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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
3章 ザラメキアの森 〜王都と嫉妬と蛆蟲の巣窟〜
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42 挑発

 

「なるほど、やりますわね」


「ん……」


 お互いに距離を取り、相手の動きに気を配る。


 フェルサとしては今ので決めたかったところだが、思いの外カルディナの瞬時の対応が良かった為か、再び睨み合う形に。


「ふ……貴女、確かに素晴らしい動きをなさいますが、欠点もちらほら見えますわね」


「は? 何のこと?」


 カルディナは挑発的にフェルサに戦いを指摘する。


「わかってないことないんでしょ? じゃなきゃ攻め急いだりしません」


 フェルサはぴくっと耳が動く。その反応にクスッと微笑する。


「何?」


 ちょっとイラッとした物言いで聞く。


「貴女、嘘とか下手でしょ? だったらこちらは色々尋ねてみようかしら。ポロポロとボロが出てきそうだわ」


「……勝手言うな!」


 図星を突かれたフェルサは挑発に乗るように、衝動的に攻撃を仕掛ける。ただ先程と違って接近戦メインの攻撃だ。


 激しく拳や蹴りを打ち込むが、目に見える対人戦ならと防戦一方だったカルディナも得意と思われる突き攻撃をメインに繰り出す。


 そんな中でカルディナは宣言通り、疑問を投げつける。


「貴女、普通の獣人ではないわね?」


「……」


 カルディナは尋ねるが、無言を貫きながら交戦し続ける。


「そう思った理由、知りたくはないかしら」


「――興味ない!!」


 返事と同時に渾身の一撃を放つ。当たりはしなかったものの、その風圧でカルディナはふわっと後ろへ飛び、距離を取る。


 クスクスと笑うカルディナ。


「正直なのね、貴女。いいわ……教えてあげる。貴女の拳、獣人のそれとしては軽いのよ」


 今度はフェルサの方が苦虫を噛み潰す。


「その証拠に先程からの高速移動、砂埃がやたらと小さいのよ。獣人の肉体型の魔力操作ならもう少し強く地面を蹴るものよね……」


 唇に人差し指をつんつんしながら、あえて不思議そうな表情をして説明を続ける。


「気配を消す為というのはこのフィールドでは意味をなさないし、女だからって理由は安易よねぇ。貴女、獣人としては珍しい……精神型かしら」


「――っ!!」


 見破られたとばかりに目をパチクリとさせて、耳と尻尾もピンと立つ。


 その反応に再び微笑する。


「貴女って本当に嘘がつけないのね」


「お前……ムカつく」


 冷静なフェルサでも彼女の言い回しに苛立ちを募らせる。


「大変よね。精神型なら肉体強化は難しいですもの、己の肉体能力だけで……あら?」


 何かに気付いたような反応を見せる。


「もしかして貴女、落ちこぼれさんかしら」


「――くっ!!」


 フェルサはこの言葉に乗ってしまった。目の前にいるカルディナに向かって翔歩で近づくが……。


「――なっ!?」


「今度はこちらの番ですわ!!」


 カルディナは軽く横に避けると身体のバランスを崩したフェルサに渾身の突きを放つ。


「――がっあ!!」


 カルディナは風の魔力も込めて放った為、フェルサは勢いよく飛ばされる。演習場の壁に激突した。


「フェルサちゃん!?」


「ぐうぅ……」


 だが、さすが獣人、この程度では中々やられることはなく、むしろもっとやる気が出たようで、威嚇する獣の如く、唸り始める。


「ウウウウ……」


「あら、怖い」


 カルディナも気分が乗ってきたようだが……、


「――そこまで」


 カルディナとフェルサは声のする方へと向く。


「お前達の実力は十分見た。もういいだろ」


「私はまだ――」


「わかりましたわ……」


「――なっ!?」


 カルバスの言葉にあっさりと木刀を下げる。その様子を見て、フェルサは納得しない表情をしつつも渋々体勢を解く。


「フェルサちゃん!!」


 たっと駆け出してリュッカはフェルサの元へ。


「大丈夫?」


「全然平気」


 リュッカの心配も他所にカルディナを睨み続ける。


「ふふ……ごめんなさい、フェルサさん」


 微笑すると謝り始めた。


「ここまで怒るとは思わなかったのよ。だけど、貴女を本気にさせた方がいい緊張感の元、いい経験が積めると思ったのよ」


 これまでの挑発は、あくまで濃い実戦経験を積むだけだと話す。


「何? じゃあ私はまんまと貴女に利用されたってこと?」


 苛立ちを隠すこともなく言い放つ。


「まあ端的に言えばそうなるわね。でも、それは貴女を評価しているからこそですわ。実戦経験の豊富な方とのやり取りは良い経験になりますもの。感謝してますわ」


 カルディナの物言いに馬鹿馬鹿しくなったのか、警戒心を解いていく。


「まあ、それに貴女にとっても収集はあったのでは?」


「は? 何が?」


「貴女、戦闘での駆け引きはお上手ですが、心理の駆け引きはあまりに下手ですわ。もう少し、嘘もつけるようにした方がよろしいですわよ」


「余計なお世話」


 フェルサの反応が楽しいのか戦闘が終わった後の終始、笑顔のカルディナ。


「そのお耳と尻尾……気をつけて下さいませね」


「――なっ!?」


 フェルサは思った――、


(コイツ……嫌い!!)


 彼女は物凄く不機嫌オーラ全開でリュッカと共に生徒達の元に戻ったのは言うまでもないだろう。

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