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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
3章 ザラメキアの森 〜王都と嫉妬と蛆蟲の巣窟〜
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13 勇者記念展望広場

 

「昨日はご迷惑をおかけしました」


 朝食を食べる先輩二人を捕まえて謝罪する。


 結局あの後、そのまま寮の部屋へと連れ込まれた俺は、アイシアやリュッカに扇がれながら熱を冷まし目覚めた。部屋まで運んだのはユーカだと聞いてのお礼と謝罪である。


 それに対し、いやぁと反省する様子を見せてこちらこそと謝罪が返ってくる。


「可愛い後輩ちゃんができたと思って悪戯が過ぎたよ〜。こっちこそごめんよ」


「ユーカはスキンシップ、激しいからね」


「ターナはもう少し喜ぼうよ〜」


 この人達は朝から元気だ。俺は朝弱い方だったが、リリアに転移した後からは朝が強くなった。リリアの身体だからという影響もあるのだろうが、一番はやはり娯楽の少なさだ。


 やるにしても読書くらいで、読めるとはいえ飽きる。必然的に寝る方が優先されることが多い。旅の途中だったこともあるが。


 これから学校に通うわけだから生活リズムを作るという意味では良いことなのだが、テレビゲームに明け暮れていた俺としては退屈だ。


「そうだ! 今日は買い物、行くでしょ? 案内してあげるよ。お詫びというか先輩風吹かせて、何か奢ってあげるよ」


 こういう好意は素直に受け取るべきだろう。こちらを気に入ってくれたから、あんなに好意的にしてくれたわけだし、距離を取るのは失礼だ。


「じゃあ是非……」


「よし、決まり! そうと決まったら――」


 がつがつと勢いよく朝食を食べ終えると、


「支度するから待ってて……」


 のんびり朝食を取るタールニアナを置き去りに食堂を素早く後にするが、ひょこっと顔を出す。


「ターナも早く!」


「はぁい」


 そう返事をするタールニアナだが、急ぐ様子はない。実に見た目通りのマイペースさんである。


 ***


 俺達五人は商業区に向かうが、その前に王都へ来たならばと案内してくれる場所があるとのこと。


「ほら着いたよ」


「わあっ、凄い眺めですね」


 そこは大きな広場。六つの長い柱のようなモニュメントが間隔を置いて綺麗に設置されている。町を一望できることから展望広場のようだが、それにしても広い。


「ここは勇者記念展望広場だよ。勇者の活躍を記念して作られた広場だよ」


「へぇー……」


 よく見るとモニュメントの一番上辺りに人の像だろうか、確かに見える。その横にはよくゲームなどにも出てきそうな精霊みたいな使い魔も見える。


「勇者ってあの像のことですよね?」


「そうだよ。勇者と六大精霊の銅像だよ」


「あれが六大精霊。凄いな……」


 俺はそんな話を聞きながらモニュメントに掘られた名前を見てみる。


 ――勇者ケースケ・タナカ、大精霊イフリート――。


 と書かれている。その六つの像はそれぞれ違う精霊が象られていることから、六つの属性を表しているのだろう。


 こうして祭り上げられているところを見ると、本当に勇者は大活躍だったようだが、その少し高いところにあるせいか目を凝らして見ると、どこにでもいるような平凡な日本人学生に見える。


 本当に平凡な顔立ちと体格。ブサ面でもなく、イケメンでもなく、肥満でもなければマッチョでもない。日本にも歴史的人物像はいくらでもあるし、見たこともあるが、ここまで貫禄のない人物銅像も珍しい。精霊が浮いているようだ。


「こうして見るとホントに来たんだね。王都に……」


 アイシアは広がる町の景色を見ながら物思いにふける。一度来た時は受験どころで観光気分でもなかったのだろう。それにリリア達の故郷からでは、手軽にも来れない場所だ。故郷を離れ、思うこともあるだろう。


 俺はそれ以前に世界すら超えたが、人生観も百八十度変わった。


 見た目的にも世界的にも……。


「これから色んな思い出、作っていこうね! シア!」


「うん! リリィも!」


「そうだね……」


「先輩達も混ぜて〜」


「ま〜ぜ〜て〜」


 だが、変わらないものもちゃんとあるってこともわかってる。


 まだ、女として生きることには慣れないが、異世界だろうと人生をしっかり歩むことはできる。


 本来ならリリア本人が歩くべき道だか、代わりに歩こう。この勇者が歩くことができたなら俺にだって出来るはず。


 俺はおそらく同じ世界から来たであろう勇者の銅像の前で改めて誓うのだった。

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