13 食事の味も普通でした
「あんた!! 本当に何があったの!? 正直に白状しな!」
「ああ……リリアがあんなに笑顔で。パパに……ああ……」
父は娘の笑顔の余韻に浸ってご満悦の表情へとすぐに変わったが、母は鬼気迫る真剣な表情で、さっきよりも強く俺の肩を鷲掴み訊いてくる。
「だ、だからさっきも言ったじゃない。前向きに考えていくようにしたって……」
「いやっ! そうは言っても変わり過ぎよ!」
心配そうに見つめるところを見ると、騙してるようで罪悪感に襲われ、良心が痛む。
多分、本当のリリアはとても根暗な性格なんだろう。
でも、本当の事を言っても信じてはもらえないだろうし、信じてもらえても何を言われるかされるかわからない以上、打ち明けられない。
「……不安な気持ちもちゃんとあるよ? でも、決まった事ならいつまでもうじうじしてられないって思ったんだ」
「リリア……」
そう、決まった事なんだ。俺は今、『リリア・オルヴェール』なんだ。彼女として今は生きていくしかない。
それにこの言葉はリリア本人が言っても大丈夫なようにも訊こえないだろうか。
それを訊いた母親は優しい眼差しに変わり、俺を見てこう語った。
「そっか。ちゃんと考えてくれてたんだね。いつまでも逃げ続けているリリアじゃないって事なんだね。正直、王都の魔法学園に無理矢理入れるのは流石にやり過ぎたかなって思ったけど、いい方向に進んだみたいで良かった」
いや、その影響で俺は今ここにいる訳だから多分、失敗だったよ。
俺は罪悪感に苛まれながら表情を暗くした。
そんな中、一人号泣していた父親がそれはそれと心配そうに語る。
「でも、リリアに向こうでの生活なんて……やっぱりパパも付いて――」
「それは一番ダメ!」
母一掃。父立場無し。うん、この家庭はこれが基本コンセプトらしい。まあおかげで少し気持ちと表情が和らいだ。
さて、そろそろ食事に手をつけますか?
箸を使い慣れてる俺としてはナイフとフォーク、スプーンでの食事は不慣れだ。でも、ここではこれが基本だろうから慣れないといけない。
サラダはフォークで刺して食べる。艶がある緑の葉はレタスだろうかシャキッとした音がなんとも心地良い、口へ運ぶ。咀嚼するその歯ごたえに覚えがある、うん、レタスだ。
元々かかっていた黄土色のドレッシングもいい味を出している。この酸味だろうか、食欲が進む。
次はこのトロミがない液体状の黄色いスープ。見た目や匂いから多分、かぼちゃのスープではないだろうか。スプーンですくい飲む前にちょっと聞いてみた。
「そういえば王都へはいつ行くの?」
するとスープを口に――。
「明後日だよ」
「――ぶっ!?」
口にふくんだばかりのスープが思わず驚き、吹き出す。
――えっ!? 早っ!
「げほっけほっ、えっ!? 二日後!?」
ちょっとと言いながら俺が吹き出したところを拭く。
「ええ、そうよ。散々言ってたでしょ」
まあ、俺は訊いちゃあいないんですけどね……ははは。




