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問おう! 貴方ならこの状況、歓喜しますか? 絶望しますか?  作者: Teko
2章 王都までの旅路 〜残念美少女から普通の美少女になります〜
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72 オシャレは眼鏡から

 

「そこのお嬢さん方、特にそこの眼鏡の()、見てかないかい?」


「えっと……私ですか?」


 リュッカは自分を指差し、露店をしている眼鏡を掛けた男性に声をかけられたのか確認する。


 そこには沢山のオシャレな眼鏡が並んでいる、この人は店主のようだ。


「わあ……色んな眼鏡があるんですね!」


 眼鏡を使っているリュッカよりもアイシアが食いついた。


「ああ! 是非見てってくれ!」


 ざっと流し目に見ていく。元いた世界ほどではないが、中々の品揃えである。中には変わった形もあった。


「これなんて面白いよ!」


 そう言ってアイシアが手に取ったのは星型の眼鏡。


 普通、サングラスだろ! 眼鏡で作るなとツッコミたい。


「それ明らかに使いづらそうじゃない?」


「それは子供に受けるんだよ! 大体親が止めるが……」


「だろうね!! なら何で作った!?」


 ツッコむチャンスをくれたので乗っかることに。するとお兄さんは商売の近況を話す。


「いわばきっかけづくりに作ったのよ。受けると思って……」


「まあ、インパクトはあるわよね……」


 サニラは呆れ顔でハート型を手に。真っ当な眼鏡の中にこんなのがあったらそりゃあインパクトは強いけど。


「眼鏡は中々売れないのよ。だから、こういう趣向も必要なのよ」


「何で売れないの?」


 俺は素朴な疑問を投げかける。人間衰えるんだ、生きてりゃ視力も悪くなるだろうにと当たり前の事を考える。


「そりゃ魔法での視力治療ができるからな。治癒魔法が使える人間は相変わらず少ないとはいえ、使えりゃ治療できるからな。それに肉体強化の魔法を使えば擬似的に視力が向上することから、視力って以外と落ちないのよ」


 なるほど。肉体強化にはそういう副作用もあるわけだ。


「あれ? でもリュッカは肉体強化の呪文使って戦ってたよね?」


 あの森にいた間にザーディアスに教えてもらった、簡単な肉体強化術。結構使って身体に馴染ませてたイメージがあったのだがと思い出す。


「やっぱりそこは個人差によると思うよ。治療の治りがいい人と悪い人っているようにね」


「つまりリュッカは肉体強化の副作用にはあまり影響を受けない訳だ」


「うん、そうだね」


 そこで店主のお兄さんが意気揚々と割り込む。


「だからお嬢さんみたいな客に声掛けでもして、客引きしてるのよ」


「大変そうですね……」


「って言うか、売れ行きが悪いってわかりながら、どうしてこの商売始めたの?」


 店主のお兄さんは頭をかきながら、安易な商売計画を語る。


「いや〜……取り扱いが少ないものの方が客がくるかな〜って。眼鏡とか便利は便利だろ? だろ?」


 眼鏡の耳掛け部分を両手で持ってリュッカに詰め寄り、同意を求める。


「そ、そうですね。私はないと困ります」


「だよね〜」


 リュッカは渋々同意と返答。


 ふともう一度、商品を見るが本当に眼鏡しかない。


 コンタクトはともかく、せめてサングラスくらいあれば売れそうなのに。


 一つ手に取りかけてみると、度がきつくないことに気が付く。


「あれ? 度が合う?」


 よくぞ気がついてくれましたと嬉しそうな表情を浮かべる。


「そう! ここの眼鏡はその人の度に合わせて、視力を調整できる魔術が施されてるから、好きに掛けて気に入ったのを是非買ってくれ!」


 そういうと店主の隣には全身が映る鏡を示す。俺は正方形型の眼鏡をかけて鏡の前へ。目をパチクリとさせたリリアが映る。


 こうして見ると、眼鏡一つで大分印象が変わる。


 この眼鏡の影響か、何処ぞのお姫様のような可憐かつ、どこかふわりと飛んでいきそうな雪のような透き通ったイメージで少し近寄りがたいリリアが、大人しく弱々しくもその瞳に吸い込まれそうな、誰もがほっておけないような、側で守ってあげたくなるようなか弱さが目立つ印象に。


 ヤバイ……抱きしめたい。目力おそるべし!


「リリィ! 超似合うよ!」


「うん! 可愛いよ。リリアちゃん」


「……あんたはそんな地味眼鏡でもそんなオーラを放つのかしら」


「はは……」


 一人嫌味が入っているが、似合っているようだ。嫌味を言ったサニラは、ため息を吐くとリュッカに物申す。


「リュッカ……だっけ? 貴女この二人の友達なら少しでも負けないようにオシャレくらいしないと、目立つわよ。悪い意味で……」


「それ、どういう意味?」


 アイシアは不思議そうに首を傾げる。それにさらにため息をついた後、バークを親指で差して答える。


「このバカの反応見ればわかるでしょ? あんた達二人とリュッカの容姿には差があるって言ってるの」


 随分とキツイ言い方をする。確かにリュッカも悪くはないのだが、リリアやアイシアと比べるとどうしても劣る。並んでいるとどうしてもリュッカが悪目立ちする印象だ。


 その言い分に納得いかないのか、リュッカを抱きしめるアイシア。


「えーーっ!? リュッカもこんなに可愛いよ!」


「ちょっとシア!」


「それ、贔屓目だから! 周りから見たら可哀想よ」


 ズンと重みのあるハッキリとした物言いで言うサニラに、その迫力に押されてか、アイシアはリュッカと共に後ずさる。


「サニラはもっとオシャレしろって言ってるんだよ。それにしてもそんなキツイ言い方するから友達少ないんだよ、サニラ」


「そうそう、だから昔から俺の後ろに――」


 バチーーン!!


「――おぶっふっ!!」


 余計なことを言うなと言わんばかりのサニラの渾身のビンタがまず炸裂。その後は顔を赤らめ、恥ずかしさを誤魔化しながら怒った。


「馬鹿バーク!! 余計なこと言うな!! フェルサも!!」


「はいはい」


 フェルサはこれもいつも通りとやれやれとちいさく首を振る。


「言い方はあれだけど、リュッカはもっと可愛くなれるって言いたかったんだと思うよ。だから、せっかくだし、高校生デビューの意味も込めて心機一転……イメチェンして新しい学園生活を送ろう!」


 意気揚々と宣言したが、何故か皆、不思議そうな顔をしている。


「こうこうせいデビュー? こうこうせいって何?」


 高校生をかたことで話す。


 そうだった。この世界じゃあ高校生なんて言わないのか。


「それはあれだよ。学生をそう言い習わすところがあるんだって、母さんが言ってたよ?」


 咄嗟に言い訳を思い付かず、リリアの母親をだしにすることにする。その返答にきょとんとしながらも納得した様子。


「ふーん……」


 とにかく会話には少し気をつけよう。そう教訓を得たのだった。

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