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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
3章 ザラメキアの森 〜王都と嫉妬と蛆蟲の巣窟〜
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37 不機嫌な理由

 

 今日の授業を終えて現在放課後。俺達は先の授業で仲良くなった彼女達と校門前で話し込んでいた。


「――えっ!? 今から勇者様の家に行くの!?」


「うん! すっごい楽しみ!」


 うっかり喋ってしまったのだ。出来れば隠しておいた方が良かったのだろうが、昼休みの事を話しているうちに……。


「あの! お願い! あたし達もさあ、ね」


「お願い! ……ダメかな?」


「いいんじゃない?」


 懇願する二人にさらっと無責任発言。殿下の性格上、大丈夫な気はするが一応止める。


「アイシア、そんな簡単に言っちゃダメだって。アルビオが困るよ」


「うーん……別に断らないと思うけど?」


「私もそうは思うけど……」


 そんな話をしているうちに向こうから噂の方々とリュッカ達が歩いてきた。


「待たせてしまったかな? レディ達」


 第一声はウィルク。浮ついた物言いで歩み寄る。


「い、いいえ」


「困ってるだろ、止めろ浮気男」


「浮気なんてしてない! レディに対して平等に愛を捧げることは普通のことさ!」


「そういう奴を浮気性と呼ぶのです!」


 会うたびに喧嘩をしている気がするぞ、この二人。本当に護衛なんだろうか?


「殿下、大丈夫なんですか? この二人が護衛で……」


「なあに、こう見えても二人は優秀だ。それに喧嘩するほど仲が良いとも聞くだろう」


「――良くないですよ!」

「――良くありません! 殿下!」


 タイミングばっちりの同時ツッコミ、声まで合わさった。ある意味では殿下の言う通りだろう。


「あのハイドラス殿下ですよね?」


「ああ、そうだが。君達は?」


「し、失礼しましたっ!」


 慌てた様子でユニファーニとミルアはハイドラス達に自己紹介すると、早速お願いしてみる。


「あたし達も、いえ、わたくし達もご一緒してはいけませんか?」


「かしこまらなくても良い。興味があるのは自然なことだ。これも縁だろう、人数が多いなら考えたが、二人くらいならいいだろう」


「ありがとうございます!!」


 後ろにいるアルビオの許可も得ずに話を進めてしまっているが、文句を言わないところは信頼を預けていることだろうか。昼休みの発言を聞く限り。


 嬉しそうにする中で、何やら不穏な空気を出す人が約一名。眉間にシワを寄せ、機嫌が悪い顔をする。


「どうかしたの? フェルサ?」


「…………別に」


 獣人差別を受けてもここまで機嫌を損ねることがなかっただけに、余計に気になったので、


「何かあったの……リュッカ」


 ぽそっとリュッカに耳打ちするも、獣人であるフェルサには聞こえていたよう。


「何もないって言ってる!」


 どう考えても何かあったような怒った言い方だ。


 まあまあとウィルクが宥める。


「気にしちゃダメだって言ったろ、フェルサちゃん。君は君らしくだね――」


「煩い!!」


 げしっとウィルクの背中に回し蹴り。


「――あだぁ!!」


 数メートルくらい飛んだ。さすが異世界、ツッコミすら命賭けだ。


「私、やっぱり帰る」


 完全に機嫌を損ねたのか、そっぽを向いて寮へと向かおうとする。


「ええっ!? 一緒に行こうよ、フェルサちゃん!」


「――ちょっ、やめ……」


 アイシアは抱きついてフェルサを止める。


「みんなで行った方が楽しいからさ! ねぇー!!」


 必死に止めるアイシアを見て、諦めた様子で表情が和らいできた。


「わかった……」


「ホント!? やったぁ!!」


 こういう時のアイシアは強い。スキンシップに情に訴えかける声のかけ方。


 …………あれ? 意外に魔性の女か?


「でも、ホントにどうして機嫌悪かったの?」


 そして掘り返す! 怖い! 何この()! 天然? それとも画策?


 フェルサはもう呆れてものも言えない様子でアイシアを見る。アイシアは不思議そうに首を傾げた。


 あ……こりゃ天然だ。


 その様子の一部始終を見ていたハイドラスは楽しげに笑う。


「ハハハハハッ!! こりゃあ参ったな、フェルサ」


「う〜……」


「友達に話すだけでもスッキリするかもしれんぞ。何だったら私が話そうか?」


「……もう好きにして」


 さっきとは真逆。完全に諦めた様子になる。話を知らない魔法科組は置いてけぼりである。


 だが、この様子を見るにそこまで深刻な話でもなさそうだが。


「何があったんです?」


「そうだな、とりあえずこの人数だ、馬車で向かうのは無理そうだし――」


「いえ! 私達が歩いていきますよ!」


 人数が増えた原因の自分達は徒歩でアルビオの自宅まで行くと言うが、


「場所を知っているのか?」


「あ……」


 居住区にあるとわかっているとはいえ、広いのだ、おそらくはわからないだろう。


「気にするな。私自身、徒歩で帰る放課後とは憧れていたのだ! 馬車は来るなと言ってある!」


 実に生き生きと話すハイドラスに釘が刺される。


「アルビオ殿の自宅に馬車を手配してますので……」


「……お前は本当に余計なことしかしないな」


「――護衛としては当然の配慮です!」


 空気読めないなという視線も気にせず殿下への激しいツッコミ。


 ハーディスは護衛としてはとても優秀な判断だと俺も思うし、当然のことだろうが、中々報われないと心の中で哀れむ。


「しょうがない、とにかくここからアルビオの自宅までは歩いて、何があったのか話そうではないか」


 俺達はアルビオの自宅がある居住区まで歩く道中で、フェルサの機嫌が悪くなった理由を聞くのだった。

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