそういうのは参加しなかったが、向こうでもそんなバカがいたな……。


「リリアに至ってはファンクラブもできてるらしいよ」


「は!?」


 要らんし!!


 思わずガタンとテーブルを叩いて立つ。


「えっと……頑張ってね、リリアちゃん」


「ファンクラブだって凄いね! リリィ!」


「いや、アイシアも他人事じゃないけどね……」


「え?」


 あー……もしかして俺とアイシアが並んでるとことかがいいとか何とかの影響なのかな?


 幼龍も抱き抱える姿とかも絵になるし、とりあえずモテそうだよね。その幼龍はアイシアの足元で餌入れに顔を押しつけてがっつくように食べる。


 ちょっとその件について気になったので、こそっとリュッカに耳打ち。


「アイシアってモテるの?」


「うん。本人は気付いてないけどね」


「はは……」


 このメンバーで恋話は厳しいと感じたと同時に、天然でふってるんだなぁと思うと、天然って怖いと感じた。

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[良い点] うわあ!モテモテ!
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