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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
3章 ザラメキアの森 〜王都と嫉妬と蛆蟲の巣窟〜
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03 異世界へ行きたいという理由も納得かも

 

 ギルドで一悶着つけ終わり、現在最終目的地のこれから俺達が通う学園へ移動中。


 一人ぷりぷりしているこの人はまだ怒っている。不機嫌そうに可愛い顔を歪める。


「ったく。ホント最低……」


「まあ男なら手ぇ出したくなるのもわか――」


 グラビイスは今はいない彼らに同情するも、サニラはリーダーであるこの人にも軽蔑の視線を送る。


「……悪かった」


 女の子怖いと鎮む表情を浮かべた。向こうより圧倒的に女子と関わる機会が増えた俺としては、サニラの気持ちも理解に苦しい訳ではない。


 男より女の方がやはりリスクが高い事があの時、身をもって理解できた。男は軽い意味で襲ってくるが、女は事と次第によっては一生引きずる事になる話だ。


 リスクの差は歴然。エロ画像をネットサーフィンして探していた当時の俺には理解は難しかったろうが、女になった今なら事の重さをわかってしまう。


 とはいえ、無事だった以上はそんなに怒らなくてもとも思ってしまう。


「まあサニラ。済んだ話だし、もういいよ。それにこれから楽しい学園生活なんだからさ、ね?」


 俺はサニラを諭すが、まだ納得いかない様子を浮かべ、不貞腐れたような目で見ると長いため息をついた。


「わかったわよ。そうね、ごめんなさい。貴女達はこれから学園生活だものね」


「ううん、心配してくれてありがと」


「今後はちゃんも気をつけますので……」


「普通はもうちょっと警戒するものよ。リリアみたいにね」


「はは……」


 俺の場合は中身が男なのが最もな理由なのだがね。でも、もしサニラに中身が男と知れたらどうなるんだろうとさっきの説教と表情を浮かべると、ぞっとしない。


 鳥肌が立ったように身体をピンとさせて、自分の身体を抱きしめる。また一つ、隠し通さなければならない理由ができた。


「それにしても相変わらず凄いね。王都は広すぎるよ」


「私達は田舎出身だからね……」


 王都ハーメルトはど真ん中に(そび)え立つ城を中心に町が広がる。そして区域ごとに分けられて形成されている。今現在いる場所はギルドがある商業区。冒険者の準備を円滑に進めたり、商人が依頼しやすいようにとか、冒険者は酒飲みが多い為などなどあらゆる理由がある。


 アイシアは口を半開きにしながら、町の風景を眺める。アイシア達もクリーディアのような町並みならそのほうけ方にも納得がいく。


 だが、俺としては世界観には感動を覚えるが、この町の雰囲気はあまり圧倒されない。


 中身は都会出身だからね。あの満員電車といったら。むせ返る人の熱、あの圧迫感、それに迫られる時間との戦い。


 満員電車の事を考えただけで、こちらとの世界の違いを改めて思い知る。何であんなに必死に社会という決められたレールにしがみついてたんだろうと。


 多少のしがらみはなんてよく言うが、向こうは狭苦しさを感じる。思い出しただけでも感じるんだ、相当だろう。


 車、電車、飛行機、スマホ、パソコンなど魔法以上に便利な物がありふれている筈なのにおかしな話だ。


 今こうして馬車に揺られ、走っている。腰は痛いし、床も硬くてお尻も痛い。電車の椅子の方が万倍マシな筈なのに、馬車に心地よさを感じるのは何故だろう。


 さらっと長い銀髪が風に靡く。この風が囁き、肌に語りかけるよう。わかりきっている事だ。


 どこか自由を感じるこの世界で生きる。この世界にもしがらみはあるだろうが、きっと向こうほどじゃない。


 哀愁を漂わせながら頬杖をつき、風を感じた。

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